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「も、申し訳ありません!王族に逆らう気など全くなかったんです!ただ私たちは公爵様のためを想っただけでして、その気持ちが行き過ぎてしまったことは否定できませんが、それでも本当に反省しているのでどうかお許しください!罰は受けますので命だけは!」
震える声で発言する使用人は話すのをやめれば死刑が確定すると思ってか、なんとかしようと必死なのが伺える。命がかかっているとなるとそうなるのも仕方がないだろう。でも、死刑から逃れようと必死なあまり公爵様を盾に使おうとしてる言葉は感心しない。自分が勝手にしたことだろうに。いくら人嫌いと言われようと、公爵様が身分を気にしていじめをするような人ではないことくらい僕は知っている。嫌いでも面倒な表情をしつつ話は聞いてくれる人なのだから。
今回のことだって本当なら公爵様の迷惑を考えるなら、黙るより早く言えばよかったと今ならそう思う。それは今みたいに好意を伝えてくれる公爵様じゃなくてもきっとなんとかしてくれただろうから。慣れているからとかそんな風に軽視してた結果が今、公爵様にもリードにも迷惑をかける羽目になっている。だから僕も反省すべきだとは思うけど、結局のところ今回のことは勝手に妬んだ人たちがやったことだ。なのに公爵様のためという免罪符で公爵様を利用しようとするその言葉を発しながら、反省なんてふざけているようにしか思えない。この人たちの命をどうこうしようという気持ちは僕にはないけど、珍しくも僕は怒りが沸いてきた。
「リード殿下、僕……私に発言許可をください」
「シャロン……?うーん、まあ被害者はシャロンだしいいよ。言いたいことあるなら発言を許可するよ」
急にまた口を出した僕にリードは少し驚きながらも、僕の真剣な表情を見てか少し悩んだ素振りは見せたもののすぐ発言の許可をくれた。怒りが頂点に達したのだろうか?もうこの際、この三年間我慢してきたこともぶつけてしまってもいいんじゃないかとすら思い始める。だって相手はいい大人なのに、自分の保身ばかりの我儘坊っちゃまばかり。自分を大事にすることが悪いことってわけじゃないけど、自分のことしか考えず人の痛みを知らないからそうやって反省の仕方もわからないのだろう。
そうして怒り任せになった僕はこの日初めて人を殴った。
「い……っななな何をする!?男爵貴族の息子ごときがこの私を殴るなど……!」
ほら、結局痛みに慣れてない人はこんな簡単に本性を見せる。どんな場面でも反省の仕方もわからない人は結局口だけなんだろう。リードさえ許してくれればなんて青い顔をしながら思っていたんだろうね。僕はその言葉を無視して、さらにさっきまで発言していた使用人を殴り、蹴って暴行というものを続けた。ただただ痛みを教えるために。
途中誰かに止められたらそれまでだと思ったけど、誰も止めないからその使用人が泣き出すまでそれは続いた。あまり力に強い自信はないから時間はかかったけど、続ければ痛みは増していくものだし、思ったよりも使用人はボロボロになった。これぐらいで泣き出す癖によく僕に暴力を振えたものだなと思う。
「痛い?」
「い、いだいでず!ごべんなざい……っ許してぐだざい……!」
「うんうん、そうだよね、痛いよね。でも同じことを貴方達はしたよね?泣くのは我慢したけど痛くなかったわけじゃないんだよ?人にされて嫌なことはしちゃいけないって習わなかった?」
「ごべ……っもうじわげありまぜん……っ」
「ねえ、なんで泣くの?僕がいじめてるみたいでしょ?それに謝ってなんて言ってないよ?」
「ゆるじで……っ」
「んー貴方は許せるの?さっきまで男爵家のくせにって威勢よく噛みついてたじゃないか。公爵様のために僕に噛み付かなきゃいけないんじゃないの?さっき言ってたでしょ?死刑にはしないようお願いしてあげるから公爵様のためを想うなら頑張って?公爵様のためなら痛みくらい我慢できるよね?」
「うう……っうう……っ」
滑稽だ。痛みを知ったら身分関係なくこうして態度が変わるのだから。次は自分かと震えるだけの卑怯者たちにも何かしてやりたい気分だ。正直危ない思考だなと理解しているけど今まで蓋を閉めていたものが溢れ出したように止まらない。
「もう殴ってないのになんで泣くかな……そういや家庭教師さんは教えてくれましたよね。ここまで言ってわからないバカは傷つけてもいいって」
「いや……あれはその……」
「家庭教師なのに叩かれると痛いって知らないみたいなんで今日は僕が教えてあげますよ!」
「い、いや十分わかったから」
まだ何もしてないのに震える家庭教師。あれだけ僕に言いたい放題やりたい放題率先しながら、本人は同じようなことをされると怖がっているのだから馬鹿馬鹿しい。この人から教わったことは何一つない。なんでもかんでもバカにして合ってるか外れてるかすらもわからない無駄な日々だったから。
「なら問題です。答えられたら本当に理解してると納得します」
「わ、わかった答えるよ」
「殴られるのは痛いでしょうか?痛くないでしょうか?」
「い、痛いです」
「なら確かめてみましょう!」
「そんな話が違う!」
「先生も答え教えてくれなかったでしょ?」
「す、すみません!すみませんすみません!」
殴る前からすぐ折れる元家庭教師に余計怒りが増す。なんですぐ謝るくらい嫌なことを僕にできたのかと。まあ使用人の姿を見たからかもしれないけど、それでもあまりにも情けない。痛みを知らない人はこんなにも弱いのか……そう思うと今までのことが全部無駄に思えてきた。僕は何のために傷ついてきたのかと。
そんなときだった温かい何かに包まれたのは。
「シャロン、泣くな」
「こう……しゃく、さま?」
その正体は僕を後ろから抱きしめる公爵様で、公爵様に言われて僕は初めて涙を流していたことに気がついた。
震える声で発言する使用人は話すのをやめれば死刑が確定すると思ってか、なんとかしようと必死なのが伺える。命がかかっているとなるとそうなるのも仕方がないだろう。でも、死刑から逃れようと必死なあまり公爵様を盾に使おうとしてる言葉は感心しない。自分が勝手にしたことだろうに。いくら人嫌いと言われようと、公爵様が身分を気にしていじめをするような人ではないことくらい僕は知っている。嫌いでも面倒な表情をしつつ話は聞いてくれる人なのだから。
今回のことだって本当なら公爵様の迷惑を考えるなら、黙るより早く言えばよかったと今ならそう思う。それは今みたいに好意を伝えてくれる公爵様じゃなくてもきっとなんとかしてくれただろうから。慣れているからとかそんな風に軽視してた結果が今、公爵様にもリードにも迷惑をかける羽目になっている。だから僕も反省すべきだとは思うけど、結局のところ今回のことは勝手に妬んだ人たちがやったことだ。なのに公爵様のためという免罪符で公爵様を利用しようとするその言葉を発しながら、反省なんてふざけているようにしか思えない。この人たちの命をどうこうしようという気持ちは僕にはないけど、珍しくも僕は怒りが沸いてきた。
「リード殿下、僕……私に発言許可をください」
「シャロン……?うーん、まあ被害者はシャロンだしいいよ。言いたいことあるなら発言を許可するよ」
急にまた口を出した僕にリードは少し驚きながらも、僕の真剣な表情を見てか少し悩んだ素振りは見せたもののすぐ発言の許可をくれた。怒りが頂点に達したのだろうか?もうこの際、この三年間我慢してきたこともぶつけてしまってもいいんじゃないかとすら思い始める。だって相手はいい大人なのに、自分の保身ばかりの我儘坊っちゃまばかり。自分を大事にすることが悪いことってわけじゃないけど、自分のことしか考えず人の痛みを知らないからそうやって反省の仕方もわからないのだろう。
そうして怒り任せになった僕はこの日初めて人を殴った。
「い……っななな何をする!?男爵貴族の息子ごときがこの私を殴るなど……!」
ほら、結局痛みに慣れてない人はこんな簡単に本性を見せる。どんな場面でも反省の仕方もわからない人は結局口だけなんだろう。リードさえ許してくれればなんて青い顔をしながら思っていたんだろうね。僕はその言葉を無視して、さらにさっきまで発言していた使用人を殴り、蹴って暴行というものを続けた。ただただ痛みを教えるために。
途中誰かに止められたらそれまでだと思ったけど、誰も止めないからその使用人が泣き出すまでそれは続いた。あまり力に強い自信はないから時間はかかったけど、続ければ痛みは増していくものだし、思ったよりも使用人はボロボロになった。これぐらいで泣き出す癖によく僕に暴力を振えたものだなと思う。
「痛い?」
「い、いだいでず!ごべんなざい……っ許してぐだざい……!」
「うんうん、そうだよね、痛いよね。でも同じことを貴方達はしたよね?泣くのは我慢したけど痛くなかったわけじゃないんだよ?人にされて嫌なことはしちゃいけないって習わなかった?」
「ごべ……っもうじわげありまぜん……っ」
「ねえ、なんで泣くの?僕がいじめてるみたいでしょ?それに謝ってなんて言ってないよ?」
「ゆるじで……っ」
「んー貴方は許せるの?さっきまで男爵家のくせにって威勢よく噛みついてたじゃないか。公爵様のために僕に噛み付かなきゃいけないんじゃないの?さっき言ってたでしょ?死刑にはしないようお願いしてあげるから公爵様のためを想うなら頑張って?公爵様のためなら痛みくらい我慢できるよね?」
「うう……っうう……っ」
滑稽だ。痛みを知ったら身分関係なくこうして態度が変わるのだから。次は自分かと震えるだけの卑怯者たちにも何かしてやりたい気分だ。正直危ない思考だなと理解しているけど今まで蓋を閉めていたものが溢れ出したように止まらない。
「もう殴ってないのになんで泣くかな……そういや家庭教師さんは教えてくれましたよね。ここまで言ってわからないバカは傷つけてもいいって」
「いや……あれはその……」
「家庭教師なのに叩かれると痛いって知らないみたいなんで今日は僕が教えてあげますよ!」
「い、いや十分わかったから」
まだ何もしてないのに震える家庭教師。あれだけ僕に言いたい放題やりたい放題率先しながら、本人は同じようなことをされると怖がっているのだから馬鹿馬鹿しい。この人から教わったことは何一つない。なんでもかんでもバカにして合ってるか外れてるかすらもわからない無駄な日々だったから。
「なら問題です。答えられたら本当に理解してると納得します」
「わ、わかった答えるよ」
「殴られるのは痛いでしょうか?痛くないでしょうか?」
「い、痛いです」
「なら確かめてみましょう!」
「そんな話が違う!」
「先生も答え教えてくれなかったでしょ?」
「す、すみません!すみませんすみません!」
殴る前からすぐ折れる元家庭教師に余計怒りが増す。なんですぐ謝るくらい嫌なことを僕にできたのかと。まあ使用人の姿を見たからかもしれないけど、それでもあまりにも情けない。痛みを知らない人はこんなにも弱いのか……そう思うと今までのことが全部無駄に思えてきた。僕は何のために傷ついてきたのかと。
そんなときだった温かい何かに包まれたのは。
「シャロン、泣くな」
「こう……しゃく、さま?」
その正体は僕を後ろから抱きしめる公爵様で、公爵様に言われて僕は初めて涙を流していたことに気がついた。
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