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「手が赤くなっている。殴るのも痛かっただろう?痛くて泣いてしまったのか?」
「ちが……っ僕、泣くつもりなんて、なくて……!」
多分公爵様は僕が泣く理由をわかっていながらそれを隠すように理由を作ってくれているのだろう。それでも後ろから抱きしめる腕は解かずに、僕の赤くなった手を手にとって撫でる手つきは優しい。でも本当に泣くつもりなんてなくて、止まらない涙に動揺してしまっている僕は、自分が何を言いたいかすらもわからなくなっている。
「大丈夫、わかったから。シャロンは今疲れているだけなんだ。だから少し休もう。心も身体も、な?」
「疲れて、る?」
「ああ、我慢しすぎて今シャロンの心と身体は悲鳴をあげてるんだ。まだ信用できないだろうが、これ以上シャロンが我慢するようなことがないよう私が離婚しても必ず守る。いつかシャロンの居場所が私の傍になるように努力を怠るつもりはない。今はまだ口だけと思われるかもしれないが、今だけは頼ってほしい。シャロン自らこいつらのことで傷つきに行く必要はないんだ」
耳元でそう呟かれ、だんだんと落ち着いてくる自分がいた。好きな人だから……というより、公爵様の声が僕を落ち着かせる。まるで眠れない子供を寝かす子守唄のように、心地がいい声なのだ。
「男が好きなの、変じゃ……ない?」
「変じゃない。誰を好きになろうと、そこに性別なんて関係ないことを私はシャロンから教わった」
僕はなんでこんなことを聞いているんだろう?
「身分違いの恋はバカなこと、かなあ……?」
「どんな気持ちでも人を想う気持ちに縛りはない。何より人の気持ちに身分など存在しない」
なんで公爵様は僕にほしい言葉をくれるの?
「僕は……気持ち悪くない?」
「気持ち悪い?こんなに可愛いのにか?」
優しくされて嬉しいのに優しくしないでほしいと思う僕がいる。
「……なんか、もう眠たい……」
もう何も考えたくない。
「たくさん泣いて疲れたな」
「泣いてないもん……っ」
泣いているのは感じるけど、なんとなく否定したくなるのは眠いから?ああ、こんな場所で寝たらだめなのに。
「んん……っそうか、眠いなら寝ると言い。私がベットまで運ぼう」
「ん……」
本当に僕は限界だったのかもしれない。まだ話が終わってないどころか、謁見の場で落ちる瞼に逆らえなかったのだから。何がそうさせたのかって言われたら公爵様の温もりと、ずっと抱え込んでいたものの一部を受け止めてもらったことで安心したのかもしれない。
単純だなと自分でも思うけど、ほしい言葉がもらえるのはこんなにも幸せなことなんだと思う。
最後は公爵様の胸に凭れ掛かるように眠ったこの時の僕は、目を覚ました時、この時間について一人悶えることになるなんて思いもしなかった。
「ちが……っ僕、泣くつもりなんて、なくて……!」
多分公爵様は僕が泣く理由をわかっていながらそれを隠すように理由を作ってくれているのだろう。それでも後ろから抱きしめる腕は解かずに、僕の赤くなった手を手にとって撫でる手つきは優しい。でも本当に泣くつもりなんてなくて、止まらない涙に動揺してしまっている僕は、自分が何を言いたいかすらもわからなくなっている。
「大丈夫、わかったから。シャロンは今疲れているだけなんだ。だから少し休もう。心も身体も、な?」
「疲れて、る?」
「ああ、我慢しすぎて今シャロンの心と身体は悲鳴をあげてるんだ。まだ信用できないだろうが、これ以上シャロンが我慢するようなことがないよう私が離婚しても必ず守る。いつかシャロンの居場所が私の傍になるように努力を怠るつもりはない。今はまだ口だけと思われるかもしれないが、今だけは頼ってほしい。シャロン自らこいつらのことで傷つきに行く必要はないんだ」
耳元でそう呟かれ、だんだんと落ち着いてくる自分がいた。好きな人だから……というより、公爵様の声が僕を落ち着かせる。まるで眠れない子供を寝かす子守唄のように、心地がいい声なのだ。
「男が好きなの、変じゃ……ない?」
「変じゃない。誰を好きになろうと、そこに性別なんて関係ないことを私はシャロンから教わった」
僕はなんでこんなことを聞いているんだろう?
「身分違いの恋はバカなこと、かなあ……?」
「どんな気持ちでも人を想う気持ちに縛りはない。何より人の気持ちに身分など存在しない」
なんで公爵様は僕にほしい言葉をくれるの?
「僕は……気持ち悪くない?」
「気持ち悪い?こんなに可愛いのにか?」
優しくされて嬉しいのに優しくしないでほしいと思う僕がいる。
「……なんか、もう眠たい……」
もう何も考えたくない。
「たくさん泣いて疲れたな」
「泣いてないもん……っ」
泣いているのは感じるけど、なんとなく否定したくなるのは眠いから?ああ、こんな場所で寝たらだめなのに。
「んん……っそうか、眠いなら寝ると言い。私がベットまで運ぼう」
「ん……」
本当に僕は限界だったのかもしれない。まだ話が終わってないどころか、謁見の場で落ちる瞼に逆らえなかったのだから。何がそうさせたのかって言われたら公爵様の温もりと、ずっと抱え込んでいたものの一部を受け止めてもらったことで安心したのかもしれない。
単純だなと自分でも思うけど、ほしい言葉がもらえるのはこんなにも幸せなことなんだと思う。
最後は公爵様の胸に凭れ掛かるように眠ったこの時の僕は、目を覚ました時、この時間について一人悶えることになるなんて思いもしなかった。
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