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「罪にはもちろん問うとしても………難しい問題だね」
「バーン伯爵家の取り潰しは陛下に毒を差し向けた時点で決まっていたが、この状況で処刑……は、難しい判断だ。さらにネティス医師の知識を捨て去るのは国としても損が大きいだろう。罪の罰としては無期懲役でまだ解明されていない病や毒などの研究を強制させる形がよいと思うのだが」
「それがいいかと。一応関わるものは2名以上、ガスマスクなどの着用を徹底させるなどの対策も必要かと思いますが」
リード、王太子殿下、旦那様は薬剤師や医師たちの言葉を聞いた上で、一旦現在の二人の犯罪者をどうするかの話に移行したようだ。ネティス医師に関しては決まったようだけど、問題はバーン伯爵。手を出した相手が国王陛下だからこそ判断に迷うのだろう。
そんな中で声をあげたのは僕らの背後からだった。
「事情は私も理解した。今回、私の殺害未遂に関してはもういいだろう」
「父上?もう大丈夫なのですか?」
それは被害者である国王陛下。まさかの登場に誰もが驚き頭を咄嗟に下げる。あの時リードに玉座を取られていた人と思えない貫禄を感じるのはこれが本来の国王陛下の国王としての姿だからだろうか?
「まあ大したことはないよ。ネティス医師に予め解毒薬を渡されていたからね。ただ少しばかり倒れている必要があったんだ。君たちまで騙してすまない」
「一体どういう……」
「陛下、今回は色々巻き込んでしまい申し訳ありません。約束は必ずお守りします」
唯一話しかけていた王太子殿下が珍しく狼狽えているのがわかる。そこに入り込んだのはネティス医師で、国王陛下とネティス医師の間で何か取引があったことは明白だ。
「ネティス医師にお願いしたことがあったんだ。妻の病気を治してほしいと」
国王陛下の妻ってつまり……皇后陛下だよね?そう言えば皇后陛下って会ったこともないし、暗黙の了解とばかりに誰一人噂をされることもない方だったはず。僕程度じゃ亡くなっているのか生きているのかも知らなかったけど病気……だったんだ。リードも話さなかったってことは話せなかった理由があるってことだよね。
「皇后陛下の病は治療に時間がかかるものでして、リテールくんから離れる必要がありました。しかし、リテールくんは危うい精神状態だったため放置できなかったのです。実際陛下に毒を盛ろうとしてると知った時は慌てたものです」
「ただそれが最後のバーン伯爵の手段、目的の終わりを示していたようで、ネティス医師が治療を請け持つ代わりに、バーン伯爵を止めるための計画を持ち掛けられてね。賛同したのだよ。私が毒にかかったふりをしたのはバーン伯爵を騙すため。ただどこに目があるかわからぬから全員を騙すのがいいとしたのだ」
「計画って言ってもこのネティス医師は殺人を犯したんじゃ!?」
「それもまた作戦よ。ツォン執事長は生きているが、バーン伯爵が過剰な薬を与えたせいで精神状態がおかしいらしい。それも治療予定のため、気絶こそさせたが、後は血のりなどでバーン伯爵を騙すというのは聞いていた」
「ツォンは生きているのか……」
無意識な裏切りはあったものの一番旦那様の傍にいた人だから旦那様も思うところがあるのだろう。僕としても生きていてくれてよかったと思う。どういう形であれ。
「では公爵家の元公爵や夫人に関しては?」
「事実です。あくまで私が守りたいのはリテールくんだったので」
「あの、僕の両親へのワインって」
「リテールくんの思惑を阻止するために慌てていたので、飲ませる気になるように少しばかり薬は使いましたがどちらも毒ではないのでご安心を。少しばかり自分に自信をつける精神安定剤に近いものですから」
「精神安定剤……」
もしかしてそのおかげでお兄様はリードたちとお話できていたんだろうか?そう思うと薬を仕込んだのがいつの話か次第では少しという割には効果が随分続いたような気がしなくもないが。まあいいことでは……あるのかな?両親に対しての敵意はともかく。
「バーン伯爵家の取り潰しは陛下に毒を差し向けた時点で決まっていたが、この状況で処刑……は、難しい判断だ。さらにネティス医師の知識を捨て去るのは国としても損が大きいだろう。罪の罰としては無期懲役でまだ解明されていない病や毒などの研究を強制させる形がよいと思うのだが」
「それがいいかと。一応関わるものは2名以上、ガスマスクなどの着用を徹底させるなどの対策も必要かと思いますが」
リード、王太子殿下、旦那様は薬剤師や医師たちの言葉を聞いた上で、一旦現在の二人の犯罪者をどうするかの話に移行したようだ。ネティス医師に関しては決まったようだけど、問題はバーン伯爵。手を出した相手が国王陛下だからこそ判断に迷うのだろう。
そんな中で声をあげたのは僕らの背後からだった。
「事情は私も理解した。今回、私の殺害未遂に関してはもういいだろう」
「父上?もう大丈夫なのですか?」
それは被害者である国王陛下。まさかの登場に誰もが驚き頭を咄嗟に下げる。あの時リードに玉座を取られていた人と思えない貫禄を感じるのはこれが本来の国王陛下の国王としての姿だからだろうか?
「まあ大したことはないよ。ネティス医師に予め解毒薬を渡されていたからね。ただ少しばかり倒れている必要があったんだ。君たちまで騙してすまない」
「一体どういう……」
「陛下、今回は色々巻き込んでしまい申し訳ありません。約束は必ずお守りします」
唯一話しかけていた王太子殿下が珍しく狼狽えているのがわかる。そこに入り込んだのはネティス医師で、国王陛下とネティス医師の間で何か取引があったことは明白だ。
「ネティス医師にお願いしたことがあったんだ。妻の病気を治してほしいと」
国王陛下の妻ってつまり……皇后陛下だよね?そう言えば皇后陛下って会ったこともないし、暗黙の了解とばかりに誰一人噂をされることもない方だったはず。僕程度じゃ亡くなっているのか生きているのかも知らなかったけど病気……だったんだ。リードも話さなかったってことは話せなかった理由があるってことだよね。
「皇后陛下の病は治療に時間がかかるものでして、リテールくんから離れる必要がありました。しかし、リテールくんは危うい精神状態だったため放置できなかったのです。実際陛下に毒を盛ろうとしてると知った時は慌てたものです」
「ただそれが最後のバーン伯爵の手段、目的の終わりを示していたようで、ネティス医師が治療を請け持つ代わりに、バーン伯爵を止めるための計画を持ち掛けられてね。賛同したのだよ。私が毒にかかったふりをしたのはバーン伯爵を騙すため。ただどこに目があるかわからぬから全員を騙すのがいいとしたのだ」
「計画って言ってもこのネティス医師は殺人を犯したんじゃ!?」
「それもまた作戦よ。ツォン執事長は生きているが、バーン伯爵が過剰な薬を与えたせいで精神状態がおかしいらしい。それも治療予定のため、気絶こそさせたが、後は血のりなどでバーン伯爵を騙すというのは聞いていた」
「ツォンは生きているのか……」
無意識な裏切りはあったものの一番旦那様の傍にいた人だから旦那様も思うところがあるのだろう。僕としても生きていてくれてよかったと思う。どういう形であれ。
「では公爵家の元公爵や夫人に関しては?」
「事実です。あくまで私が守りたいのはリテールくんだったので」
「あの、僕の両親へのワインって」
「リテールくんの思惑を阻止するために慌てていたので、飲ませる気になるように少しばかり薬は使いましたがどちらも毒ではないのでご安心を。少しばかり自分に自信をつける精神安定剤に近いものですから」
「精神安定剤……」
もしかしてそのおかげでお兄様はリードたちとお話できていたんだろうか?そう思うと薬を仕込んだのがいつの話か次第では少しという割には効果が随分続いたような気がしなくもないが。まあいいことでは……あるのかな?両親に対しての敵意はともかく。
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