やり直しの悪役皇子~二度目の世界で悪の皇帝は弟を溺愛する~

荷居人(にいと)

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「ようやく…………」

ベッドから出られようになり、少しなら歩く体力も戻った。長く感じたけれど、きっと普通より短い期間で回復できたと言えるだろう。サポートをつけてくれたライジタに感謝せねば。

神様だから様をつけるべきかな。今更………だろうか。あのライオンはあまり気にしないような気がする。

『まだ完全じゃにゃいけどどうしますにゃん?』

「ここの高さでも身体は強くないし、死ねるかな」

ずっと狙っていたこの機会。シャドウが油断している今が死ぬチャンスだろう。まだ動けたばかりで部屋から出ないだろうと思われる今こそ。

『し、死んじゃいますにゃん!?せっかく動けるまで回復したのに……』

「神様たちの目的は世界が滅ばない未来でしょ?なら、それさえなければ僕はいつ死んでもいいはずだよ。ちなみにニャハートが楽に殺してくれたら楽なんだけど」

『そんにゃこと無理ですにゃん!殺生は許された神様にしかできない決まりですにゃん!ライジタ様でさえ許されないことをニャハもできはしませんにゃ』

「殺生が許される神様とかいるのか……」

『代表的な神様としては、死神のカピバラ様は死を司る神様だからできますにゃん』

「カピバラ………カピバラかあ」

随分可愛い死神様だなあと思ってしまった。どう殺されるのか少し興味すら沸いたけど………まあ、会えないなら気にしても仕方ないか。

『それにしても本当に死ぬ気ですにゃん?』

もう最後ならとは思ったけど回復を早めてくれたお礼くらいは最後に言いたかったし、つい死ぬ気でいることを明かしてしまったけど、明かすのが早すぎたかな。

どうにもニャハートから死ぬのを止めようとする気配が伺えるから。

「ずっと決めてたから。ニャハートには無駄なことさせて申し訳ないけど、感謝してるよ」

『うーん、うーん、死ぬのはおすすめできませんにゃ』

「死ぬのをおすすめされても困るけどね」

『そういうことじゃにゃくて……うにゃあああ!どうすればしにゃにゃいにゃ!?』

とりあえず凄い死なれたら困るとばかりの慌てようである。慌てようがちょっと可愛くて揺らぎそうにはなるかな、うん。

もう少し見ていたい気もするくらいには。

「でもまあ、部屋からは出られないよね」

『そ、そうですにゃ!見張りや護衛もいますにゃ!それに刃物くらいならニャハも消すことできますから自殺は無理ですにゃん!』

人は消せないけど、無機物なら構わないのか。死に方の幅が減っちゃったなら仕方ない。一か八かだ。

ゆっくりとゆっくりと窓へ近づく。ニャハートは何をしようとしてるかわかった様子だけど怯えるようにしながらもこちらに近づいては来ない。

「二階からでも頭から落ちれば死ぬ可能性はあるよね」

『ま、窓は消さにゃいですにゃん!』

それでも僕を止めようと必死な様子が変わることはない。

「ふふ、それくらい自分で開けられるよ」

『だ、だめですにゃん!ニャハは死にたい人を言葉でしか止められにゃいんですにゃ……っ刃物は消せても壁はつくれにゃいんですにゃ………っお願いだから生きたいと少しでも願ってくれにゃ………っ!それがフィーネ様の意思じゃにゃいにゃらニャハはこの手で止められるから………!』

ニャハートが近づいて来ない理由は神様の世界でのルールか何かがあるのだろうことが聞いていてわかる。

神様も、その眷属も、自分の意思でできないことがあるんだなと思うと、人間が望みを叶えられる人ばかりじゃないのも頷ける。

そりゃ、神頼みしても叶えられるはずもない。こんなことに巻き込まれるまで神様という存在をそこまで信じていなかった僕が神様に世界を救うお願いをされるんだから、何が起こるか本当にわからない世の中だ。

「ニャハート、ごめんね。目の前で死んじゃって」

『いやにゃああああああああ!』

開いた窓に座り、後ろから落ちていく。頭が地面についた瞬間の痛みを感じずに死ねたらなと思っていたのに、僕が地面につくことはなかった。

「ぐ………っ」

「………っ」

その理由は単純に二階から落ちた僕を、誰かが腕で抱き止めたからだった。落ちた衝撃故に噛み殺したような声を軽くあげながら。

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