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2章次に無駄なプライドをへし折るとしましょう

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「ふふ、いい首輪が手に入ったわ」

あれから選ぶつもりもなかった首輪を買いに行けばこれしかないとばかりの首輪が目に入った。

『バカがする首輪』と白い文字で書かれた赤い首輪。その言葉が書いてあるだけでも決定できたというのに、首輪にはある機能がついているみたいで是非利用しない手はないと予算オーバーではらあったけど買ってしまったわ。

向かう先は城、軟禁されているだろう奴隷となった元王子の場所。

「ふざけるな!わ、私が奴隷などと!」

部屋の外から聞こえる大きな声は正しく私の奴隷となってしまったおバカな人。

「失礼いたしますわ」

コンコンとノックをして部屋に入り込む。返事も聞かずに礼儀のない………とは思わなくはないけど、自分の奴隷に礼儀など必要はないでしょう?

「貴様!」

「あらあら主人に向かって貴様だなんて」

私に気づいたバカは心底怒り狂ったかのように私を見る。掴みかかろうとはしたが、そこは先程までバカに付き合っていただろう衛兵二人がバカの両腕を掴んで止めた。

「お前たち!離せ!私の命令が聞けないのか!」

「何故奴隷の命令を聞く必要が?」

「寧ろ奴隷の貴方がコエデル嬢様に従うべきだろう」

「くそっくそっ!貴様らも処刑だ!」

バカなことをおっしゃる。衛兵も呆れ返っているではありませんか。処刑しか言葉を知らないとばかりに衛兵にまで………はぁ、予想通りとはいえ、もう少し大人になってほしいものです。

「ふふ、少し剣をお借りしますね」

「え?」

驚く衛兵を無視して勝手にも腰に備えられている剣を抜かしてもらい思いっきり突いた。

「ぎゃあぁぁっ」

何を突いたか?腰近く………を突いてしまったみたい。こうかっこよく顔面寸前で剣を止めてみせたかったのだけど、うまくいかず剣の重さに耐えかねて本当に刺してしまったよう。わざとじゃないのよ?

どうしましょう?剣に血が。

「コエ、デル嬢、様?」

「ごめんなさいね。剣を汚してしまったわ」

「あ、いえ、危ないので置いてください」

「そうね、重いしそうするわ」

なんだか衛兵の顔がひきつっているわね。別にバカを殺したわけでもないのに。

「痛い痛い痛い!血が、血が!」

ああ、もう。どこまでもうるさいお人ね。

「傷は浅いでしょう。血も出血死するほど出てはないと思いますわよ?」

「貴様!私を殺す気かぁ!ああ、早く手当てを!」

「そこまで言うなら死にます?」

「は………」

あら、静かになったわね。置いた剣を手に取ろうとしただけなのに。気のせいかとても青ざめているのは私が本気だと思ったのかしら?

私がバカで手を汚すなんてことする気はないのだけどね。ちょっと置いた場所が足に当たりそうで気になるから移動させようとしただけよ?

にしても人には簡単に処刑だと言う癖に、いざ自分が死に直面すると怖がるだなんて勝手がすぎるわよね。自分が嫌なことは人にしないと学ばなかったのかしら?処刑は………少し違う気もするけれど。
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