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4章
限界、溢れる欲
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しゃがみこみ、頭を抱えながら神様が口を開く。
「僕は・・・ユージンといたい」
「うん」
ひとつ
「でも神として全の神としての仕事を放棄したいわけじゃないっ」
「うん」
ふたつ
「苦しいよ、ユージン・・・欲が渦巻いて気持ち悪いんだ」
「うん」
みっつ
「溜まるばかりで飲み込まれそうで」
「うん」
よっつ
「どうしていいかわからない」
「うん、神様いっぱい頑張ったんだね」
いつつ
神様がひとつひとつの素直な気持ちが紡がれる。神様は万能じゃない。神様は優しい。けど、悪い欲に飲み込まれつつあるのだろう。だから逃げたい気持ちが俺と二人の世界をつくるきっかけになったのかもしれない。
なら、考えを改める必要がある。
神様は逃げたくなるほどに悪い欲に囚われつつある。でも神として逃げ出すことでどうなってしまうかを理解している。だからこそ、逃げることを止めてほしいけど、逃げたいとも思っている。
神様としての逃げ出したくない責任。神様自身の逃げ出したい気持ち。事が重大なだけに励ますことしか俺にはできない。
「! あ・・・っう」
「神様?」
「離れて・・・っユージン!」
「ユージン!」
「あれはなに・・・」
苦しげにする神様に突き飛ばされてアーカが受け止めてくれる。お礼を言うよりも神様から出てくる黒いもやのようなものに目が向く。
「嫌な感じがする」
その黒いもやが徐々に俺たちに近づいてきたため、アーカは恐る恐る俺ごと離れようとする。このままじゃ神様から遠退くだけだ。
「神様が苦しんでる!行かないと!」
「だめだ。あの黒いもやが何かわからないことには危険だ。カミサマも離れろって言ったのはこの黒いもやに触れるのがよくないって意味だろ」
「でもこのままじゃ広がるばかりだよ!」
「どうすれば・・・」
黒いもやで神様が見えなくなる。ゆっくりと広がりつつあるもや。今だに嵐が吹き荒れる外にだんだんと近づく。
「神の領域」
ふと聞こえる背後からの声に、俺とアーカが振り向く。
「規則の神?」
「異変を感じとるのが遅れたよ。これはだめだ」
「貴方も神か。これはなんなんだ?」
「悪い欲だね。まさか全の神が抑えられなくなっていたとは誰も気づかなかったんだ。神が欲を持ち、世界の崩壊を自らなそうとしていることには気がついたのに。全の神が、ユージンを殺した時点で気づくべきだったね。この欲に全の神が振り回されている可能性があると。」
「じゃあ、これがなんとかできれば・・・」
「世界の崩壊は免れるかもしれない。災害で戦争の発端になりそうなものは神の力をもってすれば再生することは可能だからね。ただし、まずはこの欲をなんとかして、嵐を全の神自身が止める必要がある」
規則の神の神の領域のおかげで黒いもやが広がることはない。でもずっとこうしている訳にはいかない。どうすれば神様を助けられる?
「悪い欲を消すことはできないのか?」
「わからない。私たち神は悪い欲は全て全の神に流していた。その全の神が抑えきれないほどに溜め込むとなると、消す方法はないとしか言い様がない。ないからこそ、全の神に流すしかなかったのかもしれない。全の神は誰よりも力ある存在。全の神すら抑えられないとなれば、私たちが背負えば全員が簡単に振り回されることだろう。」
「そんな・・・」
「くそ・・・っ」
神様の姿も声も聞こえず、今神様がどうなっているかもわからない。
「神様・・・」
「いちかばちかスキル使ってみろよ、ユージンちゃん」
「だ、誰?」
急に知らない声に言われ、見れば顔から服からすべてがハデな人。
「遊びの神、何をしにきたんだい?」
「こ、こいつも神なのか」
アーカが言いたいことはわかる。神様や規則の神とは違ってあまり神らしくない。ただのチャラ男だ。
「んー、どうしようもねぇかもしんねーけど、ユージンのこの世界で持つスキルならなんとかなるんじゃねぇかなとアドバイスにな」
「俺のスキル?」
「お前ちゃんは神様専用の治癒者なんだから神様に関したことなら助けられるかもだろ?」
「でも彼は人間だよ。神にもどうしようもないことを・・・」
「だが神を追い詰めたのも人間による欲だ。おれちゃんたちは間違えたんだよ。全の神を頼りすぎた。全の神が人間を嫌い始めている時点で、苦しんでいることに気づいてやるべきだったんだよ。」
「それは・・・」
「よくわからないけど、できるならするよ。神様助けたいから!」
「大丈夫だ。おれちゃんも力を貸すからな」
「私も手伝えないか!私はカミサマは友達なんだ!ユージンに任せて見るだけなんてことする気はない」
「アーカ・・・」
「遊びの神、私はこのもやを止めるので精一杯だ」
「大丈夫、おれちゃんに任せなさい!」
今はこの遊びの神の考えに託すしかない。神様絶対に助けるから!
「僕は・・・ユージンといたい」
「うん」
ひとつ
「でも神として全の神としての仕事を放棄したいわけじゃないっ」
「うん」
ふたつ
「苦しいよ、ユージン・・・欲が渦巻いて気持ち悪いんだ」
「うん」
みっつ
「溜まるばかりで飲み込まれそうで」
「うん」
よっつ
「どうしていいかわからない」
「うん、神様いっぱい頑張ったんだね」
いつつ
神様がひとつひとつの素直な気持ちが紡がれる。神様は万能じゃない。神様は優しい。けど、悪い欲に飲み込まれつつあるのだろう。だから逃げたい気持ちが俺と二人の世界をつくるきっかけになったのかもしれない。
なら、考えを改める必要がある。
神様は逃げたくなるほどに悪い欲に囚われつつある。でも神として逃げ出すことでどうなってしまうかを理解している。だからこそ、逃げることを止めてほしいけど、逃げたいとも思っている。
神様としての逃げ出したくない責任。神様自身の逃げ出したい気持ち。事が重大なだけに励ますことしか俺にはできない。
「! あ・・・っう」
「神様?」
「離れて・・・っユージン!」
「ユージン!」
「あれはなに・・・」
苦しげにする神様に突き飛ばされてアーカが受け止めてくれる。お礼を言うよりも神様から出てくる黒いもやのようなものに目が向く。
「嫌な感じがする」
その黒いもやが徐々に俺たちに近づいてきたため、アーカは恐る恐る俺ごと離れようとする。このままじゃ神様から遠退くだけだ。
「神様が苦しんでる!行かないと!」
「だめだ。あの黒いもやが何かわからないことには危険だ。カミサマも離れろって言ったのはこの黒いもやに触れるのがよくないって意味だろ」
「でもこのままじゃ広がるばかりだよ!」
「どうすれば・・・」
黒いもやで神様が見えなくなる。ゆっくりと広がりつつあるもや。今だに嵐が吹き荒れる外にだんだんと近づく。
「神の領域」
ふと聞こえる背後からの声に、俺とアーカが振り向く。
「規則の神?」
「異変を感じとるのが遅れたよ。これはだめだ」
「貴方も神か。これはなんなんだ?」
「悪い欲だね。まさか全の神が抑えられなくなっていたとは誰も気づかなかったんだ。神が欲を持ち、世界の崩壊を自らなそうとしていることには気がついたのに。全の神が、ユージンを殺した時点で気づくべきだったね。この欲に全の神が振り回されている可能性があると。」
「じゃあ、これがなんとかできれば・・・」
「世界の崩壊は免れるかもしれない。災害で戦争の発端になりそうなものは神の力をもってすれば再生することは可能だからね。ただし、まずはこの欲をなんとかして、嵐を全の神自身が止める必要がある」
規則の神の神の領域のおかげで黒いもやが広がることはない。でもずっとこうしている訳にはいかない。どうすれば神様を助けられる?
「悪い欲を消すことはできないのか?」
「わからない。私たち神は悪い欲は全て全の神に流していた。その全の神が抑えきれないほどに溜め込むとなると、消す方法はないとしか言い様がない。ないからこそ、全の神に流すしかなかったのかもしれない。全の神は誰よりも力ある存在。全の神すら抑えられないとなれば、私たちが背負えば全員が簡単に振り回されることだろう。」
「そんな・・・」
「くそ・・・っ」
神様の姿も声も聞こえず、今神様がどうなっているかもわからない。
「神様・・・」
「いちかばちかスキル使ってみろよ、ユージンちゃん」
「だ、誰?」
急に知らない声に言われ、見れば顔から服からすべてがハデな人。
「遊びの神、何をしにきたんだい?」
「こ、こいつも神なのか」
アーカが言いたいことはわかる。神様や規則の神とは違ってあまり神らしくない。ただのチャラ男だ。
「んー、どうしようもねぇかもしんねーけど、ユージンのこの世界で持つスキルならなんとかなるんじゃねぇかなとアドバイスにな」
「俺のスキル?」
「お前ちゃんは神様専用の治癒者なんだから神様に関したことなら助けられるかもだろ?」
「でも彼は人間だよ。神にもどうしようもないことを・・・」
「だが神を追い詰めたのも人間による欲だ。おれちゃんたちは間違えたんだよ。全の神を頼りすぎた。全の神が人間を嫌い始めている時点で、苦しんでいることに気づいてやるべきだったんだよ。」
「それは・・・」
「よくわからないけど、できるならするよ。神様助けたいから!」
「大丈夫だ。おれちゃんも力を貸すからな」
「私も手伝えないか!私はカミサマは友達なんだ!ユージンに任せて見るだけなんてことする気はない」
「アーカ・・・」
「遊びの神、私はこのもやを止めるので精一杯だ」
「大丈夫、おれちゃんに任せなさい!」
今はこの遊びの神の考えに託すしかない。神様絶対に助けるから!
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