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1章悪役令嬢の秘密
5~ヒロイン視点~
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「すまない、やめるよう言っても知らないフリばかりして話にならなくて………」
「いえ……大丈夫です。こうして話を聞いてくれるだけで私は救われますから」
「だけど………」
ハート様に自作自演を頼まれた日からコーカイ様は私を心配してハート様を叱りに行くことが多々ある。その度罪悪感でいっぱいになりそうだけど、それがハート様の望みでコーカイ様の幸せになるならと協力者から抜け出せない。
ハート様がコーカイ様を想う気持ちはきっと私以上にあるからこそ本当にこれでいいのかと悩む毎日。
だって死が近いなんて私なら好きな人に支えてほしいし、傍にいてほしい。きっと不安で仕方ないと思うから。
なのにハート様は顔色の悪さを隠して死に際であるなんてことをコーカイ様に悟らせない。きっとお辛いだろうに。
あれから毎日ふと瞬間どこにもいないハート様を探せば必ずと言っていいほどにぐったりとして血を吐き出す姿がない日は少ない。
日に日に悪くなっているのが医師でもない私にだってわかる。あまりに酷い日は人のいない土ある地面を探して血を土で隠す日々。スコップなんて持ち歩かない私もハート様の手も当然土だらけとなる。洗っても爪に残る場合は手袋で手を隠したりして申し訳なさそうに私を見るハート様は今にも消えそうだった。
私だけが知っている。私だけがコーカイ様に伝えることができる。なのにハート様の意思に逆らえない。だってそのせいでハート様が生きる理由をなくしてしまわれたら?
自ら命を絶ってしまいそうで怖いのだ。私に命を救う手立てがあれば、私にその寿命を増やす知識があれば………なんて思ってしまうほどにコーカイ様とは違った意味でハート様に惹かれて仕方ない。
もし奇跡的にハート様のご病気が完治したのなら私は全てを話して自分の気持ちを抑えてハート様とコーカイ様の二人を応援するだろう。ハート様は信じていないが、コーカイ様は確かにまだハート様を想う気持ちがあるのは間違いない。
それはきっと私にはどうしようもない二人の過ごしてきた時間があるから。ただ、コーカイ様はハート様の変わりようや浮気を疑ってしまうために私に逃げてしまっているのだ。
その隙間に私への好意が生まれ始めている。
私は最低だ。なんだかんだ言いながらやはり好きな人には想われたいのかもしれない。ハート様ほどコーカイ様を想える自信もなくなんて勝手なんだろう。
「コーカイ様、私は貴方が好きです。その気持ちがあれば強くいられます」
「ヒロイン………僕も君が好きだよ」
コーカイ様のその気持ちに嘘はない。けど、コーカイ様気づいておられますか?貴方は私に好意を向ける度罪悪感と苦しさを告げるその表情が一瞬出ることに。
浮気による裏切りを理解してるからこそ出る表情。ハート様を想っていないならきっとそんな表情が無意識に出るはずもない。
ハート様が健康であったならばきっとこの二人は私が入る隙もないくらいに幸せな…………
「ヒロイン?泣いているの?どうしたんだい?」
「貴方に想われていることが幸せに思えてなんでか涙が止まらないのです」
私はずるくて最低な女。泣くまいと必死にハート様が身体の痛みに耐えているというのに私はどうしようもない罪悪感で涙している。
ハート様が本当に最低な人間であればよかったのに。あの日何故私はあんな人気のない場所に行ってしまったのか。
なんてことを思う自分が汚くて醜い化け物のように思えた。ハート様が健康ならと今の時点でありえもしないからこそそうできると思える自分は、本当にハート様が言うようにコーカイ様を幸せにできるのだろうか。
その日、また私はコーカイ様に嘘をついた。
「いえ……大丈夫です。こうして話を聞いてくれるだけで私は救われますから」
「だけど………」
ハート様に自作自演を頼まれた日からコーカイ様は私を心配してハート様を叱りに行くことが多々ある。その度罪悪感でいっぱいになりそうだけど、それがハート様の望みでコーカイ様の幸せになるならと協力者から抜け出せない。
ハート様がコーカイ様を想う気持ちはきっと私以上にあるからこそ本当にこれでいいのかと悩む毎日。
だって死が近いなんて私なら好きな人に支えてほしいし、傍にいてほしい。きっと不安で仕方ないと思うから。
なのにハート様は顔色の悪さを隠して死に際であるなんてことをコーカイ様に悟らせない。きっとお辛いだろうに。
あれから毎日ふと瞬間どこにもいないハート様を探せば必ずと言っていいほどにぐったりとして血を吐き出す姿がない日は少ない。
日に日に悪くなっているのが医師でもない私にだってわかる。あまりに酷い日は人のいない土ある地面を探して血を土で隠す日々。スコップなんて持ち歩かない私もハート様の手も当然土だらけとなる。洗っても爪に残る場合は手袋で手を隠したりして申し訳なさそうに私を見るハート様は今にも消えそうだった。
私だけが知っている。私だけがコーカイ様に伝えることができる。なのにハート様の意思に逆らえない。だってそのせいでハート様が生きる理由をなくしてしまわれたら?
自ら命を絶ってしまいそうで怖いのだ。私に命を救う手立てがあれば、私にその寿命を増やす知識があれば………なんて思ってしまうほどにコーカイ様とは違った意味でハート様に惹かれて仕方ない。
もし奇跡的にハート様のご病気が完治したのなら私は全てを話して自分の気持ちを抑えてハート様とコーカイ様の二人を応援するだろう。ハート様は信じていないが、コーカイ様は確かにまだハート様を想う気持ちがあるのは間違いない。
それはきっと私にはどうしようもない二人の過ごしてきた時間があるから。ただ、コーカイ様はハート様の変わりようや浮気を疑ってしまうために私に逃げてしまっているのだ。
その隙間に私への好意が生まれ始めている。
私は最低だ。なんだかんだ言いながらやはり好きな人には想われたいのかもしれない。ハート様ほどコーカイ様を想える自信もなくなんて勝手なんだろう。
「コーカイ様、私は貴方が好きです。その気持ちがあれば強くいられます」
「ヒロイン………僕も君が好きだよ」
コーカイ様のその気持ちに嘘はない。けど、コーカイ様気づいておられますか?貴方は私に好意を向ける度罪悪感と苦しさを告げるその表情が一瞬出ることに。
浮気による裏切りを理解してるからこそ出る表情。ハート様を想っていないならきっとそんな表情が無意識に出るはずもない。
ハート様が健康であったならばきっとこの二人は私が入る隙もないくらいに幸せな…………
「ヒロイン?泣いているの?どうしたんだい?」
「貴方に想われていることが幸せに思えてなんでか涙が止まらないのです」
私はずるくて最低な女。泣くまいと必死にハート様が身体の痛みに耐えているというのに私はどうしようもない罪悪感で涙している。
ハート様が本当に最低な人間であればよかったのに。あの日何故私はあんな人気のない場所に行ってしまったのか。
なんてことを思う自分が汚くて醜い化け物のように思えた。ハート様が健康ならと今の時点でありえもしないからこそそうできると思える自分は、本当にハート様が言うようにコーカイ様を幸せにできるのだろうか。
その日、また私はコーカイ様に嘘をついた。
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