15 / 109
1章(真面目版)悪役令嬢の秘密
8~ナダム公爵当主視点~
「私の息子では力不足だったか………」
ホープ侯爵から告げられた婚約解消の件。グリーフ・ホープ侯爵は学園時代からの仲。だからこそ生まれながらにして命に限りができてしまった友人の娘の願いを叶えられるならと息子との婚約を了承した。
優しき息子なら真実を知らずとも彼の娘のよいパートナーとなるだろうと。きっと悲しませてしまうかもしれないし、責任を重く受け止めてしまうかもしれないが。
だが、きっと親の欲目というものが出てしまっていたのだろう。息子では力不足だったようだ。
それとも娘の方が限りある命に押し潰されてしまったのだろうか。最近は息子から婚約者の話を聞かなくなったとは思っていたし、婚約者の悪い噂を耳にするようになって嫌な予感はしていた。
だが、まさか婚約を解消したいほどに息子が嫌われていたとは。
『レヴェリー………レヴェリー嬢は僕にもったいないくらい愛らしくて守ってあげたい存在です』
いつだったか婚約してまもなくした頃にロイエが言った言葉。どうやら息子ではレヴェリー嬢を守るには弱すぎたのかもしれない。
やはりレヴェリー嬢の余命を教えるべきだっただろうか。だが、レヴェリー嬢について楽しそうに話すロイエを見ていると話すに話せなかった。これは私の人間としての弱さだろうか。
何はともあれ向こうがそうしてほしいなら私は叶えてやるべきだろう。
私は連絡がきた翌日に学園を休ませてロイエを呼び出した。何やら緊急事態かと険しい顔をするものだからどうしたものかと思ったがただ私は告げればいいだけだ。
「ロイエ、秘密裏にレヴェリー嬢との婚約を解消しなさい」
「え?」
ロイエの驚いて目を見開く姿に、まさか私から言われるとは思わなかったのだろう。元々は私がこれは絶対だとばかりに押し付けたような婚約だったのだから。
うまいようにいっていたから安心していたのだが………私の気のせいであったのだろう。どこか息子から驚きと共に安堵したようなそんな表情が見受けられた。
「ロイエ、私の我が儘ですまない」
「父上?」
決して息子を道具のように思ってはいたわけではない。ただ、少ない友人の娘レヴェリー嬢の幸せに加担してやりたかった。
たまたまレヴェリー嬢が息子に惹かれたかもしれないと聞いて協力してやりたいと息子の気持ちを無視し、レヴェリー嬢に確認すらせず強引にした結果が今なのだろうか。よりレヴェリー嬢を不幸にさせてしまったかもしれない。
ホープ侯爵は父親失格だと私の前で嘆いていた。私もまた父親失格かもしれない。望みが叶うならば短い期間でもレヴェリー嬢の義父となりたかった。
あの儚くとも笑顔の可愛らしい友人の娘の義父に。
ホープ侯爵から告げられた婚約解消の件。グリーフ・ホープ侯爵は学園時代からの仲。だからこそ生まれながらにして命に限りができてしまった友人の娘の願いを叶えられるならと息子との婚約を了承した。
優しき息子なら真実を知らずとも彼の娘のよいパートナーとなるだろうと。きっと悲しませてしまうかもしれないし、責任を重く受け止めてしまうかもしれないが。
だが、きっと親の欲目というものが出てしまっていたのだろう。息子では力不足だったようだ。
それとも娘の方が限りある命に押し潰されてしまったのだろうか。最近は息子から婚約者の話を聞かなくなったとは思っていたし、婚約者の悪い噂を耳にするようになって嫌な予感はしていた。
だが、まさか婚約を解消したいほどに息子が嫌われていたとは。
『レヴェリー………レヴェリー嬢は僕にもったいないくらい愛らしくて守ってあげたい存在です』
いつだったか婚約してまもなくした頃にロイエが言った言葉。どうやら息子ではレヴェリー嬢を守るには弱すぎたのかもしれない。
やはりレヴェリー嬢の余命を教えるべきだっただろうか。だが、レヴェリー嬢について楽しそうに話すロイエを見ていると話すに話せなかった。これは私の人間としての弱さだろうか。
何はともあれ向こうがそうしてほしいなら私は叶えてやるべきだろう。
私は連絡がきた翌日に学園を休ませてロイエを呼び出した。何やら緊急事態かと険しい顔をするものだからどうしたものかと思ったがただ私は告げればいいだけだ。
「ロイエ、秘密裏にレヴェリー嬢との婚約を解消しなさい」
「え?」
ロイエの驚いて目を見開く姿に、まさか私から言われるとは思わなかったのだろう。元々は私がこれは絶対だとばかりに押し付けたような婚約だったのだから。
うまいようにいっていたから安心していたのだが………私の気のせいであったのだろう。どこか息子から驚きと共に安堵したようなそんな表情が見受けられた。
「ロイエ、私の我が儘ですまない」
「父上?」
決して息子を道具のように思ってはいたわけではない。ただ、少ない友人の娘レヴェリー嬢の幸せに加担してやりたかった。
たまたまレヴェリー嬢が息子に惹かれたかもしれないと聞いて協力してやりたいと息子の気持ちを無視し、レヴェリー嬢に確認すらせず強引にした結果が今なのだろうか。よりレヴェリー嬢を不幸にさせてしまったかもしれない。
ホープ侯爵は父親失格だと私の前で嘆いていた。私もまた父親失格かもしれない。望みが叶うならば短い期間でもレヴェリー嬢の義父となりたかった。
あの儚くとも笑顔の可愛らしい友人の娘の義父に。
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています
月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、大好きだったアニメの世界。
しかも私は、未来で断罪される運命の悪役令嬢になっていた。
破滅を回避するために決めたことはただ一つ――
嫌われないように生きること。
原作知識を頼りに穏やかに過ごしていたはずなのに、
なぜか王族や騎士、同年代の男女から次々と好意を向けられ、
気づけば全員から溺愛される状況に……?
世界に一人しかいない光属性を持つ悪役令嬢が、
無自覚のまま運命と恋を変えていく、
溺愛必至の異世界転生ラブファンタジー。
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
悪役令嬢発溺愛幼女着
みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!