(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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3章悪役令嬢とそれぞれの出会い

6~ツグナイ視点~

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「ウルーズシャーンスは幸せ、幸運、モナムールエテルネルは私の愛、永遠、モントレゾーシャーンスは君は僕の宝、ジョワシャーンスは喜び………どれも素敵な言葉で本に記された私の好きな言葉なんです。今の私は全てに出会えたと言えるでしょう」

「?」

にしては全部そのまま鳥の名前にするのはどうかと思うけど、ネーミングセンスの問題だろうか。インコもよく覚えたものだとある意味感心する。

同じ疑問を思ったのかアイ………いや、ハッピーニ嬢は首を傾げている。顔や頭に身に付けていたものがない今白く光る髪に、宝石のような赤い瞳は先程から僕を引き付けて仕方ない。

目があった時倒れたのはもしかしてと思ったけどハッピーニ嬢はハッピーニ嬢であってアイとしての記憶を思い出した様子はないと見ていてわかる。ここでは生徒会長の青年は驚くべきことに前世のアイの母だった。

何故か鳥を連れてアイと叫ぶ上級生が来た時は何かと思ったものだ。

『アイがここにいるのですか!?』

でもその必死さに僕たちはすぐ前世の記憶持ちと理解して今のアイの存在を教えた。前世父だった医師からまだアイに前世の記憶がないことも。

『思い出してほしいと思うのは私の我が儘でしょうかね』

そう悲しそうに呟くのは青年でありながら母の記憶を持つその人で、僕も胸が痛んだ。だって僕は…………私は、アイの、今のハッピーニ嬢の近くにいてもいいものかすら迷ってしまう。

全ては私のためにアイはその命を捨てたようなものだ。

信じられないかもしれないけれど私はアイを愛していた。今だって姿が変わろうと、記憶がなくても愛している。

しかし父に婚約が解消するように言われてほっとしたのも事実。そんな自分のことばかりだったから気づいた時にはもう手遅れだったのだろう。

今更考えても過去、いや前世を変えるなんて無理な話だ。

ここに前世の記憶持ちがアイの元に集まったのは運命なのだろうか。ダリィという人物は関係ない様子だけど。

『ワタシハアイノチチオヤダッタ』

インコがアイの父。正直アイの母が男として転生しているよりも驚いた。一番複雑そうだったのは今や血の繋がりもない父ハッケン。

『インコが私の………うむ』

父は前世人間関係が苦手なわけではなかったが、そこまで友と呼べる人物は少ないと言っていたことがある。だからこそ余計複雑なのだろうが、やはり会えたことは嬉しそうだった。他にも理由はあるだろうが…………。

関係ないとはいえ、父を尊敬していた私としては元父が嬉しい出会いになったならよかったと思う。もう父とは呼べないのは残念だが。

それ以上に残念なのはハッピーニ嬢と他人であることだろうか。目を覚ましてすぐ心配の声をあげてからその後、どうにも声をかけられないのは私だけじゃない。

生徒会長とインコにある意味助けられている。元親としての覚悟は所詮他人でしかなかった私たちとはそこまで違うのだろうか。アイじゃないがアイであるハッピーニ嬢と関わっていく覚悟は。



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by少し落ち込む作者より
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