(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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6章(真面目版)もうひとつの悪役令嬢~メモーリア・タナカ編~

3~タナカ視点~

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メモーリアがレヴェリーと名乗り始めてから身体はもう大丈夫だからと学園に再び登校し始めてからメモーリアに対する噂が増え始めた。元々容姿に関した話はあちこちでされていたもののそれ以外の噂が立つようになったのだ。

平民をいじめ、授業はサボり、教師の言うことも聞かずついには自殺未遂のことまでしたと。

「メリア」

「………早く、死ななきゃ」

「メリア!」

日が経つごとに周囲の言葉に反抗的な言葉が返らないどころか言葉が届いていないかのように無視される日々。

それでも見放すことができないのは僕が婚約者であると説明した時のメモーリアの表情と言葉がどうしても頭から離れない。放ってなどおけるはずもないからだ。

『婚約者………?』

『うん、君がメモーリアじゃない、レヴェリーと名乗ろうと君は僕の婚約者だよ。例えメリアが僕を忘れていても僕は君が好きだから』

『嘘だ………私を好きな人なんているはずがないわ』

『そんなことはない!君の両親だって君を心配してたんだから』

『…………そう』

まるで信じてないとばかりの無の表情。これ以上聞く気はないとばかりのそれは人と関わることを拒絶しているようだった。

この状態で学園に行かせるべきかメモーリアの両親は悩んだ末に何か思い出すきっかけになるかもしれないと僕が傍に常にいることを前提に行かせたわけだが間違いだったかもしれないと思わなくもない。

今のメモーリアはまるで死に急ぐようで、いつでも自殺を止められるよう隣を常に歩き、手を離さないようにしている。少しでも離れていると逃げ出し、何かしら問題を起こそうとするからでもある。

まるで自ら孤独になろうとしているかのように。でもひとりにさせる気などさらさらないし、死なせるなどもっての他。今度こそ守ると誓ったのだから。

自殺未遂の証の傷を見る度、守るなんて口先ばかりだと実感させられてしまう。自由を縛ることでしか守れない自分が情けない。

けれど、それでもメモーリアは生きているのだから少しでも自由に生きてあの日のように二人で笑いながら話せたならと夢を見る。

「ロイエ様?」

「メリア、僕はタナカだよ」

「…………」

よくわからない名前を出してそれに答えてはそんな会話を求めてないとばかりにまた無視をされ続ける。何を考えているのかまるでわからない。

それでも僕はどうしてもメモーリアを見放すなんてことはできなかった。例えメモーリアの両親が僕に気を遣って一旦婚約を解消してはと提案してくれたとしても。

僕が将来隣にいてほしいのはメモーリアだと今も自信持ってそう言える。
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