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へんた………王太子編ー完結ー

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考える力が失われた私にできることは否定をするのと、人に頼ること。しかし、誰もが私を軽蔑する中今頼れるのはただひとりだけ。

「ニヤーリカ、ぢがうよなああああっ?」

「いや、鼻水つくから近寄らないでよ」

情けない自覚はあった。それでも優しいニヤーリカなら、最悪慰めてくれる気がしていたのに。鼻水ごときで嫌そうにして拒まれた。確かに汚ないかもしれないがそこまで嫌そうな顔をするなどあんまりだ。

「そういえば……そこの娼婦もリバース殿下で性欲を満たそうとしたとも言われてましたね」

そんな中、攻撃対象がいきなりニヤーリカに定まった。

「ちょ………!」

その言葉でニヤーリカもまた軽蔑する視線を向けられる対象であったことを思い出す。

「どうやら似た者同士のようだな………?リバーがトラウマになり、不能にでもなったらどうする気だ?」

それを父がいる場所で伝えられたことで、ニヤーリカは父に睨まれ、しどろもどろになりながらも言い訳をしっかり考えたようで

「へ、陛下、恐れながら何か誤解があるようで………リバース殿下は何か伝え間違いか、もしくは相手を間違えてるのかと……ほ、ほら、あの悪役………こほん、アマリア嬢と仲が良いようですし、命令されて言っているとか………」

そう言いのけた。アマリアが弟に命令させた可能性があることは全く思いつきもしなかっただけに、これを理由に……なんて少しだけ希望が生まれる。

「ぼく、うそいってないもん!おとうしゃま……ぼくのことしんじてくれりゅ………?」

「もちろん信じるとも!真実を偽ろうとしたばかりかリバーを嘘吐き呼ばわりとは!」

………なんてことはなかった。もはや父はリバースに対して一片も疑うどころか、全てを受け入れる気満々だ。ただそれを言うのがリバースというだけで。私の話は聞いてくれさえしないのに。

「い、いえ、そんな……そうではなく、アマリア嬢が………」

その様子にニヤーリカも慌てたのだろう。まだアマリアが仕掛けたことにしようとしている。

「おねえしゃまをいじめるわるものめ!ぼくしってるもん!あのひとがおねえしゃまいじめてたこと!」

だからリバースの逆鱗に触れたのだろう。さらなるとんでもない冤罪を私の弟はニヤーリカに陥れようとしていた。

「ん?リバー何か見たのか?」

父はそう聞くがもし実際あったとしても学園に入れるはずもないリバースが見られるはずがないのはわかっているだろうに。

「おねえしゃまのほんやぶったりね」

それはアマリアがニヤーリカに……

「おねえしゃまにおみずかけたりね」

それもアマリアが………

「おねえしゃまをしゅうだんでわるくいったりね」

それこそ………

「おねえしゃまをかいだんからおとしたりしたんだよ!」

アマリアに怪我ひとつないのに正気か?

「ちょ……それこそそれを私にしたのがアマリア嬢です!」

ニヤーリカが慌てるのも当然だ。否定しなければ立場が逆転させられかねない。事実は逆だというのに。
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