弟が兄離れしようとしないのですがどうすればいいですか？～本編～

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「龍くんや、ちょいっとくっつきすぎではないだろうか」

「兄さんが僕を兄離れさせようとしてきたから……反抗期です」

初めての弟の絶望と殺意に似た何かにびびったのも束の間、弟が俺を自らの胸板を押し付けて離さないとばかりにきつく抱き締められている。実は俺、弟に身長抜かれてるので抱き締められるともうすっぽり腕の中に包まれちゃうんだよな。

親二人が身長差がそれなりにあるので多分俺は身長の低い母の遺伝子によるものだろう。正直弟にいいところ全部とられてる兄です。それでも弟は可愛いし、かっこいいわけでモテまくることを俺は知ってる。

昔彼女に俺は地味メン、弟はイケメンと言われたな……喜んでよかったのか今も謎だ。

とまぁ、そんなことより今の状況をどうするべきかだな。こんな可愛い反抗期なら寧ろかカモン！って感じだが、これじゃあ兄離れどころじゃない。

やはり弟は俺と同じブラコンになってしまっているのだろう。それだけ俺を好いてくれているのはもちろん嬉しいが兄弟として適切な距離感が計れなくなってしまうわけで、高校生になった今、弟も俺と同じく彼女を作ることもあるだろう。そんな時ブラコンが故に俺を優先させてしまい彼女に振られ続け………生涯独身。

そんな悲しい結末俺だけでいい！せっかく身内贔屓関係なく周囲も認める完璧人間とも言える弟が、ブラコンが故に輝かしき未来を閉ざしてしまうなんて俺は……俺は！

「兄さん、なんであんなこと急に言ったの」

そんな思考に囚われていれば弟の美声が耳元に直接響き渡る。不機嫌そうに怒った低めの声はかっこよすぎかと大声を出しかけた。可愛くてかっこいいとかうちの弟最強すぎません？

「いや、ずっと考えていたんだ。俺彼女に何回か振られてその理由が……」

「ちょっと待って」

「お、おう？」

正直に話せばわかってくれるかもしれないと話し始めたところで先程恐怖を覚えた声となり、思わずびくついてしまう。

「兄さん彼女いたの」

「あ、ああ、まあ……もう別れてるけど」

彼女のことは弟に言ってなかったし、普段から彼女より弟優先だったからやはりバレてもなかったのだろう。しかし、隠していたわけでもないのでまさかこんな反応をされるのは予想外。

もしかしなくても弟は色々俺以上に手遅れなのか……？と頭を掠める。だって彼女いたことでこんな怒るようなものだろうかなんて思うわけで、なんか弟としてってよりも恋人みたい………いやいやいや！

考えすぎだな！お兄ちゃんとられたくないっていう弟なりの独占欲故かもしれないし？

「どこまでしたの？手を繋いだ？キスは？今の僕たちみたいに密着した？まさかセックスなんてしてないよね？」

う、うーん？これも弟の……兄好きな弟らしい独占欲………か？