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何が正解で何が不正解なのか。日が経つごとにわからなくなっていき、日が経つごとに龍のが異常だとわかりながらも逆らうことができなくなっていく。

兄弟でキスなんてそれだけでもおかしいだろうに舌まで入れ始めるのに時間はそうかからず嫌悪感のない自分に実は自分もそれを望んでいたんじゃないだろうかと錯覚させられる。いや、これは錯覚なんかじゃない。

『ちょっとおかしいよ、優人』

『弟さん龍くんだっけ?年もそんな離れてないのにそこまでする必要ある?』

『いやいや、俺のとこはそこまで仲よくねぇよ。普通に俺なら彼女優先だね』

彼女に、彼女の友人に、俺の友人に、色々言われてさらに幼馴染みに言われて決意したあの日。本当はもっと前から俺は

『ねぇ、優人って龍くんが好きなんじゃないの?弟としてじゃなくて……』

『黙れ!……っあ、ごめん……お、れ』

『………もうわかった。別れよう』

二人目、三人目だっただろうか?何を言われるか察して彼女に怒鳴った瞬間別れを告げられた日があった。彼女からの別れの言葉より彼女が言おうとしたことに冷や汗をかいて、違う違う違うとを否定し続けた。

違う……わかっていたんだ、俺は。

龍を見ていることに。恋してならない人に、叶わない恋に俺は絶望しその想いを封じ込めてきた。でも今のままではいつしか溢れ出てしまうと無意識に思い、俺は兄離れなんて弟の未来のためだと最もらしいことを言って………。

心の奥底では弟の嫉妬を、想いを喜びながら異常なのは弟で俺じゃないと自分を正常に見ようと必死で、逃げて逃げて逃げた先が今の状況なんだと行為が深くなるに連れ俺はようやく思い出した。

俺は知っていたんじゃないだろうか、こうなることを。弟が俺を逃がすはずないと、弟の想いに、気づいていて俺の気持ち同様に気づかないふりをして弟を狂わせてしまった。

「兄さん、愛してるよ」

「うん、俺も愛してる」

俺だけを見る龍に、愛の言葉に、自分ですら忘れるほどに封じ込めた龍への想いを引きずり出された俺の心が喜びに溢れる。ああ、もうだめだ。これは隠せない。

もう龍から離れようなんて考えられない。

「ふふ、久々に兄さんの笑った顔見たなぁ」

言われて気づく。俺はずっと笑ってなかったのかと。弟としての龍が気にかけないよう笑っていたつもりだったから。

これもそれも龍への愛が止まらないが故だろうか。

なあ、龍。それはもう俺がお前を手放してやれない証だ。俺を縛り付けている気である龍は気づいてないだろうが、まんまと罠にはまって逃げられなくなったのは龍かもしれないぞ?

気づかせる気も、気づいても逃がす気なんてもはやないが。俺は異常だ。異常でいい。最初から想いを捨てられず封じた時点で俺は正常になどなれやしなかったのだから。それが今さらようやくわかった。
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