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「嫉妬で人をいじめるような女はこの国の未来の王妃にふさわしくない!よってお前とは婚約破棄だ!」
突然のお城でする学園卒業パーティーにて大声で告げられた言葉に辺りは騒然とした。その言葉を発した男性はこの国の王太子であるリオン・レーグル。私レイン・カーサの幼い頃から決められた婚約者でもある。
「殿下、何かの間違いです……っ!私……!」
「酷いっ!まだしらを切りますの?私にあんな酷いことをして……ううっ」
この雌豚がぁっ!と思うもののなんとか言葉を飲み込む。あからさまの嘘泣きに殿下は騙されたというのか。否定なんて許さないとばかりに叫ばれた言葉になんとも言えぬ怒りがわく。
「マリアンヌ可哀想に……。全くお前というやつは……」
そんな怒りをつつくように私がいじめたと信じきっている殿下の瞳。婚約が決まった幼い頃は仲良くできていたし、何事も一生懸命な殿下が好きで………なのにいつからだろう?
殿下が勉強もしなくなり、剣術の稽古すらさぼって努力を怠るようになったのは。そして私から距離をとるようになり始めたのは……。
何度も注意したし、いつかは昔みたいにと信じた結果がこれなのだろうか?そう思うと胸がもやもやむかむかして何かが弾けるように我慢していたものが押し寄せた。
あの頃に戻れたら……そんな些細な気持ちと共に出る言葉。
「今の殿下なんて私の方から願い下げです!」
とたんに私の体から光が溢れ出す。
「こ、これは聖女様の輝き!」
「なんと……聖女様とは!」
卒業パーティーにはお祝いを祝うために教会の人も来ていた。そんな人たちが叫ぶ聖女様という言葉に光出した私を眩しそうに見て既にざわついていた周囲がよりざわつく。
そして光が治まり、何これと思いながらも少しばかりチカチカした目を擦れば目の前には信じられない光景が。
「「「聖女様誕生だ~!」」」
「いやいや、そんな場合じゃないでしょう!?」
聖女の誕生は国を豊かにする存在として誰もが喜ぶのはわかるし、私が聖女?と信じられない気持ちもあるにはあるけど、本当にそれどころじゃない。
私の目の前には小さくなった殿下がいた。気のせいか私と婚約した頃辺りの幼い殿下が、サイズの合わなくなっただろうズボンを床に落として上の服をぶかぶかにさせながら状況がわからないとばかりにきょろきょろしている。
かわい……いやいや、これなんで誰も気にしないの?
「で、殿下……?」
あ、気にしてくれる人いた。それは殿下の隣で嘘泣きをしていた雌豚……いや、マリアンヌと殿下が言っていた女性。さすがの彼女も嘘泣きをやめてぽかんとしている。
「おばさん、だれ………?」
「お、おば……っ」
「………っ」
声をかけられたと思った殿下はそのマリアンヌを見上げて首をかしげて放った言葉はマリアンヌを絶句させた。思わず吹き出しそうになったことは許してほしい。
さっきのことを考えてもマリアンヌをおばさん呼ばわりする辺り記憶も幼くなっているのが伺える。つまりはピュアなだめになる前の殿下に戻ったということ。身体ごと。
これが聖女の力……?もしかしなくても私の想いが届いたのだろうか?だけど殿下だけに戻られては困る。
年の差からして余計婚約続行は難しいのではないだろうか?
突然のお城でする学園卒業パーティーにて大声で告げられた言葉に辺りは騒然とした。その言葉を発した男性はこの国の王太子であるリオン・レーグル。私レイン・カーサの幼い頃から決められた婚約者でもある。
「殿下、何かの間違いです……っ!私……!」
「酷いっ!まだしらを切りますの?私にあんな酷いことをして……ううっ」
この雌豚がぁっ!と思うもののなんとか言葉を飲み込む。あからさまの嘘泣きに殿下は騙されたというのか。否定なんて許さないとばかりに叫ばれた言葉になんとも言えぬ怒りがわく。
「マリアンヌ可哀想に……。全くお前というやつは……」
そんな怒りをつつくように私がいじめたと信じきっている殿下の瞳。婚約が決まった幼い頃は仲良くできていたし、何事も一生懸命な殿下が好きで………なのにいつからだろう?
殿下が勉強もしなくなり、剣術の稽古すらさぼって努力を怠るようになったのは。そして私から距離をとるようになり始めたのは……。
何度も注意したし、いつかは昔みたいにと信じた結果がこれなのだろうか?そう思うと胸がもやもやむかむかして何かが弾けるように我慢していたものが押し寄せた。
あの頃に戻れたら……そんな些細な気持ちと共に出る言葉。
「今の殿下なんて私の方から願い下げです!」
とたんに私の体から光が溢れ出す。
「こ、これは聖女様の輝き!」
「なんと……聖女様とは!」
卒業パーティーにはお祝いを祝うために教会の人も来ていた。そんな人たちが叫ぶ聖女様という言葉に光出した私を眩しそうに見て既にざわついていた周囲がよりざわつく。
そして光が治まり、何これと思いながらも少しばかりチカチカした目を擦れば目の前には信じられない光景が。
「「「聖女様誕生だ~!」」」
「いやいや、そんな場合じゃないでしょう!?」
聖女の誕生は国を豊かにする存在として誰もが喜ぶのはわかるし、私が聖女?と信じられない気持ちもあるにはあるけど、本当にそれどころじゃない。
私の目の前には小さくなった殿下がいた。気のせいか私と婚約した頃辺りの幼い殿下が、サイズの合わなくなっただろうズボンを床に落として上の服をぶかぶかにさせながら状況がわからないとばかりにきょろきょろしている。
かわい……いやいや、これなんで誰も気にしないの?
「で、殿下……?」
あ、気にしてくれる人いた。それは殿下の隣で嘘泣きをしていた雌豚……いや、マリアンヌと殿下が言っていた女性。さすがの彼女も嘘泣きをやめてぽかんとしている。
「おばさん、だれ………?」
「お、おば……っ」
「………っ」
声をかけられたと思った殿下はそのマリアンヌを見上げて首をかしげて放った言葉はマリアンヌを絶句させた。思わず吹き出しそうになったことは許してほしい。
さっきのことを考えてもマリアンヌをおばさん呼ばわりする辺り記憶も幼くなっているのが伺える。つまりはピュアなだめになる前の殿下に戻ったということ。身体ごと。
これが聖女の力……?もしかしなくても私の想いが届いたのだろうか?だけど殿下だけに戻られては困る。
年の差からして余計婚約続行は難しいのではないだろうか?
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