(仮)泣かないで!婚約破棄も君以外に惚れたりもしないから!~王子様は悪役令嬢に笑ってほしい~

荷居人(にいと)

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学園一部編

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「うぐ……ひく……っ」

「あーレーヴェ嬢?せ、先生の顔が怖いかな?大丈夫だよー?」

授業で泣き続けるエリーナについに根負けしたとばかりに教師が授業を止めて泣き止まそうとするのがわかる。しかし、決してエリーナは教師を怖がっているわけじゃない。

「先生、エリーナは学園に入れた感動とついていけるか不安で泣いているようです」

「後者はともかく、学園に入れた感動って入学式からもう1ヶ月経ってるけど………?」

「エリーナは感受性が強くて幼い頃私の家の庭の薔薇の輝かしさに感動して毎日薔薇を見ながら一年間泣き続けました。今では我慢して黙ってはしまいますけど、泣くことはなくなりましたよ?」

それからは毎度同じように授業で教師が変わる度説明した。婚約者として当然のことだと思ってエリーナの通訳も同時にやり続けた結果、気がつけば俺たちの席は隣同士が固定に。

どうやら俺たちの愛が伝わりすぎたようだ。エリーナも俺の隣で安心するようだし、俺も嬉しいしで何よりである。

「う……っう………っ」

「先生!エリーナがそこがわからないのでもう少し詳しくと」

「そ、そうか?どこがわからないんだ?」

「ひく……っ」

「だそうです」

「すみません、キリアス様、私にはレーヴェ嬢語がわからなくてですね」

この学園では生徒のわからないことを理解するのが教師と聞いていたけど、想像より怠けているんだろうか?まあ俺の家庭教師もエリーナのことを理解してなかったが……うん、まあ、エリーナのことは俺が理解していればいいか。

「そこの公式問題の途中式が簡略しすぎてわからないようです。一度細かく書いていただけますか?それを見れば自分なりに解けそうだそうです。後、できれば私は書くのが遅いのでもう少し消すのを待っていただけたら助かりますと。話はとてもわかりやすいです。でも指摘ばかりして不快にさせたら申し訳ありませんと謝罪もしています。ですが、できれば授業の後質問をしたいと」

「あのしゃっくりにそんな長文が……?し、質問は構いませんが、キリアス様、同行をお願いできますか?」

「それは構いませんが……エリーナはいいか?」

「ひく……っ」

「レーヴェ嬢はなんと……?」

「はは、俺が……私がいないと心細いからぜひと」

「………キリアス様、授業中に惚気ないように」

「え?」

聞かれたから答えたのに叱られたのは何故。なんだかなあと思いながらその日の授業は終わったし、質問もできてエリーナのご機嫌がよかったので気にしないことにした。

泣くほどに理解できたことが嬉しいなんてエリーナは本当に真面目だと思う。もちろんそんなエリーナも可愛いわけだけど。

「キリアス様、惚気は帰ってからお願いします」

「え?」

口に出しただろうか?その日はなんだか数学の教師の視線が痛かった。そういえばあの教師は独身………そう考えたとたん背中に寒気がしたので考えるのをやめた。

~宣伝学園一部編終了~










あとがき
宣伝一部はこれで全てです。意外と好評なようなので長編がんばってみようかなと思います。

とりあえずはタイトルから……今回の名前はあくまで仮ですが、そのまま使う可能性もあります。

いい名前あればぜひお願いします!
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