夢世界(オルト=フィーリア)の救世(くぜ)巫女

志野木 英里

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夢見る少女の始まりの物語

第5話

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 私の手とアメリアの手が触れたその瞬間の出来事。急に目の前が暗転した。何が起こったのか全く分からない。その時何か声が聞こえた。

「異界の御霊みたまよ。」

 厳かそうな声に呼ばれたような気がした。周囲を見渡しても何もいない。周囲から響くように聞こえる気がする。

「私は……一体……ここは?」

 先ほどまでの夢として見ていた感覚と同じだが何か違う感じがする。だが、それが何なのかはわからない。再びさっきの声が聞こえた。

「汝……女神の加護を受けし者よ……」

「貴方は誰なの?アメリアはどうなってしまったの?」

「我は聖獣……女神が生み出せし封印を担う一柱」

 聖獣……アメリアが正式に巫女となるときに契約する存在……だったはず。でもアメリアはまだ契約していなかったはず。それになぜその聖獣が私と話をしているのだろうか。聖獣の首飾りは敵に奪われているのに。

「巫女は死んだ。故に縁のある汝が巫女たる器の中にいる。」

「時間がない。汝に問う。汝救世くぜたるか?」

「くぜ?」

「世界を救うもの。故に救世。汝は女神から託されたはずだ。世界の救済を。」

 確かに救ってくださいと言われていはいた。いつも見るアメリアの夢と違うためつながりが見えなかったのだが、あの光が女神さまってことだったのかもしれない。

「汝は何を願う?何を成す?」

 私の願い……私のしたいこと……私はアメリアがいたおかげで勇気づけられていた。アメリアが私のともしびのようなものだった。アメリアがいたから頑張ることができた。何事も。だから、私の願いは――

「私は、できることならこの世界を守りたい……アメリアが過ごしたこの世界を!」

 それが私の願い。たぶん私がにいる理由。

「よかろう……。巫女との縁、女神からの加護を鑑みて汝に契約の続きを許そう。」

「契約?」

「左様。巫女は死の直前我との契約の言霊を紡いだ。だがそれは途中で終わってしまった。」

 そうか……こうしてこの聖獣と話すことができるのは契約の儀式が途中で終わり中途半端なままで繋がりができてしまったから……ってことなのだろうか。

「時間も限られている。早く目覚めねば肉体と魂の繋がりか完全に消えてしまう。故に今から伝える言霊をしかと覚えよ。」

 少しの間。聖獣から伝えられた契約の言霊というものを何とか覚えられることができた。だけど……不安だ。アメリアを殺したのもまだ残っているだろうし杖も首飾りも奪われている。平和な世界で生きてきた私に本当にできるだろうか。

「案ずるな。汝は女神に選ばれし縁あるもの。己を信じよ。」

 不安に駆られていると聖獣はおもむろに私を励まそうとしてきた。悟られてしまったのだろうか……不安感を。

 でも……現状私にしかできない。このまま昔から見ているアメリアの世界が大変なことになってしまうかもしれない。それなのに何もしないのもそれはいやだ。

「ありがとう。励ましてくれて。不安に思ってちゃだめだよね。私にしかできないことだもんね。」

「うむ、汝にしか成しえぬ。それに我もついておる。」

「うん!あっ!戻る前に教えて?あなたの名前を。」

「我か?我は聖獣――」

 その後強烈な光に包まれる。それは聖獣による肉体と魂をつなぎ合わせるもの。アメリアとして使命を果たすための祝福の光……

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