猫かぶった自分

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①猫かぶってます。

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私は社会人5年目。会社には慣れて後輩もいる。よく上司と後輩の板挟みになって両方から互いの愚痴を聞いている。間にいる私の気持ちは誰が聞くんだよ。とたまに思う。でも、まぁ面倒なので黙って笑顔と同情した顔で聞く。正直話の内容はあまり覚えていない。誰かに共有をすることもない。

今日も新人の坂田さんがコピー機の所でやらかしている。私は気付いているが、気付いてないふりをわざとしている。何故かと言うと、コピー機に紙が入っていないだけだからだ。会社に入って間も無いなら丁寧に教える。しかし、今はもう10月だ。なぜ紙が出てこないのか考える必要もある。頑張れ坂田さん。

「すみません、お時間いいですか?」坂田さんから声をかけられ、すぐにニッコリと「うん、大丈夫だよ」と返事をする。「今コピー機使ってるんですけど、紙が出てこなくて…壊したかもしれません…」困ったように眉毛が下がっている。

「普通に触ったら壊れねぇから!コピー機の紙挟むところを何度も開け閉めしても紙は出てこねぇよ!紙の補充がめんどくせぇだけじゃねぇのか!こちとら、会議まで後30分切ってんだよ!」

とは言わない。なぜなら面倒になるのが嫌だからだ。
だから私は「コピー機難しいよね。紙の補充はしてあるか確認してくれる?もし無かったら備品室から持ってきて補充してね。」と無難な回答だ。

私が中学生の頃は今とは逆の人間だった。思ったことはすぐに言う。大人の言うことには反抗した。ルールと真逆のことをした。無難なことはしたくなかった。あえて、目立つことをしていた。面倒なことは嫌いじゃなかった。

中学生になって何故か目を付けられた私は3年生に呼び出された。最近まで小学生だった可愛い素直な女の子なのに。喧嘩なんてしたことなかった。みんな仲良しが当たり前だと思っていた。
だから呼び出されて「調子乗ってるでしょ?」と言われても意味が分からずに「調子いい?」と勝手に頭で変換してしまい、元気よく「はい!」と答えた。そこからは急に殴られ蹴られ暴言を吐かれ…普通だったら泣いていたと思う。でも私は火がついた。1年生の私が3年生を思いっきり殴った。3年生は5人くらい居たと思う。流石に5人を倒せないと冷静に考えた私は1人をずっと殴り続けるという作戦にした。
案の定、3年生はその1人を心配して走って逃げた。
取り残された私は初めての感覚に驚いた。楽しかったんだ。

次の日から変な噂が立てられた。「こいつの両親はヤクザで逮捕されているらしい」「すぐにキレるらしい」とか。確かに両親は海外出張でほとんど家にいない。だがすぐにはキレない。うるさいなと思いながら席に着く。昨日の夜に読んだクローズのおかげで主人公になった気分だ。うん。悪くない。

クラスメイトの島が話しかけてきた。「昨日3年生と喧嘩したって聞いたけど」
「え!まじで!?」「勝った?勝った?」「え!喧嘩できんの!?」他のクラスの人からは冷たい視線を感じたが、このクラスは違うらしい。強いと正義なのか。
それとも珍しくてからかってるのか。よく分からないが入学早々目立った私は怖いものはない。「普通に勝ったよ」と言う。
そこに担任が入ってきた。「おはようございます!」多分35歳くらいの女性の先生だ。「もうチャイム鳴ったよ!席に着きなさーい!」
可哀想に。優しそうな先生だけど、誰も聞いてない。このクラスはやっぱり問題児の塊なのか。その担任なんて可哀想だな。と思っている間もクラスメイト達は「3年生が負けたんだから学校の番長じゃん!」とか盛り上がっている。

「…こら!いい加減にしなさい!チャイム鳴ってるって言ってるでしょう!さっさと座りなさい!」

一気に静かになる教室。輪の中心に居ただけなのに私のことを見ている先生。優しそうだと思ったけど撤回する。意外と厳しいんだ。静かになった教室で私は口を開く。「うっせぇよ」初めて先生に反抗した。先生は顔色変えずにこっちを見つめる。クラスメイトはビックリした顔でこっちを見ている。全員が私を見ている。「朝からおっきい声出すなよ、このクソババアが」
意外と緊張しない。この状況すら楽しめている自分に驚く。「すごいね」「流石3年生に勝っただけある」「ヒュー」やっぱりこのクラスは変なやつが多いみたいだ。類は友を呼ぶは本当だったんだ。てことは、私も変だってことだ。

「後で職員室に来なさい」わざわざ私の席まで来て言う先生。他の不良だったら「行かねぇよ」とか言うんだろうけど、もう長引いても面倒になるだけだと思った私は黙って聞いた。

職員室に来なさいと言われていたが、クラスメイトと話すと面白い奴が多くて楽しい時間を過ごしてた。すっかり職員室なんて忘れていた。島っていう奴も喧嘩をよくするらしい。気だるそうにしているが、ヤンチャなタイプだ。ララっていう奴は喧嘩はしないが楽しいこと第一タイプで後先見えなくなってしまうおバカなやつだ。タンタンこと田島はララよりか落ち着いているが基本同じようなタイプだ。蘭は真面目で優秀だが、大人の目がない時に1番ヤンチャするタイプだ。
「今から遊びに行こうよ」とララが言う。まだ1時間目が始まる前だが、帰り支度をし出す。「私はやめとくね、また誘ってよ」蘭は正しい方を選んだ。

皆で学校を出たが、所詮は中学生。それもこないだまで小学生だった中学生だ。行く宛てなんてない。ここは都会ではない。だからといって田舎でもない。ゲームセンターに行くには車で30分はかかる。歩いたら1時間はかかるだろう。適当に歩いて時間をつぶす。

結局学校から15分程離れた公園だ。それぞれ、駄菓子屋でお菓子とジュースを買って、どこの小学校出身なのか、仲のいい友だちなどたくさん情報交換をした。その日は大した事はせず、ただ話してお昼頃にはお腹が空いて解散した。

次の日に大変なことになるなんて思わずに家に帰った。
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