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4月

7話

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「おい、お前だろ?さっきの喧嘩見てたの?こっちを見ろ!」

ヤンキーの喧嘩を見るのは良いのだが、絡まれるのは遠慮したい。

でも、揉めるのも嫌だからゆっくり振り向いた。

スタスタと2年のヤンキーがメンチ切ってこっちに向かってくる。

正面から見るとデカい人だな。
って思った瞬間
ヤンキーは俺を担いで周りをキョロキョロ見渡して走って何処かに向かった。

さっきの場所は目立つから、目立たない場所でカツアゲされるのかな?
やだなぁー。
そう思ってると、少し入り組んだ路地裏に到着した。

担がれた俺は地面に下ろされそうになったが
そのまま足は地につかないまま
ヤンキーが涙を流しながら俺に抱きついてきた。


あれ?このパターンって、

「ま、魔、王様ー、ずっと、ずっっっっとお待ちしてました。何で早く会いに来てくれなかったんですか?俺、寂しくて寂しくて何度も自殺しそうだったんですよ、俺に構って下さい!」

うん、こいつも残念な奴だ。

でも、人目を気にしてくれた事に感謝を込めて
とりあえず、泣いてるから
背中を優しく撫でると

「頭にしてくれ」と言われ

その顔で頭にしろとかw
ギャップがあって可愛いな、おいw

ヤンキーの頭を撫でながら
「先輩、申し訳ないのですが、俺は魔王ではなく、神崎 真央って名前です。先輩の名前を教えて下さい。」

やっぱり、魔王からの過剰なスキンシップは流行りみたい。

「(この方は記憶がないのか、なら仕方がない)二科 昴(にしな すばる)耀明高2年。貴方だったら下の名前で呼んで欲しい。」

よかった~、一回で話を聞いてくれたよ、この先輩。
あの変人供と違う人種だけど貴方も金持ちのお坊ちゃんかよ!

ふと思った、金持ちのお坊ちゃん達は厨二病が卒業できない残念なイケメンが多いのか?

「わかりました、昴さん。」
「呼び捨てで構わない、あと敬語も不要だから俺もお前の事、真央って呼ぶ。」

まぁ、いいか。

「わかった、昴。」
「なぁ、真央一つ聞いていいか?」
「ん?いいよ。」
「俺の事さっき先輩って言ってたけど、学校一緒なのか?」

あー、そういえば俺、今私服だな
私服姿で先輩って言われるとわからないよな

「今日から耀明に入学した1年生だよ」
「そうか、なら明日からちゃんと俺も学校行く、クラスはどこ?」

ちゃんと行くって、不登校気味でしたかw
まぁ、行っても行かなくてもどっちでも俺には関係ない。

「3組」

まさか、権力使って1年3組になるとか言わないよな?

「昼休み、俺と…飯食べないか?」

あー、まともな人で良かった!

「毎日は無理だけど、それでも昴が良いなら大丈夫だよ」

「あぁ、それで構わない。」

よし、もういいだろう、

「昴、ごめんだけどそろそろ降ろして欲しい、俺重いでしょ。」

「あ、すまんな、今下ろす。大丈夫だ、真央はそこまで重くない」

やっと、開放された!
拘束されたまま地面に足が付かないって以外とキツい。
足が地につくって素晴らしいと思うw

「昴、ありがとう(ニコ)!」

「(なんだ、この可愛い生き物は!魔王様の時はカッコよかったのに)…真央が礼を言う必要性を感じない」

何故、赤面してるんだ?
赤面要素どこにあった?

「昴、顔赤いけど大丈夫か?」

「気にしないでくれ」

まぁ、本人が言うならほっとこう。
とりあえず、今何時だ?
あー、それなりに5時過ぎかそれなりに時間が経ってる。

「じゃあ、そろそろ俺夕飯の買出し行かないといけないからもう行くね。」

「待って、俺にも買出し手伝わせてくれ、俺のせいで遅くなったんだから荷物持ちになろう」

うーん、多分この人は無害だと思うから
いっか、よし

「じゃあ、よろしく!」

「任せろ」


俺は重要な事を一つ忘れて、荷物持ちを助っ人に入れ商店街のスーパーに向かったのだった。















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申し訳ないですが、私用で明日はお休みにさせていただきます。

次の更新は月曜日になりますので、宜しくお願い致しますm(_ _)m


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