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第2章 氷の王子と消えた託宣
第1話 揺れる蕾
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不意にアンネマリーの立つ石畳の床が、白く光った。
仄暗い部屋の中、アンネマリーを中心に円を描くように走った閃光は、床から天井へとその輝きを立ち昇らせる。驚きにハインリヒはその光をただ見上げるしかなかった。
アンネマリーは光柱の中心で怯えるようにその身をすくませた。次の瞬間、描かれた円の輪郭そのままに石畳の床が形を歪め、アンネマリーごとその床が崩れ落ちていく。
「アンネマリーっ!!」
「ハインリヒさま……!」
アンネマリーを捉えようと咄嗟に手が伸ばされる。その手を握り返そうとアンネマリーもハインリヒへと必死に指先を差し伸べた。
互いの指先がかすめるように交差して……無情にもアンネマリーは床ごと姿を消した。
耳障りな騒音を立てて石畳が崩れ落ちていき、後に残ったのは床に開いた大きな穴だけだった。
「……アンネ……マリー……」
穴の縁へと膝をついたハインリヒは、呆然とその場所を覗き込んだ。
その奥は深淵を描き、下がどこまで続いているかすらわからない。からん……とかけらが吸い込まれていくも、それが階下へ落ちた音すら聞こえなかった。
「なぜだ……なぜ、こんなことに……」
震える声は静かに響いて闇の中へと消えていく。静寂を取り戻した部屋にひとり取り残されたハインリヒは、目の前の醒めない悪夢に息を詰まらせた。
消えた託宣を巡り事態が動き出すこの日まで、残すところあと三か月――
仄暗い部屋の中、アンネマリーを中心に円を描くように走った閃光は、床から天井へとその輝きを立ち昇らせる。驚きにハインリヒはその光をただ見上げるしかなかった。
アンネマリーは光柱の中心で怯えるようにその身をすくませた。次の瞬間、描かれた円の輪郭そのままに石畳の床が形を歪め、アンネマリーごとその床が崩れ落ちていく。
「アンネマリーっ!!」
「ハインリヒさま……!」
アンネマリーを捉えようと咄嗟に手が伸ばされる。その手を握り返そうとアンネマリーもハインリヒへと必死に指先を差し伸べた。
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耳障りな騒音を立てて石畳が崩れ落ちていき、後に残ったのは床に開いた大きな穴だけだった。
「……アンネ……マリー……」
穴の縁へと膝をついたハインリヒは、呆然とその場所を覗き込んだ。
その奥は深淵を描き、下がどこまで続いているかすらわからない。からん……とかけらが吸い込まれていくも、それが階下へ落ちた音すら聞こえなかった。
「なぜだ……なぜ、こんなことに……」
震える声は静かに響いて闇の中へと消えていく。静寂を取り戻した部屋にひとり取り残されたハインリヒは、目の前の醒めない悪夢に息を詰まらせた。
消えた託宣を巡り事態が動き出すこの日まで、残すところあと三か月――
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