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第2章 氷の王子と消えた託宣

番外編 《モノローグ》転生王女の回顧録(前)

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 わたしの名はテレーズ・ド・アランシーヌ。

 ブラオエルシュタイン国の第二王女として生まれ、三年前、ここアランシーヌ国に嫁いできた。
 今は第三王子妃として役目を果たす毎日だ。嫁いだ以上、アランシーヌに骨をうずめる覚悟で日々公務に当たっている。

 アランシーヌは生まれ育った平和な母国とは違い、大陸に大国として君臨している。しかしその分、国内外問わず争い事が絶えず、すべてが盤石とは言い難い国だ。

 アランシーヌ王家には三人の王子がいる。

 温厚だが扱いやすいぼんくら第一王子。
 野心家でやることがえぐい切れ者第二王子。
 そして、甘やかされて育ったわがままオレ様第三王子。

 第一王子と第三王子は正妃の子供だが、第二王子は王が側妃に産ませた子だ。王太子は今のところ第一王子が有力候補となっているものの、王による指名はまだ行われていない。

 保守派は第一王子を意のままに操り今の権力を維持したい。改革派は敵が多いが行動力のある第二王子を。そして、王家から威信を取り戻したい教会は第三王子の後ろ盾を買って出た。

 そんな微妙なパワーバランスのもと各派閥同士が日々小競り合い、王家・貴族・教会が入り乱れた混戦状態となっている。これが今のアランシーヌ国の現状である。足の引っ張り合いは日常茶飯事、毒殺、暗殺なんでもござれな陰謀渦巻くそんな世界だ。

 わたしはそれを承知で自らここに嫁ぐ道を選んだ。そのために幼少期から英才教育を受け、この地位を得るために日々努力してきた。

 ――すべてはアンネマリー、彼女のために。


 わたしは北の小国の王女として、何の疑問もなく過ごしていた。そう、弟が生まれるあの日までは。

 忘れもしないハインリヒが誕生した極寒の冬の朝、わたしは何もかもを思い出してしまった。
 母様の腕に抱かれ、すやすやと眠る弟の顔をはじめて覗き込んだその瞬間、雷に打たれたかの如くの衝撃が襲って、小さなわたしの頭の中にすべての記憶がよみがえった。

 テレーズとなる前の、前世の記憶と言えばいいのだろうか。それはこの世界とは違う、地球という星の日本という小さな島国で生まれ育った記憶だった。

 異世界転生――その言葉が頭をよぎった。ラノベか。次に思ったことはそんな突っ込みだった。

 しかもこの世界は、わたしがかつて日本でプレイしていた乙女ゲームの世界に酷似していた。様々な乙女ゲームをプレイしていた記憶はあるが、どうしてよりにもよってこの世界だったのか……。

 『真冬に咲く薔薇~禁断のコールド・ローズ・ガーデン』

 前評判は良かったものの、発売直後から物議を醸しだした18禁乙女ゲームだ。その舞台こそが、北の小国ブラオエルシュタインだった。

 あなたはこの愛を貫けますか?
 そのキャッチコピーのもと、大々的に発表されたこのゲームのヒロインは、第二王女のテレーズ・ブラオエルシュタイン。

 菫色に輝く大きな瞳、ぷっくりとした小さな唇はアヒル口が標準だ。髪はサラサラのピンクブロンドで、顔は小動物系・庇護欲をそそる顔立ちをしていて、何から何まで典型的なヒロイン仕様だ。
 鏡に映る自分の顔は、ゲームの世界よりは幼いものの、そのヒロインそのものだった。

 ラノベか。ラノベなのか。こんなベタな展開、ラノベにもほどがあるだろう。
 わたしは多くの異世界転生者が思っただろうことを、心の中で叫んでいた。

 待望の王子の誕生に国中がお祭り騒ぎとなる中、わたしはそれから一週間、高熱を出して寝込む羽目となったのだ。


 禁断のコールド・ローズ・ガーデン、略して禁断のKRG。
 コールドだからCRGだろという突っ込みはあったものの、なぜかその通称が世に定着してしまった。日本独特の現象といえるだろう。

 発売前に大きな話題となったのは、まずは過激な乙女ゲームを連発する新進気鋭の運営会社による新作ゲームであったこと。
 次に、事前発表のイラストが美しくキャラたちもイケメンぞろいで、世の乙女たちの心をくすぐったこと。
 そして、なんといってもCVに起用されたのが、今を時めく豪華声優陣そろい踏みだったからだ。

 しかも台詞はオープニングからエンディングまで完全フルボイス、「お前」とか「あんた」ではなく、登録した名前が違和感なく再生される仕様で、自分の名前でプレイすれば、好きな声優に愛をささやかれているかのごとくプレイできるのも売りだった。

 一般的な乙女ゲームよりもかなり高額だったが、ソフトを購入すれば追課金なしとくれば、買わない手はないだろう。
 その前評判に飛びついて、わたしも即予約し、手にしたその日から徹夜してプレイした口だった。

 しかし禁断のKRGは、開けてビックリな18禁乙女ゲームだった。
 まずメインヒーローは弟、ブラオエルシュタイン王太子であるハインリヒだ。義理の弟ではない、血のつながった実の弟だ。

 メインヒーローがいきなり近親相姦などと運営は狂っているのか。世の乙女たちはざわついた。美しいスチルと共に展開されていくめくるめく禁断のラブストーリー。
 そう、この乙女ゲームは禁断の愛だらけの異常なゲームだったのだ。

 その他の攻略対象は、ハインリヒの幼馴染の公爵ジークヴァルト、近衛騎士のカイ、伯爵家の跡継ぎのルカ、実の叔父である王兄バルバナス、ジークヴァルトの従者であるマテアスだ。そして、特別なエンディングを迎えた後にのみ解放される、隠しキャラがもうひとり存在していた。

 わたしは逡巡した。この世界が本当に禁断のKRGだったとして、どのルートに進むべきなのか……。


 まず、ハインリヒルートは絶対にない。
 異世界転生といっても、自分にとっては今を生きる現実だ。実弟との近親相姦など倫理的にあり得なかった。

 このルートでは、理想の王子様であるハインリヒと甘く切ないラブストーリーが展開される。
 甘いヴォイスに美しいスチル……R18シーンも繊細に描かれ、これが実の弟でなければと泣いた乙女は数知れず。

 ハインリヒルートでの悪役は、公爵令嬢リーゼロッテだ。彼女はジークヴァルトの婚約者でありながら、母親のマルグリットと共に王太子妃の座を狙って邪魔をしてくるのだ。

 このルートのリーゼロッテは悪魔のような令嬢だった。妖精のような可憐な微笑みを浮かべつつ、取り巻きたちを自由自在に操ってヒロインをあの手この手で苦しめてくる。自らは一切手を汚さない徹底ぶりだ。

 ハインリヒルートはエッチのシーンは見ごたえはあったが、ハインリヒは極度のおっぱいフェチで、一部のちっぱいユーザーからは嫌われキャラとなった。
 それにわたしは正統派王子は趣味ではなかったので、はじめに一回プレイしたのみでハインリヒルートは終了した。


 次は公爵ジークヴァルト。寡黙な彼とのルートは比較的まともな設定だと安心してスタートしたが、冷静になって考えてみると、ジークヴァルトルートは婚約者のいる彼を寝取るストーリーだ。まっとうな恋とは言えず、ストーリーが進むにつれて、悲恋に自己陶酔するヒロインにモヤモヤした感情がたまっていく。

 このルートでも悪役は公爵令嬢のリーゼロッテだ。だがこの場合、どう考えても被害者はジークヴァルトの婚約者であるリーゼロッテだろう。
 実際にこのジークヴァルトルートでは、圧倒的にリーゼロッテに同情の声が寄せられ、ヒロインに感情移入できないと、不評なルートのひとつとなった。


 近衛騎士のカイは、王家に反発するデルプフェルト侯爵家の刺客的存在だ。カイが近衛騎士になったのも、王太子であるハインリヒに近づき暗殺するためだ。

 悪役はカイの叔母である嫁き遅れの公爵令嬢イジドーラだ。
 早世した王妃・セレスティーヌの後釜を狙って、王妃の座を手に入れようと画策してくる。ハインリヒを亡き者としたあと自分が王子を生み、国の実権を手に入れようとするのだ。

 そんな中、敵同士のカイとヒロインは恋に落ち……というロミジュリ的なストーリーが展開される。

 乙女ゲームの設定としては一番無難なルートだが、このルートはとにかく人が死ぬ。選択肢をひとつでも誤ると、即バッドエンドまっしぐらだ。

 苦難の末たどり着いたハッピーエンドも、カイとの手抜きなノーマルエッチ。途中の展開に力を入れすぎて力尽きたのか、エンディングはやけにあっさりした仕上がりだった。
 かけた労力のわりに報われないと、カイルートもユーザーに不評なルートとなった。


 ルカルートはいわゆるショタ向けのルートだ。
 ヒロイン十五歳とルカ七歳。正直、わたしはショタには興味がなかったが、ルカの容姿も声も可愛かったので、一周だけプレイしてみた。

 しかしこのルートは違った意味で開けてビックリだった。ご時世がご時世で、展開的にも絵柄的にも多くの規制がかかったらしい。

 悪役はルカの母親クリスタで、保護者として子供を守る常識的範囲の攻防が繰り広げられる。
 結局は、え? これって18禁ゲームだったよね? 的な、お手々つないでランランランなエンドに、一部ユーザーが金を返せと怒り狂い、公式が炎上する騒ぎとなった。


 王兄バルバナスはイケオジポジションだが、これもやはり近親相姦ルートだ。バルバナスは実の伯父で、ヒロインとは三十歳差だ。
 年の差はともかく、やはり近親相姦はあり得ない。しかもこのルートでの悪役は、ヒロインの父であるディートリヒ王なのだ。

 乙女ゲームにいきなりBL要素の投入である。
 いや、BLを否定するつもりは毛頭ない。あの世界には性別という壁あるからこそ辿りつける尊い真の愛がつまっていると思っている。

 だが、禁断のKRGのコンセプトはノーマルカプ向けの乙女ゲームだ。中途半端にBLを詰め込んで誰得という話である。

 18禁シーンもヒロインとの濡れ場よりも、兄弟間のラブシーンが強烈すぎて、トラウマになった乙女多数、その道に目覚めた乙女少数、そして、そのルートのみを目的にプレイする真正BLユーザーの3大派閥に分かれることとなった。


 マテアスルートは個人的に受け入れがたい。
 マテアスは公爵ジークヴァルトの従者で、糸目に丸眼鏡な一見物腰の柔らかい年上世話焼きキャラだが、実は公爵家の実権を握る腹黒鬼畜眼鏡なのだ。
 嫉妬心が激しく、ヒロインに近づく男を陰謀をもって狡猾に貶めていく。このルートも人死にが多いルートだ。

 悪役も公爵家を守らんとするリーゼロッテがジークヴァルトの婚約者として登場するが、リーゼロッテはマテアスの手によってあっさりと退場させられる。マテアスの方がよほど悪役ポジションというものだ。

 ヒロインもいつの間にかマテアスに絡めとられており、どんなにフラグを折ろうとも逃げられない状況に追い詰められていく。

 R18シーンは言葉攻めが鬼畜すぎて、よほどのマニアでないとついていけないルートだった。わたしは早期に戦線を離脱、結局マテアスルートは攻略せずに終わった。

 聞いた話によると、糸目のマテアスがその目を開くととんでもないことが起こるらしい。マテアスは絶対に開眼させてはならないというのがユーザーの常識となっていた。


 わたしは禁断のKRGのストーリーをひとつひとつ思い出しながら、記憶に残るすべてを書き出して、何日もひとり悩み考えた。

 ハインリヒが生まれたのはわたしが一歳の時だったので、日本語で書かれたそのメモは、幸い子供の落書きとして不審がられることなくなんなく見逃された。
 そのメモは今でも大事に保管してある。

 当時のわたしがまず考えたのは、どのルートが一番平和裏に終われるかということだった。
 となると、ルカルート一択か。

 しかし、ルカと将来を誓いあえる自信はない。ルカが結婚できる年齢になったとき、ヒロインは23歳。王女としては完全に行き遅れである。
 現実的に考えて、王女として政略の駒となるべく、途中でルカをポイ捨てすることになるだろう。

 バッドエンド回避のために純真無垢なルカの人生を利用するなど、この国の王女として、そして人としてできるはずもなかった。


 それに、わたしにはどのルートも選ぶことができない、最大の理由がひとつあった。

 この禁断のKRGでは、すべてのルートに共通して登場する人物がひとりだけいる。それは、ヒロインを何かと手助けしてくれる親友的存在の侯爵令嬢アンネマリーだ。

 ヒロインのよき理解者として登場するアンネマリーは、禁断愛が繰り広げられる殺伐としたストーリーの中、朗らかな笑顔を見せてくれる癒し的存在だった。

 ふわふわの亜麻色の髪をなびかせて、ヒロインとほほ笑みあうアンネマリーのスチルが、わたしの一番のお気に入りだ。落ちこむヒロインをその柔らかそうな胸に抱いて、癒しの女神のように慰めるシーンがあるのだ。

 彼女の人気は、運営にアンネマリーとの百合エンドを求める声があがったほど高かった。わたしはそこまでは望まないものの、アンネマリーとの友情エンドくらいは見たいと心から思ったのを覚えている。

 しかし、どのルートを選んだとしても、アンネマリーは大概は誰かに殺されるという、恐ろしい結末を迎えてしまう。
 どうしてこんなにも可愛いアンネマリーが。運営は鬼なのか。
 バッドエンドではもれなく死、グッドエンドを辿っても大怪我・蹂躙・行方不明・記憶喪失・果ては追放、死刑などなど。

 あの平和なお花畑なルカルートであっても、アンネマリーは無残な死を遂げてしまう。
 およそ悪役令嬢が辿るであろう結末を、なぜか脇役キャラのアンネマリーが必ず迎えてしまうのだ。
 アンネマリーを保護する派閥が当然のように結成された。それは必然と言えるだろう。わたしも即参加した。

 アンネマリーは巨乳キャラだったため、運営の社長(♀)が巨乳に男を寝取られたのだとか、専務(♂)が巨乳にこっぴどく振られたのだとか、あることないことがまことしやかにネット上を飛び交ったりもした。

 禁断の愛そっちのけで、各方面で物議を醸しだした異色の乙女ゲームは、数カ月で販売中止となり、すぐさま世間に忘れられ去られていった。激安ソフトとして中古屋で山積みにされ、一部のコアなユーザーのみが愛好するいわくつきの乙女ゲームとなったのだ。


 よ り に も よ っ て な ぜ に こ の ゲ ー ム な の だ

 わたしがそう憤るのも仕方のないことだと理解してもらえただろうか。


 しかし、現実は現実として受け止めなくてはならない。努めて冷静に、わたしはさらに考察を続けた。

 だてに日本で長年喪女はやってはいない。アラサーなど小娘に等しい。アラフォーを乗り越えアラフィフ、果てはアラ還へ。そこで記憶は途絶えているが、まあ、昔のわたしのことなどこの際どうでもいい。
 とにかく、各種乙女ゲーム・ラノベ・TL・BLは網羅してきたのだ。
 この世界が乙女ゲームに酷似した、全く別の世界である可能性も否定はできない。

 幸い、気づいた時点でわたしはまだ一歳だ。異世界転生系物語のパターンを思い浮かべながら、ひとまずわたしはゲーム内の設定と、今いる現実との共通点と相違点を確認することにした。


 まずは共通点。
 何と言っても弟のハインリヒの誕生。これがすべての始まりだった。

 生まれながらにしてサラサラのプラチナブロンド、アメジストのような瞳はキラキラ輝いている。赤ん坊の癖に記憶にある乙女ゲームのハインリヒと全く同じだ。

 ふつう新生児って猿みたいじゃないの赤ん坊の癖に流し目かまさないでよさすが異世界ラノベワールド。
 将来イケメン確定のこの弟の成長を、間近で見られるのはとても楽しみだ。純粋に弟として愛でようと、この時強く決意をする。

 最大の共通点と言えば、ハインリヒのオッパイ星人ぶりは筋金入りだった。
 母様の話し相手としてよく顔を見せる令嬢の中でも、巨乳の令嬢にいちばん懐いていた。たふんたふんの胸に顔をうずめたハインリヒは、モミジのような可愛い手できゃっきゃと楽しそうに巨乳を弄んでいた。
 赤ん坊のころから胸フェチは確立しているらしい。これもゲームの強制力なのかいやだハインリヒ恐ろしい子。


 王妃である母セレスティーヌは隣国アランシーヌの王女だった。ここもゲームの設定と同じだ。
 しかしゲーム通りだと、母様はハインリヒが三歳になる直前に亡くなってしまう。目の前にいる母様があと三年足らずで亡くなるのだと想像すると、わたしはものすごく怖くなった。

 母様は子供の頃から持病があって、アランシーヌでは成人するまで生きられないと言われていた。本来なら結婚して出産など考えられなかったそうだ。
 忘れられた王女としてひっそりとその生涯を終えるはずだった母様は、父であるディートリヒ王に見初められてブラオエルシュタインに嫁いできた。

 この辺りはゲームでは触れられてはいなかったが、禁断のKRGでは王妃は病弱で早世した設定だった。


 伯父である王兄バルバナスは、王城にいることはほとんどなかった。父と二人で並ぶ姿など見たことはなかったし、式典など必要な時にしか姿をあらわさない。

 むしろ王城を避けているように感じられるくらいで、どちらかというと兄弟仲はよろしくないのではと子供心に感じていた。

 このまま父のBLルートは回避の道を辿ってほしいと切に願う。


 ハインリヒと同じ年にジークヴァルトも誕生している。公爵家の跡取りということもあり、ハインリヒの遊び相手として顔を合わせることも多くなるだろう。ゲーム内での幼馴染設定もクリアしそうだ。

 わたしが仕入れた情報では、ジークヴァルトの従者としてマテアスという少年が付いたそうだ。ここも設定クリアとみられる。鬼畜眼鏡には極力関わらないようにしなくては。


 ハインリヒが生まれた翌年、クラッセン侯爵家で女の子が誕生した。例のハインリヒお気に入りの巨乳令嬢が嫁いだ先で産んだ子供だ。
 その女の子はアンネマリーと名付けられ、亜麻色の髪がふわふわの可愛らしい赤ん坊だと噂で聞いた。

 ここまで来て、わたしはもう迷っている時間はないのだと思い知った。

 手をこまねいていると、いずれアンネマリーが無残にも殺されてしまうかもしれない。ゲームではリプレイが可能だし、スチルを保存しておけばいつでもアンネマリーに会うことはできた。
 しかし、この世界でアンネマリーはただ一人。その存在が永遠に失われるなどあっていいはずもない。

 例えこの世界のアンネマリーがわたしの知るアンネマリーと似ても似つかない存在だったとしても、彼女の死亡フラグはすべて回避する道を選択しよう。

 二歳の時点でわたしはそう決意した。
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