26 / 32
同棲編 4
しおりを挟む
どんなにラブラブなカップルだって、喧嘩もするし、悲しい現実が起こる事もあるし、別れを迎える事もあるだろう。
僕も今までの恋愛は全く上手くいかなかった。僕のせいなのもあったけど、何か問題にぶつかった時、互いに解決しようと向き合わなかった事が原因だったと思う。
智ちゃんと僕は互いに誠実でいたいと思っている。二人でそう話し合っていた。喧嘩をしても、だからって口をきかないなんて事はしないで、話し合おうと約束していた。
だから、僕たちは互いを信頼していた。
深く愛し合っていた。
でも、僕たちだって完璧なカップルでは無い。どうしても受け止めきれない事だってある。
相手を思いやる余りに、逆に心がすれ違ってしまう事もある。
◇◆◇◆
最近、声優も顔出し当たり前。メディア露出当たり前の時代。
だから智ちゃんも、必然的にメディア露出がだんだん増えていた。だから、イケボでイケおじの智ちゃんは、今まで以上にテレビやイベントに大忙しだった。
そして、マスコミの関心は智ちゃんのプライベートにも入り込んできた。
ある日の通院時、その日も智ちゃんが付き添ってくれて、僕にとってはいつもの日常だった。
でも……
「将暉、あのさ……」と、運転しながら智ちゃんが僕に話しかけてきた。
「どうしたの?」
僕は智ちゃんの太腿を触る。
「うん……」
なかなか話し始めない智ちゃん。
何かがいつもと違うと感じた僕は、智ちゃんの横顔をじっと見つめた。
「将暉……明日の週刊誌に俺の事が載る」
「週刊誌?僕たち撮られた?僕、何も聞いてないよ。佐々木からも何も言われてないよ……ちょっと佐々木に連絡してみる」
「違う……」
「え?何が?」
「俺たちの事じゃない」
「……どういう事……」
「俺と……元嫁の事が載る」
そう言われて僕は思考が停止してしまった。元嫁……智ちゃんがバツイチなのは勿論知っている。でも、深く聞いた事は無かったし、僕も知ろうとしなかった。だって知る必要が無いと思っていたから。
僕が黙っていると、
「俺、引っ越してからもマンション退去してないんだ。ごめん……」と、智ちゃんが言った。
意味が分からなかった。ただ『何故?どうして?』が頭の中でグルグルしていた。
「将暉にちゃんと話さないと、ってずっと思ってて、ずるずる今まで来ちゃったんだ……」
『待って……何言ってるんだ……智ちゃんは僕に何を言い訳してるんだ……』
「俺さ……月に一度、元嫁と会ってるんだよ……」
『え?……何で……止めて……』
「将暉に……何も教えてなくて、本当に悪いと思ってる」
『止めろ……』
「俺、どうしても言い出せなくて……何からどう説明していいか分からなかったから……ごめん」
『黙れって……』
「あのマンションも、色々忘れられない場所でさ……」
『口を閉じろ……』
「お前にもっと早く知っておいて貰うべきだった……」
「止めろ!」
僕は怒鳴って運転している智ちゃんの腕を掴んだ。
智ちゃんは咄嗟にブレーキを踏んで路肩に車を停めた。
「将暉……」
「うるさい!」
僕は車を降りようとする。
「ちゃんと聞いて欲しい。このタイミングで話すべきじゃなかったのも分かってる。でも週刊誌が発売するまで、もう時間がないから……」
「黙れって言ってるだろ!」
引き留める智ちゃんを振り切って僕は車を降りた。そして、丁度空車のタクシーが向かってきたので両手を降って止めて乗り込んでしまった。
智ちゃんを置き去りにして……
僕も今までの恋愛は全く上手くいかなかった。僕のせいなのもあったけど、何か問題にぶつかった時、互いに解決しようと向き合わなかった事が原因だったと思う。
智ちゃんと僕は互いに誠実でいたいと思っている。二人でそう話し合っていた。喧嘩をしても、だからって口をきかないなんて事はしないで、話し合おうと約束していた。
だから、僕たちは互いを信頼していた。
深く愛し合っていた。
でも、僕たちだって完璧なカップルでは無い。どうしても受け止めきれない事だってある。
相手を思いやる余りに、逆に心がすれ違ってしまう事もある。
◇◆◇◆
最近、声優も顔出し当たり前。メディア露出当たり前の時代。
だから智ちゃんも、必然的にメディア露出がだんだん増えていた。だから、イケボでイケおじの智ちゃんは、今まで以上にテレビやイベントに大忙しだった。
そして、マスコミの関心は智ちゃんのプライベートにも入り込んできた。
ある日の通院時、その日も智ちゃんが付き添ってくれて、僕にとってはいつもの日常だった。
でも……
「将暉、あのさ……」と、運転しながら智ちゃんが僕に話しかけてきた。
「どうしたの?」
僕は智ちゃんの太腿を触る。
「うん……」
なかなか話し始めない智ちゃん。
何かがいつもと違うと感じた僕は、智ちゃんの横顔をじっと見つめた。
「将暉……明日の週刊誌に俺の事が載る」
「週刊誌?僕たち撮られた?僕、何も聞いてないよ。佐々木からも何も言われてないよ……ちょっと佐々木に連絡してみる」
「違う……」
「え?何が?」
「俺たちの事じゃない」
「……どういう事……」
「俺と……元嫁の事が載る」
そう言われて僕は思考が停止してしまった。元嫁……智ちゃんがバツイチなのは勿論知っている。でも、深く聞いた事は無かったし、僕も知ろうとしなかった。だって知る必要が無いと思っていたから。
僕が黙っていると、
「俺、引っ越してからもマンション退去してないんだ。ごめん……」と、智ちゃんが言った。
意味が分からなかった。ただ『何故?どうして?』が頭の中でグルグルしていた。
「将暉にちゃんと話さないと、ってずっと思ってて、ずるずる今まで来ちゃったんだ……」
『待って……何言ってるんだ……智ちゃんは僕に何を言い訳してるんだ……』
「俺さ……月に一度、元嫁と会ってるんだよ……」
『え?……何で……止めて……』
「将暉に……何も教えてなくて、本当に悪いと思ってる」
『止めろ……』
「俺、どうしても言い出せなくて……何からどう説明していいか分からなかったから……ごめん」
『黙れって……』
「あのマンションも、色々忘れられない場所でさ……」
『口を閉じろ……』
「お前にもっと早く知っておいて貰うべきだった……」
「止めろ!」
僕は怒鳴って運転している智ちゃんの腕を掴んだ。
智ちゃんは咄嗟にブレーキを踏んで路肩に車を停めた。
「将暉……」
「うるさい!」
僕は車を降りようとする。
「ちゃんと聞いて欲しい。このタイミングで話すべきじゃなかったのも分かってる。でも週刊誌が発売するまで、もう時間がないから……」
「黙れって言ってるだろ!」
引き留める智ちゃんを振り切って僕は車を降りた。そして、丁度空車のタクシーが向かってきたので両手を降って止めて乗り込んでしまった。
智ちゃんを置き去りにして……
1
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
余命半年の俺を、手酷く振ったはずの元カレ二人が手を組んで逃がしてくれません
ユッキー
BL
半年以内に俺は一人寂しく死ぬ。そんな未来を視た。きっと誰も悲しむ人は居ないだろう。そう思っていたから何も怖くなかった。なのにそんな俺の元に過去手酷く振り、今では世界的スターとなった元カレ二人がやってきた。彼らは全てを知っていた。俺がどうして彼らを振ったのか、そして俺の余命も。
全てを諦めた主人公と、主人公を諦めきれないイケメンサッカー選手とシンガーソングライターの再会が導く未来は?
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる