MURDER BLOOD X

ジェフ

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Light & Dark

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「……そう言えばフレイラ、お前はマフィアになる前は何て名前だったんだ?

その名前は生まれつきってワケじゃないだろう?」


ローレントがタバコを吹かしながら訊く


ジョンズの遺体を『処理』した後、ローレントは二人を宿まで連れて行くと言い出した


そして、そのためにローグに車の手配を依頼してくれた


もはやローレントは、二人にとって頼もしい存在となりつつある


そしてローレントもまた、二人のことを気に入りつつある


「フレイラが私にとって最初の名前よ

ああ、その……正確には違うんだけどね

私、孤児だったから……」


「……そうだったか」


「両親の顔や声なんて全く覚えてないし、家族の思い出なんてひとつもない

私にとって家族と呼べるのは、ずっと苦楽を共にしてきた孤児の仲間だけ……

孤児院はイヤな噂があったから……だから私たちは薄汚い路地裏で生活してきた……

私がマフィアに入ったのは、そんな苦しい生活とお別れしたかったからよ

まあ、そうやって仲間を裏切るようなヤツだからこんな不運な目にばかり遭うのよね」


「……生きるためにやったことだろう

なら、罰は当たらないさ」


「……」


「……ジョンズがローグから買っていたガキも、大半は孤児だ

中でも酷いのが『ソーニャ』

虐待され、親を殺して孤児になり、ブチ込まれた孤児院で体をイジられ、最後は変態爺の慰みモノだからな

その孤児院の噂ってのも間違いじゃなかったんだろう」


「孤児ってそんな話ばかりよ……

そうだ、キャシィはどうなの?

その名前は生まれつき?」


フレイラは嫌なことを思い出してしまった、と言わんばかりにキャシィに話を振る


だが───


「殺人鬼の過去なんて知っても面白くねーよ」


と、不機嫌そうに答えるだけ


そこからはひたすら静寂が続き、


「……そろそろ着きます」


運転手のその言葉があるまで、三人の時間はしばらく止まったままであった



・・・



暗闇の中、眠れないフレイラはキャシィに話しかける


ローレントは隣の部屋だ


タバコでも吸っている頃だろう


「ねえ、キャシィ」


「何だよ」


「あっ、反応してくれた」


「……眠れねーから仕方なく、だ

さもなきゃ反応しねーよ」


「……やっぱり、こういう宿は慣れない?」


「ああ、死体の傍で寝てるようなヤツがこんなお上品な宿に泊まってんだからな

だが名前のことはいくら粘っても教えてやんねー」


「……そうだよね、私だってあの話をしたことを後悔してるもの」


「ましてやアタシなんて殺人鬼だぜ

オメーらが感動するような話なんてありゃしない

悪人には悪人相応の過去しかねーってことだ」


「……でも、ローレントの言葉で救われたかな……私の人生……」


「一言で変わるような人生なんて軽いもんだ」


「ま、そうかもね……でもそこは良いでしょ」




・・・




一方、ローレントは───




「ジョンズの邸宅から例のブツが消えた、か……

まずいな、あの変態……死を悟ってとんでもない悪魔を解放したらしい

殺しても死なないというわけか……どうしようもないクズ野郎だ

……ああ、警戒を怠るな

遭遇したら即事退散しろ、ローレントファミリーの名にかけて無駄死にだけはするな」


電話の相手はローレントが最も信頼する忠臣・ゴードン


ローレントファミリーによる調査の結果、ジョンズの邸宅に封印されていたはずの『ソーニャ』が消失しているという


『ソーニャ』の脅威については、ローグもローレントファミリーもよく理解していた


だからこそ、である


「……全く……最近の戦争屋はガキに銃を握らせる趣味があるらしいな」


ローレントは溜め息を吐く


一難去ってまた一難


しかも、今度の一難は特に一筋縄ではいかない


……そのことに対する溜め息


闇の住民は常に自由だ


そして、それに憧れ陽の光の世界からやって来る者は多い


───それこそフレイラのように───


しかし、この世界の最大の悩みは……


「安眠できないな……人相も悪くなるわけだ」

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