MURDER BLOOD X

ジェフ

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Gray World Black Heart

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「───ィ───!!」




「───シィ───!!」




「───きて、───シィ───!!」




「キャシィ、起きて───ッ!!!」




暗い意識の牢獄から解放され、目を覚ます


しかし、目の前に広がる光景は牢獄よりも悲惨なものであった


「……な、何があったんだ……?」


「キャシィ!良かった、生きてる!」


悲惨な中でも、フレイラとローレントはどうにか無事だったらしい


フレイラはキャシィの無事を喜び、ローレントは無表情でそれを見つめている


「だ……お前、抱きつくんじゃねー!

ここはどこだ、何があった、全て教えろ!」


「やられたんだ!

私たちは襲撃されたんだ!

目が覚めたら私、瓦礫の中にいて……

何とか脱出して、そしたらキャシィが倒れてて……!」


「ローレント、お前もそうなのか?」


「運良く瓦礫に埋もれずに済んだが、な……

襲撃したのは『ソーニャ』……ヤツに違いない」


「ソーニャ……昨日言ってたあの孤児のことか?」


「そうだ、昨日連絡があってな……

ジョンズの邸宅から『ソーニャ』が消えたらしい

まさかとは思っていたが、ジョンズのヤツならやりかねん」


「……どういうことだ?」


「死に際に『ソーニャ』の封印を解いたんだろう

どうせ死ぬなら全て道連れ……ということだ」


「チッ、何だそりゃ……反吐が出るぜ」


「さて、話はここまでにしておいた方が良いだろう

これ以上街を壊されるのはもう我慢出来ない

ケジメをつけるのが何より先だ……」


「……みたいだな」


キャシィとローレントがそれぞれ『武器』を構える


フレイラは武器を紛失したようで、狼狽えている


「……武器くらい私のを貸してやる

ヤツを仕留められたら返さなくて良い」


「……あなた、マフィアじゃなければ友達になれたかも知れないわ」


「たらればの話は無駄だ、ヤツを探して始末するぞ」




・・・




「おい、ローレントの姉貴!

こいつぁアンタの仕業か!?

うちの品物が全部ダメになっちまったぜ!」


「私ならもっと上品に壊すさ、こんな下品な街には相応しくないくらいにな」


「クソ、誰がやりやがった!

素っ裸で鞭打ちにしてやる!!」




街の建物のほとんどが破壊され、住民たちは混乱している


死体が転がり、炎が舞い、子は泣き叫び、大人は絶望し、


灰色と化した街を三人だけ


『殺意』を持って歩いている


「ここは私の街だ……

私以外が汚い手でこの街を汚すなら……殺してやる」


「このアタシに惨めな思いをさせやがって、クソッタレ!

問答無用で惨殺してやらァ!」


「この世界にとって良くないことが起こるのなら……

『ソーニャ』を殺さなきゃいけない……」
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