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第133話 魔族6

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「……それはこっちの台詞だ。何でこんな所にいんだよ、ユキマサ──?」

 驚いた顔でフィップが俺に返事を返して来る。
 そして、頭部が割れ、心臓を貫いたアルケラが……

 ──バリバリ、バーン!!

 魔物を倒した時と同じく、
 全身にゲームのようなラグが走り、消えていく。

「は……!? 魔族も死ぬと消えるのか?」

 俺は予想外の出来事に、フィップの質問そっちのけで、思ったことを口に出してしまう。

「あたりめーだ、何で知らねぇんだよ?」
ついでに教えてくれ、これは何だ? 魔力結晶にしては大分小さいみたいだが……」

 呆れ気味のフィップに俺は、アルケラが消えた後に落ちてきた、トランプのダイヤのマークのような菱形ひしがたの結晶を手に取り、質問する。

 色はで、サイズは小さい。
 親指と人差し指で普通に持てる、5cmぐらいだ。

 魔物が落とす〝魔力結晶〟に似ているが、それとも違うみたいだ。

「〝12色の魔族〟を倒したら残る〝魔力核まりょくかく〟だ、今お前が倒したアルケラは〝紫の魔族〟──だから、紫色の〝魔力核〟を落としたんだ。ギルドにでも、聖教会にでも持ってきな。魔族を倒した証拠になる」
「〝12色の魔族〟? てことは、12人いるのか?」

「…………お前、マジで言ってんのか?」

 最早フィップは、俺の知識の無さにドン引きだ。

 チラリと俺の後ろにいるクレハを見ると、うんうんと頷いてくれている。

「正確には残り8色で8人だ──〝7年前の魔王戦争〟で〝魔王アドルメルク軍〟の魔族の3色が、魔王アドルメルクと一緒に倒されたからな、それで今お前が倒したのが〝魔王イヴリス軍〟の魔族の1色だ」

 ドン引きしつつも、フィップは説明してくれた。

「助かる……てか、魔族って、1人じゃなくて……1しょくって数えるのか……」
「あ、後ね〝12色の魔族〟は、各魔王に3色ずついるよ。それと1人でも1色でも基本的に伝わるよ」

 ここでクレハの補足が入る、ありがたい。

「それにあたしがアルケラに会った時点で、瀕死だったが、やったのはお前だな?」
「ああ、最後の最後で逃がしちまってな。フィップが足止めしてくれて助かった、礼を言う」

「足止め何て大層な事でもなかったけどな? それとお前──〝イリス皇国〟の連中を見てないか?」

 大鎌を左肩に掛けながら、フィップが真剣な目と口調で聞いてくる。

「イリス皇国? ドレスのお姫様──レヴィニアとイルザになら、ついさっきあったぞ。つーか、最初にアルケラに追われてたのはそいつらだ。今お前は『連中』って言ってたが、俺はその二人しか見てないぞ」

 俺は隠すこと無く、フィップに話す。
 変に警戒する相手じゃないしな。

「なんだと!? バカ、それを早く言え! 王女達はどこだ!? 生きてんだろうな!?」

 声を荒らげ、フィップは俺を見る。

「イルザの方は怪我が酷かったから治療して、その後、イルザはレヴィニアを連れて〝大都市エルクステン〟に向かった──それで俺とクレハはアルケラを追って来たら、お前がアルケラと戦ってて、クレハの〝瞬間移動〟でアルケラの背後に移動して、心臓をつらぬいてトドメを刺したんだよ。これが大まかな経緯だ」

一先ひとまず、王女とイルザは無事みたいだな。それにそこの女は、こないだギルドで、あのエルルカ相手に言い合ってた奴だな?」

 チラリとフィップはクレハを見る。

「あ、えーと、その節はすいません。クレハ・アートハイムと申します。よろしくお願いします」

 少し顔を赤らめながら、クレハが頭を下げる。

「クレハ、覚えとくよ。あたしの事はフィップって呼んでくれ。それとユキマサ、あたしは〝大都市エルクステン〟に戻るぞ? お前達はどうする?」

 クレハと軽く自己紹介を交わし、フィップが俺に問いかけてくる。

「俺達も戻る、元々は俺達は軽い散歩のつもりだったんだがな。どうやら、思った以上に大事おおごとになってるみたいだし、ロキにこれも渡したいしな──」

 と、俺はアルケラからドロップ(?)した……というか、残した〝紫色の魔力核〟に目を落とす。

「なら、一緒に行くぞ、お嬢も心配するしな」
「お嬢……ああ、アリスか」

「他に誰がいんだよ?」

 こう見えて、アリス、大・大好きのフィップは、こんな会話でもアリスの事になると睨んでくるので「悪かった、悪かった。ほら、行くぞ?」と──俺は適当に話を流し、クレハと、そしてフィップと共に、急ぎ足で〝大都市エルクステン〟へ戻るのだった。
 
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