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第259話 黒vs黒7
しおりを挟む黒く長い龍──〝原始の黒〟ウルスラの討伐。
これが今の俺の役目なのだが。と、その前にだ──
竜巻、トルネード、呼び方は様々だろうが、今この〝シルフディート〟に起こっている──黒い渦を巻き、空から大地までの全てを呑み込まんばかりの超災害級の現象が4つも同時発生という……
最早、怪奇現象と言っても差し支えないかもしれない、問題も何とかしなければならない。
まあ、一つは火澄が引き受けてくれたから、残りは3つだけど。それでも十分に厄介な状況だ。
(つーか、これ、ウルスラ本体を倒せさえすれば自ずと、竜巻も消えるんじゃないか?)
そんな考えが頭を過る。
ダメだった場合は、そん時はそん時だ。
よし、ウルスラの本体を優先して狙うぞ──!
そこからは迅速に動く。空を蹴り、展開した魔法陣を足場にし、どんどんと高速でウルスラに近づき、ウルスラの真上に出る。
「──よう、ウナギ野郎? 竜巻遊びは楽しいか?」
俺は剣を構え、ウルスラの頭上で右手の剣を振りかぶった所で、俺は〝アイテムストレージ〟から、短剣を取り出し、左手に持つ。
今ばかりは、攻撃とスピード重視で装備を整える。
剣と短剣に魔力を込める。ウルスラの全身に纏う、魔力障壁と硬い鱗に負けないぐらいに強くだ!
ザザザザザザザザザザザザザザザ──ギンッ!!
俺はウルスラの頭から胴体にぐるっと螺旋を描くように沿って斬る! 端まで斬ると方向転換し更に──
──ザザザザザザザザザザンッ!
斬って斬って斬って斬って斬って斬って、斬る!!
「──GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
耳が痛くなるような雄叫びが辺りに轟く。
「オイ、お前それしか言えねぇのか?」
ザク、ザザザザザザザザザザザザザザザザンッ!!
「──〝暦・鬼神幻〟!!」
更に強く魔力を込め、深く、速く、削ぐ!
そして魔法により、斬った場所から、まるで幻のように追撃の斬撃が現れて、更にウルスラを斬り刻む!
ヒュン、ザザザザザザザザザザザザザザンッ!!
ぐるぐるぐるぐると回転して回りながら、ウルスラを斬り刻んでいると──ドビュン! っと、突風?
じゃない、さっきの竜巻かッ!?
──ッ!!
ウルスラの前と左右にあった、3つの竜巻が方向を変える。
と、言うか、俺の方に向かってくる。竜巻が斜めに倒れるように左右から〝ハの字〟に倒れ込んで来た。
(つーか、それ、そう動けたのかよ!)
明らかに自然の動きじゃない、不自然な竜巻の動きに俺の攻撃の手が少し止まる。
更に予想外の動きをしたのが、ウルスラの前にあった竜巻だ。何だか知らねぇが、丸くなってきている。
球体──威力は変わらず、そのまま竜巻を丸く圧縮したような弾が俺を目掛け迫ってくる。
大きさは竜巻と比べると、かなり小さくはなっているものの、それでも家一軒分ぐらいはある。
威力は強い。ひしひしと危険性が伝わってくる。真面に食らえば、さながらフードプロセッサーのように、ぐちょぐちょの粉々のミンチになることだろう。
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