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第284話 屑
しおりを挟む──〝大都市エルクステン〟
ギルド付近街中──
日は落ち、街に〝光の結晶〟の明かりが灯される中、少女たちは歩いていた。
「ねぇ、ミリア、クレハどこいったんだろ?」
「分かんない。お家にはいなかったよ」
「ユキマサの件、システィアさんはギルドマスターに掛け合うって言ってたけど……クレハもそこかな?」
エメレアとミリアが心配そうにしながら歩いている。すると、どこからか人の声が聞こえてくる──
「おい、聞いたか? 今日配られた手配書の話し? 金貨10000枚だってよ?」
「シリュウ・ブラックは無理にしろ。聞いたことない名前の稗月倖真とか言ったか? それなら俺達でもイケるんじゃねぇか?」
「無名で初っぱなから金貨10000枚も付けられるんだ。そうとうな屑に違いねぇ、成敗してやろうぜ?」
ギャハハハと笑う男達。
「エメレア、どこ行くの? わわっ!?」
ズカズカと歩いていき、エメレアは今しがたの声の主である男達の胸ぐらを掴む。
「もう一度いってみなさいよ! 貴方達にアイツの何が分かるのよ! ユキマサは変態で女誑しでどうしようもないバカだけど──断じて、誰かを陥れ傷つけ嗤うような屑なんかじゃないわ! 私の大恩人をお前達なんかが侮辱するな! 今すぐ取り消せ!」
「何だ、このガキは!」
「チッ、離しやがれ!」
「取り消せ! お前達がアイツを侮辱するな!」
と、その時だ──
「おいおい、どうした、どうした?」
「ハハッ、何ガキに絡まれてんだよ?」
「俺達も混ぜてくれよ」
「よく見たら綺麗な顔してんじゃねぇかよ?」
ぞろぞろと20名ばかりの男たちが現れる。
「おい、人目があり過ぎる、連れていけ──」
その中の一人の男がそう指示をする。
路地裏に連れ込まれたエメレアに水色の影が迫る。
「エメレア、エメレア!」
ボン! っと、魔法でミリアが集団の数人に攻撃を当てる。
「ミリア、逃げなさい!」
「ダメ、エメレアも一緒!」
ドンッ!! と、巨大なハンマーが横凪にミリアの頭に強く当たった音がする。
ドカドカドカン、とミリアが吹き飛ばされる。
「──よくもッ!!」
エメレアが反射的にブチギレる。
ハンマーの男に飛びかかり、膝蹴りを見舞う。
「この女ッ」
エメレアの顔面にハンマーが横凪に振るわれる。
直撃したエメレアは思いっきり壁に激突する。
「おらァ、さっきの威勢の良さはとうした?」
「許さない」
ギロリと殺意を込めて、エメレアは睨み付ける。
「あぁ?」
瞬時にエメレアが起き上がり、男の喉元を素手で殴り飛ばす。勿論、魔力もふんだんに込めている。
クリティカルに入ったエメレアの渾身の拳は男を気絶させるには十分な威力だった。
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