吸血鬼 詰め合わせ

ritkun

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無邪気×もじもじ(微エロ)

猫の日企画

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 何を考えているんだ、この人は。

 いや、あるじがいつでも俺の為を考えてくれているのは分かってる。分かってはいるけど。

 名案だと思っているあるじが楽しそうに説明する。
「お前の運動不足解消法を考えてたら丁度良いのがあったんだよ。
 ただ走ってもつまんないし、だからって俺と追いかけっこするのも能力差ありすぎるだろ。
 これ見た時『これだ!』って閃いたんだよ」

 ペンギンショップの袋から大きな箱を楽しそうに取り出して封を開ける。ローテーブルに並べられたのは猫の手の手袋、尻尾、耳のカチューシャ。

 尻尾のカラビナをベルトループに取り付けながら説明を続ける。
「尻尾はハンデな。先っぽでも触ったらお前の勝ち」

 次に手袋をはめる。いやカチューシャが先じゃない?その手でどうやってつけるの?
「この手なら攻撃力ゼロだから、つい反撃しても大丈夫だし」
 弾んだ口調のあるじ

 ボクサーが両手をボスっと付き合わせる動きのつもりなんだろうな。肉球がムニっと合わさる。
「よし!
 10回勝ったら好きな物一つ食べていいぞ。3回以下ならピーマン食べろよ」

 うえ。俺はチンジャオロースもパプリカで作るくらいピーマンが嫌いだ。なんで知ってるんだ。

 俺がショックを受けてるのを、もう勝ったような顔で見ながらあるじが立ち上がった。
「よし、行くか!」
「って、え、えええ!?」

 全力で突っ込みたい気持ちから出た俺の声にあるじが若干引き気味に驚く。
「どうした?」
「耳は!?」
 俺は更に食い気味に言うのを止められなかった。

「耳は……別に効果無いだろ?」
 本当にまったく理由が思いつかないって言い方。
「あるよ! 耳があってこその猫なんだから!」

 あるじは理解しようとしてくれているけど共感はできないみたい。
「そうか? 俺は尻尾だけで犬か猫か分かるけどな。っていうか、この場合どっちでもよくね?」
 そう言いながらもカチューシャを頭に持って行くあるじ。猫の手で物を持つってメチャクチャ可愛い!

「まあ、できるだけ本物に近付けた方がボンヤリしたお前でもやる気が出るか」
 やっぱり上手くつけられなくて、素早い普段と違うその仕草も可愛い。付けた後の位置や髪を調整する仕草が「にゃんにゃん」ってしてるみたいだ!
 ありがとうございます!!!

ーーーーーー

 結果として俺があるじさわれたのは4回だった。3回は俺の作戦勝ち、最後の一回はあるじの手加減のおかげ。


 地面に四つん這いになって息を整えている俺の前にあるじが仁王立ちする。
「お前全然動いてねーじゃん。初回だから多目に見たけど、次はもう少し厳しくいくからな」

 なんて言いつつも、あるじの倍以上疲れてる俺に差し出して立たせてくれる手は優しいし肉球が気持ち良かった。

 こんな運動なら続けられるかもなんて考えてたら、不純物だらけの俺に強制デトックスが掛けられた。
 次にあるじが用意したのはアニマルパジャマで、しかも着るのは俺。
「これならちょっと動くだけで汗かくだろ?」

 精一杯の懺悔を込めて走ったら洗濯が大変だということで初回判に戻った。逆戻りしないように俺は全力で取り組むようになった。
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