伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか

藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中

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幸せの終わり

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 太陽が顔をだす頃、俺は鍬を持ち畑に向かう。

「遅いぞ、リオル!」

「ごめん、父さん。今行くよ」

 既に父さんは畑を耕していた。母さんも既に作業を開始しているようだ。

「あらあら、リオル。おはよう」

 母さんはこちらを見てにっこりと微笑む。
 俺も二人と一緒にすぐ作業を開始する。

 ここはネルト村。人口五十人に満たない小さな村だ。
 そのため皆仲良しかというとそうではない。俺はこの村では遠巻きに見られていた。
 理由は簡単。俺がハーフだからだ。

 父は妖精種ようせいしゅ森人族もりびとぞく。いわゆるエルフである。
 一方、母は人間種にんげんしゅ人間族にんげんぞく。いわゆる普通の人だ。
 その二人の血を引いた俺は、普通の人の耳が尖っているという見た目になった。

 ハーフなのは両目の色が違うことが分かりやすいかもしれない。
 俺の村のある国は妖精種が治める国らしいから普通の人間族はレアらしい。
 けど、両親はとても優しく不満は全くない。

「リオルもすっかりくわ使いが上手くなったな。将来はお前がこの畑を継ぐんだぞ」

 父が俺の動きを見て感心したように言う。

「任せてよ」

 俺も漠然と家を継ぐんだろうな、と考えていた。
 畑のすぐ近くの森からなにか音が聞こえた気がして、そちらを見る。

「森に何か居なかった?」

「気のせいだろ……森には絶対に入るなよ」

 軽い気持ちで言ったが、父さんに注意されてしまった。

霊獣れいじゅうが出るからでしょ? 何度も聞いたよ」

 俺は呆れたように言う。
 不思議な力・霊気れいきを持つ獣、霊獣。
 個体によって異なる力を持っており、人も簡単に殺すらしい。

 けど、俺は一度も見たことがない。
 村の狩人が狩ってくれていると聞いているが、本当は森に霊獣なんて居ないんじゃないかとすら思っている。
 結局、何か起こることはなく俺は農作業に戻る。
 日が暮れる頃、俺は家に帰った。

 「誕生日おめでとう、リオル!」

 扉を開けると、母が幸せそうな顔で祝ってくれた。
 そうか。今日は俺の十一歳の誕生日か。

「ありがとう、母さん!」

 今日はいつもよりも豪華な夕飯だった。
 鶏の丸焼きが出てくるのなんて、何年ぶりだろう。
 他にも立派な白いパンに、肉も野菜も入ったスープ。今までにない御馳走だ。

「張り切りすぎでしょう、母さん」

 俺は照れ隠しでそう言った。
 俺の言葉を聞いた母さんは少し涙ぐんでいた。

「いや、貴方がもう十一歳だと思うと……時の流れが早くて。立派になったわね」

 母さんは俺を強く抱き締める。

「いやいや、何も変わってないから」

 もう十一歳。母さんに抱き締められるのは少し恥ずかしい。

「そんなことはないぞ。もう数年すればお前一人でも畑を任せられる」

 努力が認められたようで、父さんの言葉が嬉しかった。

「もう一人でもできるよ。この十一年、鍬しか持ってないからね」

「まだ流石に早いぞ」

 そう言って父は俺の頭を乱暴に撫でる。

「痛いって、父さん」

「ハハハ、すまんすまん!」

 今日は良い日だ。母さんが作ってくれた鶏の丸焼きもとっても美味しかった。

「将来俺が農業を継いだら、もっと畑を大きくして二人に楽させてあげる!」

「本当、嬉しいわ」

 母さんは俺の言葉を聞いて、幸せそうに微笑んでいた。
 明日も早いから、誕生日会が終わった後すぐにベッドに入る。
 今日は気持ちよく寝れそうだ。
 俺はそのまますぐ眠りについた。



 俺は、後頭部の痛みを感じる。

「いてて……ベッドから落ちたのか?」

 だが、目を開けるとそこは自分の知っている家の中ではなかった。
 周囲はうっそうと生い茂る草木で囲まれており、空からは太陽が全てを照らしている。
 ジャングルだ。

「え、どういうこと? 家は? ここどこ? 父さんは? 母さんは?」

 明らかに自分の知っている村の近くの森ではない。
 ネルト村の近くの森は知っているが、明らかに雰囲気が違う。

 何も分からない。

 なぜ俺はここに居るのか。
 人攫いか? けど、それなら攫った人間はどこに居るんだ? 
 俺のような村人を攫うメリットがあるとも思えない。

 怖い。
 父さんが来るのを待つべきか?

「さっぱり分からない。とりあえず……近くの村を探そう、うん!」

 騒いでいても始まらない。
 俺は自分に言い聞かせるようにそう呟くと、腰を上げる。

 警戒しながら少しずつ森の中を進む。
 その時、突然夜が訪れた。

「え?」

 上を見ると、七色の羽を持つ綺麗な巨大鳥が空を飛んでいた。
 その翼を広げた姿は十ユード(メートル)を超えており、その巨大なくちばしの先には人の丸呑みできそうな鰐が咥えられている。

「ギャアッ! ギャアッ!」

 巨大鳥の体に響く鳴き声は、俺に大きな恐怖を与える。

「霊獣だ……」

 あれが……本物の霊獣。
 今見た霊獣は危険とかそんなレベルじゃない。
 あんな化物、生まれてから一度も見たことない。
 あんなのが近くに出たら、村なんて一瞬で滅びてしまうだろう。

「いったいここはどこなんだよ……」

 その疑問に答えてくれる人はどこにも居ない。周囲から聞こえるのは獣の声だけだった。



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