伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか

藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中

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修行開始

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「道具も尻尾もなしにですか⁉ 五ユード以上ありますよ?」

 無理に決まっている。
 尻尾を使っても、こんな大木倒せない。

「お前には、手も足もついているだろう?」

 そう言うと師匠は近くの木に背中を預け、眠り始めた。
 え、本気なのか?
 だが、師匠は全く動く気配がない。

 本気でこの木を素手で斬り倒せと言っているようだ。
 俺は大木に触れながら、上を見る。
 数百年という年数を超えてきたであろう巨木。

 触れている部分からは、木のエネルギーが感じられた。
 尻尾を使えれば……いやそれでも倒せるだろうか。
 俺はとりあえず一回殴ってみる。

 小さく表面が削れただけだ。
 これ……不可能だろ。
 どうしろっていうんだ?

 頭を抱えていると、ネロがこちらに歩いて来た。

「ガウッ?」

 ネロが爪を見せながら、手伝おうかと言ってきた。

「ありがとう、ネロ。嬉しいけど、それじゃ駄目なんだよ。俺がなんとかしないとな」

 ネロの体を撫でる。
 冷静になって考えよう。
 師匠が無駄なことを、明らかにできないことをさせるとは思えない。

 尻尾を封じたのにも意味がある。
 素手ではできない。霊気がなければ。
 これは霊気の訓練。霊気を操り、木を斬れということだ!

 俺は呼吸を整えると、足に霊気を集中させる。
 俺は霊気を集中させた足で思い切り蹴りを放つ。
 鈍い音と共に樹皮が削り取られる。

「よしっ! このまま蹴り続けてやる!」

 俺は霊気が切れるまで、木を蹴り続けた。
 一時間後、俺の全ての霊気と引き換えに〇・一ユード程削れた。

「はあっ、はあっ、はあっ……。駄目だ。このペースじゃ二週間以上かかる」

 霊気を失った俺は静かにその場に倒れこんだ。

 ◇◇◇

「寝てしまっていたようだな」

 目を開けたクロエが、霊気を使い切って倒れているリオルに気付く。
 木が少しだけ削れていることから、リオルの努力が見て取れる。

(頑張っているようだが、やはり厳しいか。これは本来、帝国騎士団の入団試験レベルの内容だ。しかもこれより細い木でな。だが、これを一週間でクリアできない程度の実力であれば、悪いが本気で師を降りさせてもらう。チャンスは何度も振ってこないものだ)

 明らかに三か月前まで農民だった少年にさせる訓練ではない。
 尻尾を使えないのは、現主であり、子供のリオルには厳しい。
 だが、霊気の扱いは霊術の基本にして、根幹となる技術である。

(私の期待に応えろ、リオル)

 クロエは淡々とリオルを見ていた。
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