伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか

藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中

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牙を

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(駄目だ……子供とはいえ火龍! 勝てん!)

「なに逃げているんだ?」

 必死で逃げるケルベロスの両足を、リオルは宙から爪で斬り裂く。
 それにより、ケルベロスはバランスを崩し、地面に倒れ込む。
 その顔は恐怖で歪んでいた。
 その目の前に火龍となったリオルが降り立つ。

「お前はずっと自分が捕食者だと思ったか? この世界は、喰うか、喰われるかだろ? なら……お前が喰われる側に回るのはなんらおかしくない」

 リオルは淡々と告げる。

(この声……やはり先ほどの人間なのか?)

「クゥーン……」

 ケルベロスは勝つことを諦め、必死に媚びたような声を出す。
 だが、次の瞬間、残りの二つの首はリオルの爪によって落とされた。

 ◇◇◇

 俺は自らが完全獣化したことにすぐ気付いた。
 溢れるような力。
 鋭い爪と牙に、大きな翼。
 勝てるとは思えない程強いケルベロスは、完全獣化した自分にとって雑魚も同然だった。

 けど、そんなことはどうでもいい。
 俺はケルベロスを殺した後すぐ、ネロの元に駆け寄る。

「ネロ!」

 俺は声をかけるも、反応はない。
 ただケロベロスは食べ始めたばかりだったのか、呼吸はしている。
 だが、明らかに重傷だった。
 俺はケルベロスの霊胞を取り出し、ネロに食べさせようとするも、とても食べられる状態ではないようで吐き出してしまった。

 まずい……このままじゃネロが。
 俺はネロを抱きかかえると、師匠の元へ走った。

「し、師匠――――!」

 俺は叫ぶ。
 師匠は俺の声から、緊急の事態であることを察したのかすぐさまやって来てくれた。
 そして、ネロの様子を見て大声を上げる。

「なんだ、この怪我は!? 一体何があった……?」

「ご、ごめんなさい……俺が馬鹿だからケルベロスと戦って……。俺は負けて、ネロが庇ってくれて……ごめんなさい」

 言いながら、自分の馬鹿さ加減に涙が溢れる。
 俺が自分の実力を過信したせいで、ネロは今死にかけているのだ。

「泣くな。今泣いても何も変わらん」

「……はい。ネロは治りますか⁉」

 俺は師匠に尋ねる。
 けど、この島に医者など居ない。どうしたらいいんだ。

「このレベルの傷を治せるのは、大陸でも優秀な変主の治療が必要だろうな」

「そんな……この島には、俺達以外には……」

 俺は項垂れる。

「落ち着け、リオル」

 師匠はそう言いながら、何か考えるようなそぶりを見せる。

「何か手があるんですか⁉ 教えてください、お願いします!」

「上級ポーションを作れば、あるいは……」

「本当ですか! じゃあすぐに作りましょう! 何が必要なんですか?」

「素材は揃っている。後一つを除いてな」

 師匠は顔を歪ませながら言った。
 そこで俺は思い出した。
 上級ポーションの作り方を習えなかった理由は、素材の一つが手に入らなかったからだ。

「最後の一つはベルクマンモスの牙。厄災級の霊獣だ」

 師匠は淡々と言った。

「あの山みたいな霊獣ですか⁉」

 前に一度この島で見たことがある。
 全長五十ユードを超える、動く山のようなマンモスである。

「ああ。それでも行くか?」

「分かりました。俺があの牙を折って必ず持ってきます」

 行かない選択肢なんて最初からない。
 俺を守ってくれたネロを見捨ててまで、この島で生きる気なんてないからだ。

「……はあ、そう言うと思ったよ。私も行く。一人だと間違いなく死ぬぞ。二人でも変わらないがな」

「ですが、師匠はもう……」

 あんな霊獣と戦う体力なんてないんじゃ、という言葉が出かかった。

「舐めるな。長時間戦う時間はないが、短時間ならまだやれる。時間がない。最低限だけ作戦を練ってすぐに動くぞ」

「はい!」

 俺達はベルクマンモスを探すために動き始める。
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