世界最強の暗殺者ですが、組織に追放されたので自由に生きようと思います

藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中

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おやすみ

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「森でパラミが獲れるのは、おそらくこっちだ。だが、お前……勝ちの目はあるのか?」

 ベン爺さんが心配そうに尋ねてきた。

「大丈夫ですよ、多分」

 ハイランドグリズリーの強さは全く知らないけど。

「多分って……お前。勝てそうにないなら、お前を引っ張って無理やり逃げるからな」

 俺の耳が、何か大きな獣が森をかき分けて進む音を聞き取る。

「ベン爺さん、あっちにパラミはない?」

「……確か、あっちにもあった気はするな」

「あっちに出ました。俺、先に向かいます」

「おい、俺を置いて……速いなお前!」

 叫ぶベン爺さんを置いて、俺は先を急ぐ。
 すると、ハイランドグリズリーがアランと相対している所を見つける。
 間に合ったか?

 そう考えていると、アランが吹き飛ばされる。
 できれば、背後から狙いたかったが、仕方ないな。
 俺は矢を番えながら、距離を詰める。
 そして、放った矢はハイランドグリズリーの手を貫いた。

「ガアアアアアアアッ!」

 熊の絶叫が聞こえる。
 大きいなー。
 酒場に持って行けば、いくらで売れるかな。

 そもそも美味いのか?
 ベン爺さんは解体方法知っているのだろうか。
 そう色々考えていると、ハイランドグリズリーがこちらを充血した目で睨みつけている。

「正面からの戦いは好きじゃないんだけど」

 姿を見られる戦いなんて、暗殺者失格だ。
 素人同然。

「命が狙われていることも、命が失われたことすら気付かせないのが、一流だ」

 いや、俺はもう暗殺者じゃないから、いいのか。

「ギャアアアアアアアアアア!」

 叫び声と共に、ハイランドグリズリーの爪がこちらに襲い掛かる。
 俺はその一撃を躱すと、その腕に乗る。
 そして、すぐさまその腕を駆けあがりハイランドグリズリーの頭部にまで距離を詰める。

「おやすみ」

 俺は愛刀で、ハイランドグリズリーの首を一閃。
 胴体と顔が離れた瞬間、ハイランドグリズリーの全身は力を失ったように、地面に倒れ込んだ。

「ハ、ハイランドグリズリーを一撃で……⁉」

 アランが小さく呟く。

「戻ろうか、アラン」

「あ、ありがとう……」

 アランは安心したのか、気を失った。
 するとすぐ、ベン爺さんがこちらにやってきた。

「お、お前……もう倒したのか? しかも首を一撃じゃねえか。どうやって……」

 ベン爺さんは驚愕の表情でこちらを見つめている。

「首を斬ったら、死にますよ。肉が駄目になる前に解体しましょう」

「そりゃあ、そうだがよお。まあいい、よくやった! お前は凄い! それだけが事実だ!」

 ベン爺さんはそう言って、俺の頭を乱暴に撫でる。

「熊持って帰りましょう。いや、でもアランもか?」

「アランを先に連れて帰るぞ。ハイランドグリズリーは後で解体してから持って帰る」

「分かりました」

 アランを背負い、村へ戻る。
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