世界最強の暗殺者ですが、組織に追放されたので自由に生きようと思います

藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中

文字の大きさ
36 / 47

笑顔の男

しおりを挟む
 それから二週間程経つが、全く領主の動きはない。
 流石にずっと警戒し続ける訳にもいかず、皆日常に戻り始める。
 村長やクリフさんはたまにどこかに行っているようだが、大多数の者は仕事をしないと生きてもいけないため、いつものように働いている。

「おい、行くぞ。レイル」

「分かったよ、ベン爺」

 二人で草木をかき分け、山を登る。

「そんな心配するな」

 ベン爺が珍しく、狩りの最中に話しかけてきた。

「やっぱり心配だ」

「なるようになるさ。ずっと頭抱えていても仕方ねえ。俺もクリフも戦える。若けえ者には負けねえよ」

「流石にもう無理でしょ」

「なんだあ、まだまだ現役だぞ! 昔は冒険者もしてたんだ!」

 そう言ってベン爺が笑う。
 おそらくしかめっ面の俺を励まそうとしてくれているのだろう。

「分かったよ、ベン爺は現役。分かったから」

「なら、いい。村長もクリフも頑張って動いとるみたいだし、少しは肩の力を抜け」

「はいはい」

 じゃあ、いつものように働くかね。
 俺は矢を持つと、獲物を探し始めた。
 いつものように鹿を獲った後、一頭は自宅に持って帰った。

「おう、レイル。また獲って来てくれたんか。ありがとうなあ。今日は儂が作ろうかな」

 解体された鹿を見たクリフさんが、そう言った。
 その夜に作ってくれたのは、俺が来た時に作ってくれたものと同じ沢山の野菜の入ったスープだった。
 前と違うのは、鹿の肉が追加されていることだろう。

「寒うなったからなあ。レイルも風邪をひかんようによう食べるんじゃぞ」

「分かった」

 暖かい。
 俺はこのクリフさんが作ったスープが好きだ。
 体だけじゃなく、心も温かくなる気がするから。

「美味しいわ!」

 ソフィアも幸せそうに食べている。
 誰かと囲う御飯は美味しい。
 そう、俺は思った。

 数日後、俺は再び狩りのために山へ向かう。

「レイル、今から山か?」

「うん。行ってくるよ、クリフさん」

「おう、行ってこい。気を付けてな」

 俺はベン爺と共に、山へ向かった。

 ◇◇◇

 ラルゴ村を目指す一行の姿があった。
 皆鎧を纏い、馬に乗って進むその姿は戦に向かう兵士達の姿でしかなかった。
 その人数は総勢五十人程。
 その先頭に立つのはにこやかな笑顔をした、他より良い装備を纏った一人の男だ。

 年は二十後半程。
 そのにこやかな顔だけを見ると、兵士より牧師のように見える。
 だが、鍛え上げられた体がそれを否定している。

「気が乗らないなあ。村人の虐殺なんて」

 そう言いながらも、にこやかな笑顔は全く変化がない。

「隊長がいくほどの件ですかね」

「なに。隊長が動くから、部下もやる気がでるってもんだよ。もうすぐ村だね……僕が先に行こうかな。君達は後からゆっくり来るといい!」

 男はそう言うと、馬を走らせた。

「行っちゃったよ……。よく言うよな、誰よりも殺しが好きなのに」

 部下の一人はそう呟いた。



 現在村は正門に二人の門番が立っている。
 その門番が、馬に乗って駆けてくる笑顔の男に気付く。

「おい、止まれ! そこの男!」

 門番が叫ぶ。

「止まらなければ、応戦するぞ!」

 だが、笑顔の男は答えない。

「くそっ! 構えろ!」

 二人の門番が槍を構える。
 そして、騎馬した笑顔の男と交差する。
 同時に二人の門番の首が宙を舞った。
 笑顔の男はそのうち一つの、門番の頭部を掴むとそのまま村に侵入する。

「きゃああああああああ!」

 見知った門番の生首を見て、村人の一人が絶叫を上げる。
 笑顔の男は絶叫を聞いても、微笑んだ表情に全く変化はない。

「どうも皆様。僕は、貴方達を虐殺するためにホーキンス子爵から派遣されました。どうか僕を恨んでください」

 と優雅に笑いながら、会釈をする。

「では、心が痛みますが、一人ずつ殺していきましょうか」

 男はそう言うと、その剣を抜き近くの村人に襲い掛かる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティで「外れスキル」と蔑まれ、雑用係としてこき使われていた錬金術師のアルト。ある日、リーダーの身勝手な失敗の責任を全て押し付けられ、無一文でパーティから追放されてしまう。 絶望の中、流れ着いた辺境の町で、彼は偶然にも伝説の素材【神の涙】を発見。これまで役立たずと言われたスキル【アイテム錬成】が、実は神の素材を扱える唯一無二のチート能力だと知る。 辺境で小さな工房を開いたアルトの元には、彼の作る規格外のアイテムを求めて、なぜか聖女や竜王(美少女の姿)まで訪れるようになり、賑やかで幸せな日々が始まる。 一方、アルトを失った元パーティは没落の一途を辿り、今更になって彼に復帰を懇願してくるが――。「もう、遅いんです」 これは、不遇だった青年が本当の居場所を見つける、ほのぼの工房ライフ&ときどき追放ざまぁファンタジー!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

お子ちゃま勇者に「美味しくないから追放!」された薬師、田舎でバフ飯屋を開く

ファンタジー
現代日本から転生した味覚オタクの薬師ユージンは、幼い勇者パーティの“保護者枠”として命を守るため口うるさくしていたが、「薬が苦い」「うるさい」と追放される。 田舎ミズナ村で薬膳小料理屋「くすり香」を開いた彼の“バフ飯”は冒険者を覚醒させ、村を救い、王都の薬利権すら揺らす。 一方、追放した子どもたちはユージンの真意を知って大泣きするが、彼は戻らない──自分の人生を取り戻すために。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています

黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。 失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった! この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。 一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。 「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」 底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

処理中です...