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プロローグ
勇者は眠ってしまった!
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昔々、魔王が世界を苦しめました。
しかし、その魔王は倒されました。
それも、村育ちの一人の女の子に。
「世界を救うのです、ヘルナよ」
「わかったー!」
「…返事は「はい」でしょう?」
「はーい」
「……。では、神聖な森に鎮座する聖剣を…」
「あ、これのこと?」
「なぜ短剣になっているのですか!?」
「…持ちづらかったんだもん!」
とまあ、このような感じで自由奔放の世界最強勇者が誕生したのです。
そこに、満身創痍になった魔王が考えました。
「ウィザードを呼べ!あの憎き勇者に眠りの魔法をかけ、そのうちに世界制服だ!」
「ギャラはおいくつで?」
「…言い値でよかろう」
「はぁい、喜んで♡」
そうして、勇者が眠っている間に魔王によって世界は支配されました。めでたしめでたし。
が、しかし。
「魔王の分際で勇者に何をしたのですか?」
「女神様…これには深い事情が!!」
とても怒った様子の女神様が、すやすや眠る勇者を片手に魔王城に訪れました。
「知りません、早く彼女を起こしてください。一応アレでも勇者ですよ?」
「なぜ吾輩が敵相手にそうしなければならぬ!!魔王だって報われてもいいだろう!?」
「このままじゃストーリーが進まなくなります。つまり、あなたはこのまま進展がなく面白みがない人生を歩むことになります。それに、女神が言うことは絶対です。口答えしないで、さっさとしなさい」
女神の迫力に負けて魔王は狼狽えました。
「そ、それが…」
そこに魔法をかけた張本人であるウィザード…魔王軍の四天王の一人でもある「魔女」が、申し訳なさそうに言います。
「あのねぇ~女神ちゃん、うっかり私の魔法が暴走しちゃってさ?だから勇者ちゃん起きないのよね~永遠に。もはや魔法と言うより呪いに近いかも?」
「アァ"!?」
女神様は激怒しました。
このようにして神の天罰を恐れた魔王軍は勇者を目覚めさせる決意をしたのです!
しかし、永眠の呪いにかかった勇者を誰が救うのでしょうか?
「魔王様、こちらの少女は?」
「バハムート、お前に火急で重要な役目を授ける」
「魔王様、こちらの勇者は?」
「かの勇者にワンパンされたお前に任せるのが心配だが…今魔王軍は多忙ゆえ、他の四天王も不在」
「魔王様、だからなぜ勇者が」
「だからお前に勇者を目覚めさせる役目を頼もう」
「魔王様、おい聞いてんのか」
「わかったのなら早く行け、この件が解決するまで魔王城に戻ってくることを禁ずる!わかったか!」
「……。はい」
勇者の目覚めを担うのは王子様でもなく、魔王でもなく、女神でもありません。
そう、魔王軍四天王の中でも最弱と呼ばれるドラゴンの「バハムート」です。
永眠の呪いにかかった最強勇者と
魔法で人間の姿となったドラゴン
果たして、元の姿に戻ることができるのでしょうか?
しかし、その魔王は倒されました。
それも、村育ちの一人の女の子に。
「世界を救うのです、ヘルナよ」
「わかったー!」
「…返事は「はい」でしょう?」
「はーい」
「……。では、神聖な森に鎮座する聖剣を…」
「あ、これのこと?」
「なぜ短剣になっているのですか!?」
「…持ちづらかったんだもん!」
とまあ、このような感じで自由奔放の世界最強勇者が誕生したのです。
そこに、満身創痍になった魔王が考えました。
「ウィザードを呼べ!あの憎き勇者に眠りの魔法をかけ、そのうちに世界制服だ!」
「ギャラはおいくつで?」
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「はぁい、喜んで♡」
そうして、勇者が眠っている間に魔王によって世界は支配されました。めでたしめでたし。
が、しかし。
「魔王の分際で勇者に何をしたのですか?」
「女神様…これには深い事情が!!」
とても怒った様子の女神様が、すやすや眠る勇者を片手に魔王城に訪れました。
「知りません、早く彼女を起こしてください。一応アレでも勇者ですよ?」
「なぜ吾輩が敵相手にそうしなければならぬ!!魔王だって報われてもいいだろう!?」
「このままじゃストーリーが進まなくなります。つまり、あなたはこのまま進展がなく面白みがない人生を歩むことになります。それに、女神が言うことは絶対です。口答えしないで、さっさとしなさい」
女神の迫力に負けて魔王は狼狽えました。
「そ、それが…」
そこに魔法をかけた張本人であるウィザード…魔王軍の四天王の一人でもある「魔女」が、申し訳なさそうに言います。
「あのねぇ~女神ちゃん、うっかり私の魔法が暴走しちゃってさ?だから勇者ちゃん起きないのよね~永遠に。もはや魔法と言うより呪いに近いかも?」
「アァ"!?」
女神様は激怒しました。
このようにして神の天罰を恐れた魔王軍は勇者を目覚めさせる決意をしたのです!
しかし、永眠の呪いにかかった勇者を誰が救うのでしょうか?
「魔王様、こちらの少女は?」
「バハムート、お前に火急で重要な役目を授ける」
「魔王様、こちらの勇者は?」
「かの勇者にワンパンされたお前に任せるのが心配だが…今魔王軍は多忙ゆえ、他の四天王も不在」
「魔王様、だからなぜ勇者が」
「だからお前に勇者を目覚めさせる役目を頼もう」
「魔王様、おい聞いてんのか」
「わかったのなら早く行け、この件が解決するまで魔王城に戻ってくることを禁ずる!わかったか!」
「……。はい」
勇者の目覚めを担うのは王子様でもなく、魔王でもなく、女神でもありません。
そう、魔王軍四天王の中でも最弱と呼ばれるドラゴンの「バハムート」です。
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果たして、元の姿に戻ることができるのでしょうか?
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