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プロローグ
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「う…痛い…」
薄暗い洞窟の中で、ボロボロのドロドロみすぼらしい服装の少年というよりも幼さが残る男の子が地に伏せている…
その子の周りにも血だらけの子供たちが倒れている。
『グガガガァァ~~~~‼』
一匹の筋肉が盛り上がる2、5mの化け物が、ゆっくりと近付いてくる…
「クソっ‼クソっっ‼なんでこんな低層にレッドオーガが、出るんだよ‼‼」
「ヤバい、ヤバい‼」
「早く‼逃げるわよ‼‼」
両手にロングソードを握り締め、鎧を着込んだ20代前半の青年、片手にショートソード、片手に盾を持っている30代の男、黒いローブを着た30代の女が叱責していた…
「こいつらを囮にして、私達は逃げるわよ‼」
「「おうっ‼」」
「や…やめてっ‼」
「あ……。」
倒れている数人を持ち上げ化け物に投げつける‼そして、男達は俺たちを置いて反対方向へ全力で走り出した。
倒れている男の子の一人、コウは自分の運命を呪っていた…
この迷宮都市ミルガンドに生まれ、両親の死後冒険者ギルドの孤児院で育った。この都市では、身寄りのない子供には冷たく、10歳を越えてからすぐに仕事をさせられる。
15歳の成人を迎えるまでは、迷宮【ダンジョン】で冒険者の荷物持ちや、各雑用を無償でやらされていた。その仕事がまた危険で、迷宮では囮にされたり、ギルド内では訓練でまとにされたりと命がいくつあっても足りないような環境であった。実際に成人までに生き残る確率は30%をきっていた…しかし、この環境で生きる子供達は決して希望を捨ててはいなかった。
なぜなら…この都市、この世界では強くなればなるほど、最初の身分はどうあれなんでも手に入るからだ。それこそ、王になる事さえも叶う。なので子供達は、成人し冒険者になり、出世する事を夢見ていた…しかし、現実は厳しかった……
俺も夢を見ていたが…
今俺の前には、化け物がいて孤児院仲間をバリバリと食べている。この次には俺があの子と同じ運命になるのかと考えると…傷だらけで動けないはずの体が震えだし…
やつと目が合う。そして、笑みを浮かべながら、わざと恐怖を煽るように一歩一歩ゆっくりと近付いてくる…(死にたくない……)
気付くと、恐怖よりも悔しさが出てきていた。
(こんなとこで…こんなとこで終わるのか⁇)
「ぎゃ~~~~‼‼」
腕を掴まれ持ち上げられ…腕に噛み付かれた。
出血の為、朦朧とした意識の中で…
(俺は必ず強くなって何もかも手に入れてやる‼‼って思ってたんだけどなぁー…)
俺は死を覚悟した。
そんな時…
「なんだもう諦めるのか?少年⁇」
そんな声が聞こえきた。薄く目を開けてみると…
そこには金髪碧眼、純白の鎧に身を包み、白銀の剣を持った女神のような20代前半の女性が立っていた。
こんな状況にもかかわらず、俺はその女性に見惚れてしまっていた。ただ単に綺麗なだけではなく、その全身から湧き出るオーラが神々しさを引き立てていた。
「後は、私に任せなさい。」
一瞬風が吹いたと思ったら…
俺は彼女の腕に抱かれていた。チラッと後ろを見ると…首の無くなったレッドオーガがゆっくりと崩れ落ちていた。
(つ…強い‼全然見えなかった…)
「もう大丈夫だ!少年‼」
満面の笑みで、こちらを見つめる彼女を見ながら俺は気を失った…
(き…綺麗だ…)
~~これが、俺と彼女…最高ランク冒険者との出会いだった~~
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