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とあるプログラマーの場合

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俺は死んだはずじゃ

目を覚ますと何にもない空間に少年が一人いるだけだった

少年はニコニコしながら胡座をかいて宙に浮いてる

「やぁ、目が覚めたみたいだね。」

「えーっと、ここはどこ?」

「ここは、僕の空間だよ。君は死んじゃったんだけど憶えてる?」

「えっ、まぁ・・・あなたは神様的な?」

「僕は創造主だよ。神様とは少し違うけど、似た様なものだね。」

「あのぉ、何で俺はここに・・・?」

「よくぞ聞いてくれました!君は僕の創ったこれで選ばれたんだよ。」

創造主様が指差すと日本列島の描かれたパネル板が出現した。
そしてなぜだかダーツが刺さっている。

「これって・・・ダーツの旅?」

「ち、ちがうよ!これは僕が考えたんだよ!!」

「えっ、でもテレビで見た事ある・・・」

「うっ、でもこれは僕がダーツを投げて刺さった時にその場所で死んじゃった人をここに呼び出せるようになってるんだ!!どう?斬新なアイディアでしょ?」

「そ、そうですね。それに俺が当たったって事ですか?」

「うん。すごい確率だよ、おめでとう。」

「よく分からないけど、ありがとうございます。それで俺はこの後はどうなるんですか?」

「うん。僕の世界へ旅立ってもらうよ。」

「えっ?どこへですか?」

「僕が創った世界だよ。君にとっては異世界ってやつだね。」

「元の世界じゃダメなんですか?」

「うん、ダメだよ。ダーツに当たったら次はちゃんと旅立ってもらわないと。」

「えー(やっぱりテレビのやつじゃ)・・・どんな世界なんですか?」

「剣と魔法の世界だよ。大丈夫!君たちが大好きなチートもちゃんと付けてあげるから!」

「う~ん、もう決定なんですよね?」

「うん、そうだよ!」

「・・・わかりました。それなら、なるべく良いチートを下さい。」

「ふふふ、理解が早くて助かるよ。でもチートの内容はこれで決めるよ!」

創造主様が勢いよく指差した先には

「こ、これは、またダーツ・・・?」

「そうだよ。でも、こっちは的の円形部分が回るんだよ!それでダーツの刺さった所に書いてあるチートを君にあげるよ。」

「これって・・・フレンドパーク?」

「ち、ちがうよ!ちがうったらちがうよ?僕が考えたんだから。疑うんならチートあげないよ?」

「そんな・・・わかりました。信じます。どんなチートがあるか見てもいいですか?」

「うん、素直なのは良い事だよ!近くで見ても良いよ。ダーツは一発勝負だから頑張ってね!」

的に近づいて内容を見ていく

剣の才能
魔法の才能
武術の才能

よく有りそうなチートが並んでいる。

創造主の加護
精霊の加護

この辺は的がとっても細くなっている。
真ん中は・・・なぜかドクロマークだ。

「あの、この真ん中のドクロマークは?」

「そこは残念ゾーンだよ。タワシは無いから条件付きの転生になるよ。」

「条件付きっていうのは、なんでしょうか?」

「それは刺さってからのお楽しみだよ!」

「わかりました。やってみます!」

「いいね、その意気だよ!じゃあ、ここのラインからこのダーツを投げてね。」

受け取ったのは、何の変哲も無いただのダーツだった。

「準備できました。」

「それじゃあ、回すよ。」

的が勢いよく回り出すと、誰もいないはずなのに大勢のコールが聞こえてくる

チーートー! チーートー!

「ダメだ。気にしたら負けだ。ダーツに集中しよう。」

創造主様がワクワクしている。

「さぁ!早く投げて!!」

「わかりました。えいっ!」

放物線を描きダーツが刺さったのは・・・

的を止めなくても分かる。残念ゾーンだ。

「あちゃー。」

創造主様が楽しそうに手を顔に当てながら天を仰ぐ。

投げた本人はそのまま固まってしまっている。

「まぁ、ドンマイだよ。それじゃあ、どんな条件付きか見てみようか。」

「はっ、そうか。まだ決まってなかったんだ。」

創造主様が指を鳴らすと、ドクロマークが消え、下から文字が浮かび上がってきた。

「君のダーツが刺さったのは・・・なになに。」

「なんて書いてあるんですか?」

「えっとね。雷に打たれるまで記憶とユニークスキルの封印だって。」

「えっ、雷って死んじゃうんじゃ?」

「うーん、意外と生き残る人は多いらしいよ?」

「そもそも、雷に打たれるとかありますか?」

「まぁ、あんまり無いよね。さすがドクロマークだね!」

「条件が厳しすぎますよ・・・」

「でもでも、記憶とユニークスキルが手に入るんだし。結構強力だと思うよ。」

「ユニークスキルってどんなのですか?」

「ユニークスキルって言うのは、自動システムが君の前世に影響されて創る、君だけのスキルだよ。」

「どんなのになるのかは分からないんですね。そもそも手に入らない可能性の方が高いか・・・」

「まぁ、その辺は君の運次第だね!」

「そうですね。まぁ普通に転生はできるんだし、頑張ってみます!」

「うんうん、頑張ってね!僕も楽しかったよ。それじゃあ、後の事はシステムに任せて大丈夫だから。」

「えっ、もうですか?」

「うん。それじゃあ送るよ。元気に旅立ってね!」

「えっ、注意事項とか教えてくれないんですか?」

「ははは、どうせ君は記憶が封印されるからね。」

創造主様が手を振ると、地面に真っ暗の穴が空いた。

「うわぁーーーーーー・・・」

穴から聞こえる悲鳴は徐々に小さくなっていく。

「あぁー楽しかった。また気が向いたらやってみよう!」

穴は消え、創造主様は満足げに伸びをしている。

今日も創造主様はご満悦です。
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