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王都暗躍編
第94話 獣人の歴史
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翌朝、帝都へ向けて出発した。
帝都へ行くのは初めてになる。
なので、馬車で移動中にリポポさんから帝都や獣人について教えてもらう事にした。
その間の馬車の御者は練習中のピートにお願いしよう。
「それでは獣人の国の成り立ちからお話ししましょうか。」
獣人たちの間ではお伽話のように語り継がれている歴史だそうだ。
帝都の西方には広大な草原が広がっており、古来より獣人たちは部族ごとにその草原を主な活動の場にしていた。
縄張り争いによる部族同士の争いも多かったそうだ。
争いの中で1人の偉大な王が誕生した。
金色の鬣を持って生まれたライオンの獣人、レオン王だった。
レオン王はその容姿から金獅子王と崇められ、高い統率力と武力によって周辺の獣人部族を次々とまとめ上げっていった。
人間族にとってもこの急成長は脅威だった。
ペンダラー王国のマーサー王は獣人たちとの戦争を恐れた。
これまでも周辺部族との小競り合いや獣人を奴隷にするなど種族間の摩擦は多かった。
少数部族であれば王国軍が動けば兵数の差で容易に制圧ができた。
しかし同規模の統制のとれた軍団となれば身体能力に勝る獣人が有利なのは火を見るよりも明らかだった。
マーサー王は和平交渉を選択した。
王国の内部では、奴隷の獣人との和平に納得しない声も少なくはなかった。
それでも和平交渉は順調に進められ、いくつかの条件が決定された。
レオン王が興す獣人王国を国家として認める。
奴隷の使用を禁止し、すべての奴隷を解放する。
不可侵条約を結ぶ。
この結果にペンダラー王国の民は不満を爆発させた。
マーサー王を愚王だと罵る声も上がった。
しかし、その声も掻き消える重大な危機が両王国を襲った。
両王国の西方の近辺で未発見ダンジョンから魔物が大量に溢れ出てきたのだ。
周辺の村だけでなく両王国にも多大な被害は及び、魔物が跋扈する世界になってしまった。
そして更に事態を悪化させる事件が起こった。
マーサー王が何者かに暗殺されてしまったのだ。
ペンダラー王国の貴族たちは獣人王国のレオン王の差し金だと公表した。
あらぬ疑いをかけられたレオン王は国内外から非難される事になった。
獣人王国の宰相であった狐の獣人ルナルドの陰謀説もあるそうだが、結果的にレオン王はその責を負う形でダンジョンの討伐へ挑戦する事になった。
レオン王はたった1人の付き人を連れて討伐へと向かった。
付き人はレオン王が弟子として孤児から拾い上げた少年だった。
少年の名はアルジャン、美しい銀髪の狼の獣人だった。
獣人族には稀に珍しい毛色の者が生まれるらしい。
その者は特異体と呼ばれ、優れた才能を有する者が多い。
アルジャンも剣の才能に恵まれ、将来はレオン王を凌ぐ剣士になると見込まれていた。
度重なる死闘の末に2人は見事にダンジョンを攻略した。
しかし、戻って来たのはアルジャン1人だけだった。
ダンジョン消滅の跡地にアルジャンが倒れているのを獣人王国軍が保護したそうだ。
程なくして野に放たれた多くの魔物も数を減らし、人々は安全に暮らせるようになった。
美しい銀髪の少年は救国の英雄として獣人王国の国民から大いに支持を得た。
空位となった王座に彼を推す声は多く、宰相ルナルドが後見人となり王座に就く事となった。
新たな王の誕生に際して、王を超える王となるべく、アルジャンは初代皇帝として獣人王国は獣人帝国へと名を変える事になった。
アルジャンは銀狼帝と呼ばれ、国民に愛される王であったが、まだ少年であった事もあり政治には疎く、政権は全て宰相ルナルドが握っていた。
ダンジョン攻略から2年が経とうとしていた頃、復興が進み、都には賑わいが戻っていた。
そんな時に、ある日、突然と銀狼帝は姿を消した。
現在でもその謎は解明されておらず、陰謀や神隠しなどと語られている。
一時の混乱はあったものの、元より政治を執り行っていた宰相ルナルドが帝位を引き継ぐ形で事態は終息した。
その後はルナルドの一族の世襲が続いており、安定した政治と成長を続けている。
現在では第4代皇帝で初の女帝が帝都を治めているのだが、燃えるような赤毛の美人で更には優れた政治手腕で国民、特に男性から人気を集めている。
最近では紅狐帝と呼ばれ歴史に名を残すとまで言われているそうだ。
リポポさんから教えてもらった歴史の授業はこんな感じだ。
昼食を挟んで続いたこの授業は帝都へ着く手前まで続く事となった。
話を聞いていただけなのに、なんだか疲れてしまった。
途中の村で昼食に食べたパンが美味しかったな。
王都の周辺は農業や酪農が盛んだそうで、帰りにも寄ろうと決めた。
帝都へ行くのは初めてになる。
なので、馬車で移動中にリポポさんから帝都や獣人について教えてもらう事にした。
その間の馬車の御者は練習中のピートにお願いしよう。
「それでは獣人の国の成り立ちからお話ししましょうか。」
獣人たちの間ではお伽話のように語り継がれている歴史だそうだ。
帝都の西方には広大な草原が広がっており、古来より獣人たちは部族ごとにその草原を主な活動の場にしていた。
縄張り争いによる部族同士の争いも多かったそうだ。
争いの中で1人の偉大な王が誕生した。
金色の鬣を持って生まれたライオンの獣人、レオン王だった。
レオン王はその容姿から金獅子王と崇められ、高い統率力と武力によって周辺の獣人部族を次々とまとめ上げっていった。
人間族にとってもこの急成長は脅威だった。
ペンダラー王国のマーサー王は獣人たちとの戦争を恐れた。
これまでも周辺部族との小競り合いや獣人を奴隷にするなど種族間の摩擦は多かった。
少数部族であれば王国軍が動けば兵数の差で容易に制圧ができた。
しかし同規模の統制のとれた軍団となれば身体能力に勝る獣人が有利なのは火を見るよりも明らかだった。
マーサー王は和平交渉を選択した。
王国の内部では、奴隷の獣人との和平に納得しない声も少なくはなかった。
それでも和平交渉は順調に進められ、いくつかの条件が決定された。
レオン王が興す獣人王国を国家として認める。
奴隷の使用を禁止し、すべての奴隷を解放する。
不可侵条約を結ぶ。
この結果にペンダラー王国の民は不満を爆発させた。
マーサー王を愚王だと罵る声も上がった。
しかし、その声も掻き消える重大な危機が両王国を襲った。
両王国の西方の近辺で未発見ダンジョンから魔物が大量に溢れ出てきたのだ。
周辺の村だけでなく両王国にも多大な被害は及び、魔物が跋扈する世界になってしまった。
そして更に事態を悪化させる事件が起こった。
マーサー王が何者かに暗殺されてしまったのだ。
ペンダラー王国の貴族たちは獣人王国のレオン王の差し金だと公表した。
あらぬ疑いをかけられたレオン王は国内外から非難される事になった。
獣人王国の宰相であった狐の獣人ルナルドの陰謀説もあるそうだが、結果的にレオン王はその責を負う形でダンジョンの討伐へ挑戦する事になった。
レオン王はたった1人の付き人を連れて討伐へと向かった。
付き人はレオン王が弟子として孤児から拾い上げた少年だった。
少年の名はアルジャン、美しい銀髪の狼の獣人だった。
獣人族には稀に珍しい毛色の者が生まれるらしい。
その者は特異体と呼ばれ、優れた才能を有する者が多い。
アルジャンも剣の才能に恵まれ、将来はレオン王を凌ぐ剣士になると見込まれていた。
度重なる死闘の末に2人は見事にダンジョンを攻略した。
しかし、戻って来たのはアルジャン1人だけだった。
ダンジョン消滅の跡地にアルジャンが倒れているのを獣人王国軍が保護したそうだ。
程なくして野に放たれた多くの魔物も数を減らし、人々は安全に暮らせるようになった。
美しい銀髪の少年は救国の英雄として獣人王国の国民から大いに支持を得た。
空位となった王座に彼を推す声は多く、宰相ルナルドが後見人となり王座に就く事となった。
新たな王の誕生に際して、王を超える王となるべく、アルジャンは初代皇帝として獣人王国は獣人帝国へと名を変える事になった。
アルジャンは銀狼帝と呼ばれ、国民に愛される王であったが、まだ少年であった事もあり政治には疎く、政権は全て宰相ルナルドが握っていた。
ダンジョン攻略から2年が経とうとしていた頃、復興が進み、都には賑わいが戻っていた。
そんな時に、ある日、突然と銀狼帝は姿を消した。
現在でもその謎は解明されておらず、陰謀や神隠しなどと語られている。
一時の混乱はあったものの、元より政治を執り行っていた宰相ルナルドが帝位を引き継ぐ形で事態は終息した。
その後はルナルドの一族の世襲が続いており、安定した政治と成長を続けている。
現在では第4代皇帝で初の女帝が帝都を治めているのだが、燃えるような赤毛の美人で更には優れた政治手腕で国民、特に男性から人気を集めている。
最近では紅狐帝と呼ばれ歴史に名を残すとまで言われているそうだ。
リポポさんから教えてもらった歴史の授業はこんな感じだ。
昼食を挟んで続いたこの授業は帝都へ着く手前まで続く事となった。
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