101 / 106
王都暗躍編
第95話 帝都到着
しおりを挟む
夕暮れの気配が近づいた頃、ピートが声をかけてきた。
「帝都が見えてきました。」
窓から顔を出して前方を見ると、立派な石壁が見えた。
王都の壁よりも高く頑丈そうに見える。
「おぉ~、あれが帝都か!」
「あの壁は紅狐帝が即位した際に公共事業として作られた物なんです。」
「へぇ~、公共事業かぁ。」
「このまま進めば大門があります。守衛がいますが、私は市民ですので私が身元を保証すれば問題ないでしょう。」
大門の前には審査を待つ馬車や人が並んでいた。
冒険者だったり、商人だったり、当たり前だけど獣人が多いな。
あの人は猪の獣人かな?あっちは栗鼠かな?
こんなに多くの獣人を見るのは初めてなのでキョロキョロしてしまう。
順番待ちの列は順調に流れていき、順番が回ってきた。
「身分証はお持ちですか?」
革の防具に身を包んだ青年が守衛のようだ。
彼は犬の獣人でダルメシアンみたいだ。
「私の身分証です。こちらの2人は私のゲストです。」
リポポさんが金属製のカードを取り出して守衛に見せると淡く紫に光った。
「はい。どうぞお通りください。」
守衛の青年は爽やかな笑顔で見送ってくれた。
「リポポさん、今の身分証は魔導具ですか?」
「そうですね、魔導具と言えば魔導具ですね。帝都では最近に導入された制度ですが、元々は冒険者ギルドの身分証として使用されていた物なんです。」
「そうなんですか。」
「冒険者ギルドの身分証は、彼のマリーゴールド様が作られたそうですので、おそらく魔導具と同じ仕組みだと思いますよ。」
「へぇ~、便利そうですね。」
「帝都ではこの制度で通行の利便性がかなり良くなりましたね。」
「俺でも作れるんですか?」
「どこかのギルドの組合員になるか、市民として税を納めるかする必要がありますね。」
「そうですか。」
「あとは貴族の位を賜るとかですかね。」
「それが一番難しいですね。」
「そうですね。」
そんな話をしている間に馬車屋へ馬車を預けて帝都の街並みを歩く。
大通りの道幅は広く石畳で荷馬車がすれ違っても余裕がある。
道も真っ直ぐで見通しが良く、しっかりと整備された印象だ。
「綺麗な街並みですね、道も広くて真っ直ぐですし。」
「昔の復興の際に区画整備がしっかりとされたそうで、均等に大通りで分けられているんですよ。」
「へぇ~、道が分かり易くて良いですね。」
所謂、碁盤の目のように大通りで区画されているのだろう。
路地のような細い道も多く、そこはうす暗いので慣れない者は入らない方が良いだろう。
あっちには冒険者ギルドが、この向こうには教会がなど、リポポさんに案内してもらいながら、大旦那から指定されたウマ屋という宿屋を目指す。
ピートもあまり帝都へ来た事はなかったらしく、俺と同じくキョロキョロしていた。
驚いたのは帝都には学校があるらしい。
少し前に創設された王立の教育機関らしく、まだまだ裕福な家庭の子息でなければ通う事は難しいそうだ。
他にも等間隔に小さな兵士の詰め所があり、交番の役割を果たしている。
兵士は統一の革の防具を装備しており、帝国軍の第2軍団なのだそうだ。
ちなみに第1軍団は王宮内部で警護を行うエリート。
第2軍団は帝都内で門の守衛や自警を担う一般兵。
第3軍団は帝国領土を周遊し、賊や魔物を討伐する武闘派集団。
このように帝国軍の内部でも役割分担が決まっているそうだ。
それにしてもリポポさんは物知りだな。
「あの角を曲がった所みたいですね。」
リポポさんもウマ屋の場所は知らなかったそうで、途中で人に聞いていた。
しかし、ウマ屋という宿屋は有名ではないみたいで、3人目でやっと知っている人に当たった。
偶然にも近くだったそうで、お買い物中のおばちゃんから道順を教えてもらった。
「ここがウマ屋か。」
「なんだかボロボロですね。」
ピートが率直な感想を述べてしまった。
確かに見た目は古びた建物だが、きっと中はちゃんとしているはずだ。
ギィギィと音がする軋んだドアを開けると中は薄暗かった。
「中もボロボっんん。」
ピートが素直な感想を述べる前にリポポさんが口を塞いだ。
お店の人に聞かれると失礼だからね。
無人のカウンターにベルが置かれていたので鳴らした。
「いらっしゃい。」
奥から一目で店主だと分かる男が現れた。
なぜかって?それはそれは見事な馬面だったからだ。
馬面と言うか、馬の獣人なのだろう。
「部屋を2つ、とりあえず2泊できますか?」
「あいよ、うちは食事は付かないが良いか?」
「はい、外で食べるので大丈夫です。」
「そうかい、なら1部屋1泊が2銅貨だから、えぇ~っと、いくらだ?」
「8銅貨ですかね。」
「あぁ。それじゃあ、それでいいや。」
なんともやる気のない人だ。
これで経営はやっていけているのだろうか?
「帝都が見えてきました。」
窓から顔を出して前方を見ると、立派な石壁が見えた。
王都の壁よりも高く頑丈そうに見える。
「おぉ~、あれが帝都か!」
「あの壁は紅狐帝が即位した際に公共事業として作られた物なんです。」
「へぇ~、公共事業かぁ。」
「このまま進めば大門があります。守衛がいますが、私は市民ですので私が身元を保証すれば問題ないでしょう。」
大門の前には審査を待つ馬車や人が並んでいた。
冒険者だったり、商人だったり、当たり前だけど獣人が多いな。
あの人は猪の獣人かな?あっちは栗鼠かな?
こんなに多くの獣人を見るのは初めてなのでキョロキョロしてしまう。
順番待ちの列は順調に流れていき、順番が回ってきた。
「身分証はお持ちですか?」
革の防具に身を包んだ青年が守衛のようだ。
彼は犬の獣人でダルメシアンみたいだ。
「私の身分証です。こちらの2人は私のゲストです。」
リポポさんが金属製のカードを取り出して守衛に見せると淡く紫に光った。
「はい。どうぞお通りください。」
守衛の青年は爽やかな笑顔で見送ってくれた。
「リポポさん、今の身分証は魔導具ですか?」
「そうですね、魔導具と言えば魔導具ですね。帝都では最近に導入された制度ですが、元々は冒険者ギルドの身分証として使用されていた物なんです。」
「そうなんですか。」
「冒険者ギルドの身分証は、彼のマリーゴールド様が作られたそうですので、おそらく魔導具と同じ仕組みだと思いますよ。」
「へぇ~、便利そうですね。」
「帝都ではこの制度で通行の利便性がかなり良くなりましたね。」
「俺でも作れるんですか?」
「どこかのギルドの組合員になるか、市民として税を納めるかする必要がありますね。」
「そうですか。」
「あとは貴族の位を賜るとかですかね。」
「それが一番難しいですね。」
「そうですね。」
そんな話をしている間に馬車屋へ馬車を預けて帝都の街並みを歩く。
大通りの道幅は広く石畳で荷馬車がすれ違っても余裕がある。
道も真っ直ぐで見通しが良く、しっかりと整備された印象だ。
「綺麗な街並みですね、道も広くて真っ直ぐですし。」
「昔の復興の際に区画整備がしっかりとされたそうで、均等に大通りで分けられているんですよ。」
「へぇ~、道が分かり易くて良いですね。」
所謂、碁盤の目のように大通りで区画されているのだろう。
路地のような細い道も多く、そこはうす暗いので慣れない者は入らない方が良いだろう。
あっちには冒険者ギルドが、この向こうには教会がなど、リポポさんに案内してもらいながら、大旦那から指定されたウマ屋という宿屋を目指す。
ピートもあまり帝都へ来た事はなかったらしく、俺と同じくキョロキョロしていた。
驚いたのは帝都には学校があるらしい。
少し前に創設された王立の教育機関らしく、まだまだ裕福な家庭の子息でなければ通う事は難しいそうだ。
他にも等間隔に小さな兵士の詰め所があり、交番の役割を果たしている。
兵士は統一の革の防具を装備しており、帝国軍の第2軍団なのだそうだ。
ちなみに第1軍団は王宮内部で警護を行うエリート。
第2軍団は帝都内で門の守衛や自警を担う一般兵。
第3軍団は帝国領土を周遊し、賊や魔物を討伐する武闘派集団。
このように帝国軍の内部でも役割分担が決まっているそうだ。
それにしてもリポポさんは物知りだな。
「あの角を曲がった所みたいですね。」
リポポさんもウマ屋の場所は知らなかったそうで、途中で人に聞いていた。
しかし、ウマ屋という宿屋は有名ではないみたいで、3人目でやっと知っている人に当たった。
偶然にも近くだったそうで、お買い物中のおばちゃんから道順を教えてもらった。
「ここがウマ屋か。」
「なんだかボロボロですね。」
ピートが率直な感想を述べてしまった。
確かに見た目は古びた建物だが、きっと中はちゃんとしているはずだ。
ギィギィと音がする軋んだドアを開けると中は薄暗かった。
「中もボロボっんん。」
ピートが素直な感想を述べる前にリポポさんが口を塞いだ。
お店の人に聞かれると失礼だからね。
無人のカウンターにベルが置かれていたので鳴らした。
「いらっしゃい。」
奥から一目で店主だと分かる男が現れた。
なぜかって?それはそれは見事な馬面だったからだ。
馬面と言うか、馬の獣人なのだろう。
「部屋を2つ、とりあえず2泊できますか?」
「あいよ、うちは食事は付かないが良いか?」
「はい、外で食べるので大丈夫です。」
「そうかい、なら1部屋1泊が2銅貨だから、えぇ~っと、いくらだ?」
「8銅貨ですかね。」
「あぁ。それじゃあ、それでいいや。」
なんともやる気のない人だ。
これで経営はやっていけているのだろうか?
1
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる