魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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王都暗躍編

第95話 帝都到着

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夕暮れの気配が近づいた頃、ピートが声をかけてきた。


「帝都が見えてきました。」

窓から顔を出して前方を見ると、立派な石壁が見えた。
王都の壁よりも高く頑丈そうに見える。


「おぉ~、あれが帝都か!」

「あの壁は紅狐帝が即位した際に公共事業として作られた物なんです。」

「へぇ~、公共事業かぁ。」

「このまま進めば大門があります。守衛がいますが、私は市民ですので私が身元を保証すれば問題ないでしょう。」

大門の前には審査を待つ馬車や人が並んでいた。
冒険者だったり、商人だったり、当たり前だけど獣人が多いな。
あの人は猪の獣人かな?あっちは栗鼠かな?
こんなに多くの獣人を見るのは初めてなのでキョロキョロしてしまう。
順番待ちの列は順調に流れていき、順番が回ってきた。


「身分証はお持ちですか?」

革の防具に身を包んだ青年が守衛のようだ。
彼は犬の獣人でダルメシアンみたいだ。


「私の身分証です。こちらの2人は私のゲストです。」

リポポさんが金属製のカードを取り出して守衛に見せると淡く紫に光った。


「はい。どうぞお通りください。」

守衛の青年は爽やかな笑顔で見送ってくれた。


「リポポさん、今の身分証は魔導具ですか?」

「そうですね、魔導具と言えば魔導具ですね。帝都では最近に導入された制度ですが、元々は冒険者ギルドの身分証として使用されていた物なんです。」

「そうなんですか。」

「冒険者ギルドの身分証は、彼のマリーゴールド様が作られたそうですので、おそらく魔導具と同じ仕組みだと思いますよ。」

「へぇ~、便利そうですね。」

「帝都ではこの制度で通行の利便性がかなり良くなりましたね。」

「俺でも作れるんですか?」

「どこかのギルドの組合員になるか、市民として税を納めるかする必要がありますね。」

「そうですか。」

「あとは貴族の位を賜るとかですかね。」

「それが一番難しいですね。」

「そうですね。」

そんな話をしている間に馬車屋へ馬車を預けて帝都の街並みを歩く。
大通りの道幅は広く石畳で荷馬車がすれ違っても余裕がある。
道も真っ直ぐで見通しが良く、しっかりと整備された印象だ。


「綺麗な街並みですね、道も広くて真っ直ぐですし。」

「昔の復興の際に区画整備がしっかりとされたそうで、均等に大通りで分けられているんですよ。」

「へぇ~、道が分かり易くて良いですね。」

所謂、碁盤の目のように大通りで区画されているのだろう。
路地のような細い道も多く、そこはうす暗いので慣れない者は入らない方が良いだろう。
あっちには冒険者ギルドが、この向こうには教会がなど、リポポさんに案内してもらいながら、大旦那から指定されたウマ屋という宿屋を目指す。
ピートもあまり帝都へ来た事はなかったらしく、俺と同じくキョロキョロしていた。
驚いたのは帝都には学校があるらしい。
少し前に創設された王立の教育機関らしく、まだまだ裕福な家庭の子息でなければ通う事は難しいそうだ。
他にも等間隔に小さな兵士の詰め所があり、交番の役割を果たしている。
兵士は統一の革の防具を装備しており、帝国軍の第2軍団なのだそうだ。
ちなみに第1軍団は王宮内部で警護を行うエリート。
第2軍団は帝都内で門の守衛や自警を担う一般兵。
第3軍団は帝国領土を周遊し、賊や魔物を討伐する武闘派集団。
このように帝国軍の内部でも役割分担が決まっているそうだ。
それにしてもリポポさんは物知りだな。


「あの角を曲がった所みたいですね。」

リポポさんもウマ屋の場所は知らなかったそうで、途中で人に聞いていた。
しかし、ウマ屋という宿屋は有名ではないみたいで、3人目でやっと知っている人に当たった。
偶然にも近くだったそうで、お買い物中のおばちゃんから道順を教えてもらった。


「ここがウマ屋か。」

「なんだかボロボロですね。」

ピートが率直な感想を述べてしまった。
確かに見た目は古びた建物だが、きっと中はちゃんとしているはずだ。
ギィギィと音がする軋んだドアを開けると中は薄暗かった。


「中もボロボっんん。」

ピートが素直な感想を述べる前にリポポさんが口を塞いだ。
お店の人に聞かれると失礼だからね。
無人のカウンターにベルが置かれていたので鳴らした。


「いらっしゃい。」

奥から一目で店主だと分かる男が現れた。
なぜかって?それはそれは見事な馬面だったからだ。
馬面と言うか、馬の獣人なのだろう。


「部屋を2つ、とりあえず2泊できますか?」

「あいよ、うちは食事は付かないが良いか?」

「はい、外で食べるので大丈夫です。」

「そうかい、なら1部屋1泊が2銅貨だから、えぇ~っと、いくらだ?」

「8銅貨ですかね。」

「あぁ。それじゃあ、それでいいや。」

なんともやる気のない人だ。
これで経営はやっていけているのだろうか?
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