目醒めたら武闘家でした。俺だって魔術が使いたい!

アマクニノタスク

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第7話

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「そこまでだ!」

審判に体を抑えられた状態で気が付いた。
対戦相手だった少年は白目で気絶して倒れている。

「あれ?」

その後に道場の仲間から試合の顛末を聞いたのだが。俺は突然、上着を脱ぎ捨て、咆哮すると猛烈にヌンチャクを振り回したらしい。
それまでとはキレと言うかスピードが段違いだったらしく、更にはヌンチャクの先端が淡く光っていたそうだ。
高速で動き回るヌンチャクが対戦相手に猛ラッシュを仕掛ける。
大槍で何とか捌いていたが、猛攻の中で描かれていた光の魔術陣から飛び出す火までもが襲いかかる。
スピードを上げるヌンチャクに比例して描かれる魔術陣の数も増えていく。
対戦相手は程なくして捌ききれずサンドバッグ状態だったそうだ。

「そうだったんだ。。。」

俺は怒りで我を忘れて無意識の内に新たな戦法を見つけ出したようだ。
確かにヌンチャクで魔術陣を描けば高速で完成させる事ができる。
ただし、ヌンチャクの動きの正確さは必須だ。これは今後も鍛え甲斐があるな。
しかし問題は俺が知っている魔術陣が1つしか無い事だ。火を出せるコレしか知らない。
おっさんにもっと教えて貰えば良かった。
他に魔術陣について詳しい人に心当たりも無いしなぁ。コレは今後の課題だな。

そして、これで俺も決勝進出だ。
決勝戦は別の会場で行われるので移動する。
しっかりとした武舞台もあり、軍関係者の偉い人も観戦しているそうだ。
序列5位の試合から順に1戦ずつ行われていくので、かなりの観客が集まっている。

早速決勝が始まる。
序列5位の決勝戦はメロディを負かしたオーガ流の奴とリザード流剣術との対戦だ。
リザード流は流麗な剣技と硬い鱗の鎧で攻防一体の戦術を得意とする名門なのだが、試合の内容は一方的だった。

盾と鎧で防御しようとも、丸ごと吹き飛ばす怪力。最後には素手で剣まで破壊されて、力の差は歴然だった。
なぜアイツが5位なんだ?他にオーガ流で決勝まで進んだのは序列1位だけか、他は序盤で敗退しているな。

「おーい!メロディが目を覚ましたぞ。」

道場の仲間が知らせに走ってきた。
うちの道場は俺とリズムが決勝に残っている。4位と3位は仲間も出ないし、メロディの様子を見に行くとしよう。


「メロディ大丈夫か?」

リズムが声を掛けるとメロディはベッドから身を起こした。

「もう起きて平気なのか?」

「うん。回復の魔術を使ってもらったから。ごめんね。負けちゃった。」

「無事ならいいさ。今度は俺がオーガ流を倒してやる。」

リズムの決勝の相手はオーガ流だ。気合も入っているし、やってくれるだろう。

「俺も良い報告を持ってこれるように頑張るから、メロディは休んでな。」

「うん。2人とも無理しないでね。」


試合会場に戻ると序列3位の試合が始まっていた。
プラント流弓術とファンガ流武闘術の対戦だった。プラント流は多種の毒矢を扱う遠距離戦を得意としている。一方でファンガ流は体内で溜め込んだ闘気を放出したり自分の回復力を増強したりと近接戦闘を得意としている。
試合はプラント流が優勢のようだ。毒矢は躱されているが、徐々に追い詰めているように見える。
武舞台の隅に追い詰められたファンガ流の少女、プラント流の少年が高くジャンプして上から毒矢の雨を降らせる。
その瞬間、ファンガ流の少女が爆発的に距離を詰めた。相手の真下へ入り込むと拳を構える。

「喰らえ! マッシュルームキャノン!!」

ファンガ流の少女の右手から闘気が放たれる、爆発したような衝撃でプラント流の少年は更に高く吹き飛ばされた。
場外まで飛ばされた少年は軍関係者らしき大人たちによって受け止められた。
少年は気を失っていなかったが、かなりのダメージを負っており、立ち上がろうとしたが倒れてしまった。

「あの技、カッコイイなぁ。どうやったんだ?」

リズムが隣でポツリと呟いた。

「多分、溜め込んだ力を一気に放ったんだろうな。ファンガ流の奥義ってトコだろう。」

「ヘェ~。」

俺の解説に生返事のリズム。
ちゃんと聞いてたのだろうか?
しかしリズムは天才型だ、もしかするとあの技の何かを掴んだのかもしれない。仮にも他流派の奥義っぽい技だぞ!?
そんな不安を覚えてしまった。

「これより序列2位の決勝戦を行う。選手は前へ!」

おっと、俺の試合が始まってしまう。

「ブルース、暴れて来い!」

「あぁ、そのつもりだ!」

俺はヌンチャクを片手に武舞台へと上がる。
今までとは比べ物にならない観客の数と熱気に少し緊張してしまいそうだ。

対戦相手も武舞台に上がってきた。
俺の決勝の相手はコイツか。
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