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第6話
しおりを挟む「そこまで!勝負あり!!」
武闘会の1回戦は難なく突破できた。
ここは序列2位の試合会場だ。
各道場の同じ序列同士がトーナメントで戦っていく。
武舞台もない試合会場だが、各道場の生徒が応援で囲んでいるので熱気で満ちている。
1位の試合会場へ行ってみると、より盛り上がっている。その中心にいるのはリズムだ。
去年も1位のトーナメントで準優勝をしているリズムはシード選手だ。
なので2回戦の相手と対戦中だ。
しかしリズムは全く本気を出していない、相手の攻撃を全て躱している。ちょっと相手が可哀想に思える展開だ。
あっ!相手のパンチを流して、そのまま後ろ回し蹴り、リズムの得意なカウンターが決まった。
「勝負あり!!」
やっぱりリズムは心配無用だな。今年は優勝するかもな。
俺もそろそろ戻っておこう。
その頃の序列5位の会場でも、1位の会場に匹敵する盛り上がりを見せていた。
大人顔負けの巨体の少年が少女に襲い掛かる。巨大な拳が降り注ぐ。
少女は棒を駆使して捌いているが、徐々に追い詰められていく。
少女は距離を取り、氷の魔術で相手の足止めを試みる。
しかし、巨体の少年には無力だった。
足を氷漬けにされようとも、力任せに氷を壊して突き進む。
少年はオーガ流拳闘術道場の代表者。
オーガ流はとにかく己の肉体を極限まで鍛え上げる肉弾戦特化の流派だ。
少女の攻撃では決定打は難しく、相手からの攻撃は一撃も許されない状況だった。
魔術を駆使して華麗に捌き続ける少女とそれを力技だけで攻め立てる少年の戦いは観る者を熱狂させた。
会場が沸く中、決着は一瞬だった。
体力も集中力も消耗した少女が回避中の足捌きで隙を見せた。
その一瞬を少年は見逃さなかった。
太く長い腕が少女を捕らえる。
少年が少女の頭部を掴み、握り潰すかの如く力を込めていく。
「あぁ がぁ あぁーー。」
「そこまで!勝負あり!」
しかし、少年は少女を離さない。
「やめなさい!勝負はついた。失格にするぞ!」
少年は無造作に少女を離すと、少女は崩れ落ちた。
「おい、救護を急げ!」
救護班に運ばれていく少女を眺めながら、少年はニヤニヤと笑っていたそうだ。
俺が2回戦を終えると、道場の仲間が駆け寄ってきた。
焦った顔をしていたので嫌な予感がした。
「メ、メロディが負けた。今、救護室に運ばれてる。」
チッ、嫌な予感が当たった。
「行ってくる。リズムにも知らせてくれ!」
「リズムならさっき向かったぞ。」
急いで救護室に向かう。
「おい、メロディ大丈夫か!?」
「ブルース、メロディはまだ治療中だ。」
リズムが仁王立ちで構えている。
メロディは奥で回復の魔術で治療してもらっているらしい。
待っている間に試合を見ていた仲間から話を聞いた。
オーガ流か、確かに古豪の道場だし、メロディとは相性が悪いだろう。
しかし、相手も序列5位だしメロディがここまでやられるはずは無いと思うのだが。
そんなにも今年のオーガ流は猛者揃いなのだろうか?
「リズム、次の試合が始まるぞ。」
「わかった、後を頼む。ブルースも気を付けろよ。」
「あぁ、リズムもな。」
メロディの治療はその後すぐに終わった。
しかし気を失っていたので、ベッドに寝かせておいた。
俺も次の試合が始まる。行かなければ。
3回戦つまり準決勝になる。
俺の相手はパイソン流長槍術の使い手だ。
身の丈よりも遥かに長い槍を自在に操る流派だ。
「始め!!!」
審判が開始の号令を上げる。
同時に少年は頭上で長槍を回転させる。
ブンブンと空を切る音を立て、回転のスピードを上げていく。
ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン
長槍が高速で回転すると小動物の鳴き声のような音を奏でている。
頭上から右へ左へ、長槍を回転させながら自在に移動させる。
「ハッ!!」
長槍がしなりながら猛スピードで迫る。
「うわっと!」
躱したつもりだったが、目測よりも長槍が伸びてきたように感じた。
慌ててヌンチャクでガードする。
「ヤッ!!ハッ! トォー!!」
反動を利用した長槍の連撃が襲ってくる。
「よっ おっと うぉ。」
左、右、上からの連撃を捌く。
「アチョ!!」
お返しに振り向きざまにヌンチャクで顔面を狙う。しかし相手の鼻先を寸前の所で届かなかった。
これが相手の闘争心に火を付けてしまったようだ。少年は真剣な表情で力を溜め始めた。
「パイソン流奥義 蛇槍撃」
長槍と腕が強化されている。
長槍の回転がさらに高速化し、耳障りな音を鳴り響かせている。
「喰らえ!!」
少年が地面に長槍を叩きつけた。
意味が分からず不意を突かれる。
地面に打ち付けられた反動で長槍が下から襲ってくる。さながら蛇が噛み付こうと飛びかかってきているようだ。
「ぎょえ!」
身体活性を全力で使って回避する。
しかし長槍はしなりを利用して再び襲ってきた。
回避できないと判断してヌンチャクで防ぐ、しかし完全に力負けして吹き飛ばされた。
「ハハッ、俺を本気にさせたんだ。チビ助のお前に勝ち目はねぇよ。降参するんだな!」
ブチッ
「お前、今、チビって言ったな?」
「気にしてたのか? 事実だから言ったまでだ。」
俺は目の前が真っ白になった。
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悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
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