29 / 92
呪いの少女 10
しおりを挟む
「ーー我は漆黒の王。全ての咎を、全ての苦を、全ての呪詛を従えし者。
ーー夜の塔を閉ざす者。深き窟に潜む者。紅き森に住む者よ。
ーーその戸を開けて出いでよ。此岸に来きたれ、同胞はらからよ。
ーー我は常闇の支配者。全ての罪を、穢れを、業を総べる者。
ーー屈服せよ。平伏せよ。跪け!
【冥府の檻】」
「ああっ」
にわかにルナの姿が黒く霞んだ。彼女からおびただしい量の黒さが溢れ出し、包んでいるのだ。
呪いの揺れ動く様は、まるでドス黒い炎が燃えさかっているようだった。二週間の修行中にリーザ先生が作ってくれた擬似的な呪いとは邪悪さが桁違いだ。
今更足が震えてくる。怖い。これを全て俺の中に移せるのか。移したとして俺は無事なのか。生きていられるのだろうか。
いや、今は術に集中しなければ。俺はルナの呪いを解くんだ。
「んっ、はあ……」
目の前のルナが悩ましく表情を歪め、かなり甘ったるい吐息を漏らす。
大変エロい。こんな時に言うのも何だがかなり官能的である。
ルナから湧き立つ闇は徐々に一塊となっていき、渦巻きながらその規模を増していく。深い。深い闇だ。それを見ただけでルナの背負っていた呪いがどれほど強いのか、それがどれだけ彼女を苦しめ続けてきたのか分かる。
「あっ……! んんっ!」
ルナも身をよじらせ、艶やかな声を上げる。これもう喘ぎ声じゃん。
不意に闇の塊は動きを止めた。まるで時間が止まったかのようにピタリと静止する。
空気が落ちる。
呪いが満ちる。
身動きが取れないほど不穏で、今にも爆発しそうな邪悪。
見られている。
収縮した闇に目があるわけでもないし、視覚があるわけでもないのに、何故か俺はそう感じた。
だが確実に「呪い」は俺を狙っている。取り込もうと画策している。
来い。
来るなら、来るなら来い!
俺は呪いをキッと睨み返した。
その時、静止を続けていた闇が動いた。吸い込まれるように向かってくる。
ぶち当たる!
と、思ったら、そのまま俺を通り過ぎていった。
……あれ?
と少し気を緩めた瞬間、下半身に強烈な刺激を感じた。
「んほおおおお!!」
俺はキャラも忘れて甲高い声を発してしまった。それくらいの衝撃だった。呪いが一気に流れ込んで来たのだ。俺の「尻」から。
まるで閉じ込められた場所から出口を見つけた人々のように、呪いが俺の尻に殺到している。まあ確かに出口なわけだが。
「あああああああ! 何これ! 何これえ! 何で俺の尻から呪いが!?」
「落ち着いて、クラウス君。これが闇の奔流というものよ」
「嘘つけえ!」
入って来た呪いはまるで電撃のように尻から全身を疾っていく。既に尻周辺の衣服は破れ去り、俺は女二人の前でSiri丸出しになっていた。
「クラウス君!」
背後からリーザ先生の声がした。
「何ですか先生!」
「すごく綺麗なお尻ね!」
「ありがとう!」
ーー夜の塔を閉ざす者。深き窟に潜む者。紅き森に住む者よ。
ーーその戸を開けて出いでよ。此岸に来きたれ、同胞はらからよ。
ーー我は常闇の支配者。全ての罪を、穢れを、業を総べる者。
ーー屈服せよ。平伏せよ。跪け!
【冥府の檻】」
「ああっ」
にわかにルナの姿が黒く霞んだ。彼女からおびただしい量の黒さが溢れ出し、包んでいるのだ。
呪いの揺れ動く様は、まるでドス黒い炎が燃えさかっているようだった。二週間の修行中にリーザ先生が作ってくれた擬似的な呪いとは邪悪さが桁違いだ。
今更足が震えてくる。怖い。これを全て俺の中に移せるのか。移したとして俺は無事なのか。生きていられるのだろうか。
いや、今は術に集中しなければ。俺はルナの呪いを解くんだ。
「んっ、はあ……」
目の前のルナが悩ましく表情を歪め、かなり甘ったるい吐息を漏らす。
大変エロい。こんな時に言うのも何だがかなり官能的である。
ルナから湧き立つ闇は徐々に一塊となっていき、渦巻きながらその規模を増していく。深い。深い闇だ。それを見ただけでルナの背負っていた呪いがどれほど強いのか、それがどれだけ彼女を苦しめ続けてきたのか分かる。
「あっ……! んんっ!」
ルナも身をよじらせ、艶やかな声を上げる。これもう喘ぎ声じゃん。
不意に闇の塊は動きを止めた。まるで時間が止まったかのようにピタリと静止する。
空気が落ちる。
呪いが満ちる。
身動きが取れないほど不穏で、今にも爆発しそうな邪悪。
見られている。
収縮した闇に目があるわけでもないし、視覚があるわけでもないのに、何故か俺はそう感じた。
だが確実に「呪い」は俺を狙っている。取り込もうと画策している。
来い。
来るなら、来るなら来い!
俺は呪いをキッと睨み返した。
その時、静止を続けていた闇が動いた。吸い込まれるように向かってくる。
ぶち当たる!
と、思ったら、そのまま俺を通り過ぎていった。
……あれ?
と少し気を緩めた瞬間、下半身に強烈な刺激を感じた。
「んほおおおお!!」
俺はキャラも忘れて甲高い声を発してしまった。それくらいの衝撃だった。呪いが一気に流れ込んで来たのだ。俺の「尻」から。
まるで閉じ込められた場所から出口を見つけた人々のように、呪いが俺の尻に殺到している。まあ確かに出口なわけだが。
「あああああああ! 何これ! 何これえ! 何で俺の尻から呪いが!?」
「落ち着いて、クラウス君。これが闇の奔流というものよ」
「嘘つけえ!」
入って来た呪いはまるで電撃のように尻から全身を疾っていく。既に尻周辺の衣服は破れ去り、俺は女二人の前でSiri丸出しになっていた。
「クラウス君!」
背後からリーザ先生の声がした。
「何ですか先生!」
「すごく綺麗なお尻ね!」
「ありがとう!」
0
あなたにおすすめの小説
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜
咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。
そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。
「アランくん。今日も来てくれたのね」
そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。
そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。
「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」
と相談すれば、
「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。
そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。
興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。
ようやく俺は気づいたんだ。
リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~
ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」
魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。
本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。
ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。
スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる