職場は超ブルー

森山 銀杏

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5人の勇者 ファイバーズ 第十六話「テレポートでてんてこ舞い」3

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自分の中で案を練りなおし青島は素早く指示を口にした。

「黄野さんはその場で待機。桃山ちゃんと緑川君は見晴らしの良いところに準備を。火薬は多めに使っていい。入れ替わるのは俺が担当する」

「それまでの時間稼ぎはどうします?」

「良い質問だ。紅君。それは俺と君でやる。準備完了次第、敵を引きつけて移動する」

「わかりました!」

「了解です」

「了解」

「私だけなんだかなぁ」

全員の返答を聞きながら、青島は素早く手に持っていたアサルトライフルを背後に回し、腰のホルスターから拳銃を引き抜いた。

青島がようやく戦場に参加する。

「今、到着した!」

「お願いします!」

上位怪人と紅が戦っているのは元畑といった風貌の場所だった。

障害物がなく、開けている。

そこで紅が上位怪人の回りを駆け回っていた。

上位怪人は身軽な動作で手に持ったステッキを振り回している。

紅は青島の到着の言葉を聞いて、わずかに気を抜いてしまった。

今回の上位怪人の武器はその手に持つステッキだ。

先が膨らみ、メイスのようでもあるが、怪人の体もまた大きい為に対比で小さく見え杖のように感じる。

飛び込んだ青島には紅に迫る上位怪人の姿が目に入る。

上位怪人は位置の入れ替わりによって攻撃を無効とする事に成功していた。

それを繰り返されれば距離はすぐに詰まる。

そんな中で青島の到着を聞いて、わずかに緩んでしまった気持ちは隙を生む。

その隙を突いて上位怪人が攻撃の為にステッキを振ろうとしていた。

紅はそれに対して攻撃も、回避行動もとれていない。

このままでは攻撃されると判断すると同時に青島は上位怪人の背後から攻撃を行った。

背後からの攻撃であったにもかかわらず、急に振り返った上位怪人が青島に向かってステッキを振る。

そうすると青島と敵の上位怪人の位置が入れ替わり、青島は肩と脇腹に衝撃を受けた。

「あ、青島さん! 大丈夫ですか!!」

紅への攻撃を防いだ青島に紅の放った銃弾が当たっていた。

紅はもちろん上位怪人に向かって発砲したつもりであったが、位置が入れ替わった事で青島に当たる結果となったのだ。

「気にするな! 弾の数に注意しろな!」

青島はそう喋ったが、紅はもう聞こえていないように一度同じ言葉を口にする。

「大丈夫ですか!? 返事をしてください!」

青島はその言葉にギョッと目を見開き、慌てて肩に取り付けてある無線機を見た。

そこには弾丸がめり込んでいる。先ほど位置が入れ替わったせいで紅の弾が当たったのだ。

青島は思わず舌打ちする。

「こっちの声が聞こえる奴は居るか!」

青島がそう怒鳴る。

「どうしたんですか!? 青島さん!」

返事を返したのは割と近くに居た紅だけだ。単に怒鳴った事で声が聞こえたのだろう。

ちっ! こっちのマイクだけ壊れたのか!

子供達の声は聞こえ、こちらの声が届いていないのを知った青島は再び舌打ちをして紅に素早くジェスチャーを送る。

紅はその動きで状況を理解して息を飲んだ。

そんな二人に対して上位怪人が飛び上がるように踏み込み、ステッキをブンと大きく横に振る。

大きな金属の固まりから発せられる尋常ではない風を切る音が威力を想像させる。

当たれば痛いで済めばいいほうだろう。青島はこれをわずかに腰だけを使って後ろに避けた。

その距離は当たったのではないかと勘違いさせるほど近い。

「無線機が壊れたんですか!?」

青島のジェスチャーを読み取り、紅が確認の為に悲鳴に近い声を上げる。

青島との通信が無くなったと知った緑川が声を上げる。

「下がりますか!?」

黄野さんの声と緑川君の声が同時にする。

「続行! 紅君、時間を稼ぐぞ!」

青島が叫ぶ。紅はそれに答えて返事を返す。

「青島さんから伝達! 作戦は続行、青島さんは無事。時間を稼ぐから準備をお願い!」

青島の指示を紅は変わって全員に伝える。

それから二人は連携をしながら前に踏み込んだ。とにかく時間を稼がなくてはならない。

二人はその目標に向かって入れ替わり立ち替わり、上位怪人に攻撃を加える。

前へ多く立つのは青島であり、紅には出来ない勇猛さで敵の攻撃をかいくぐる。

だが上位怪人の動きは早い。体が大きいなどという事が全く不利益ではないかのごとく、

跳ね回るかのように移動する。

「ステッキの先が向いていれば入れ替われるみたいです!」

激しく位置を入れ替える青島と上位怪人の動きを見ながら、紅はそう分析する。

なるほど、視野に頼らない体の動きに、体の位置を入れ替える魔法のステッキってわけだな。と青島は振りかぶられたステッキの攻撃の下をくぐり抜けるように避けてみせながら厄介な敵だと改めて認識する。

パンパンと青島と紅が引き金を引くたびに断続的に銃声が鳴り響く。

上位怪人もクルクルと良く動いてそれを避ける。

青島の脳裏に一瞬、零距離で攻撃すれば問題ないのではないかという閃きが宿った。だがそれをして入れ替わられては拳銃の弾とはいえ、ユニフォームが耐えられないかもしれない。

今はこのまま時間を稼ぐしかない。桃山ちゃんが爆弾の準備を終えるまで。

そう判断した青島が上位怪人から肉薄する事を避け距離を取ったところで、上位怪人も後ろにバク転しながら距離を取った。

これまでに無い動きに青島と紅はその動きを目で追う。

上位怪人はステッキを青島に向けた。だが入れ替わらない。

「なんだ?」

思わず漏れた青島の疑問の言葉に応えるように、上位怪人は明後日の方角にステッキの先を向ける。

いいや、明後日の方角ではない。その先には、黄色い姿が小さく見えていた。

まさかと青島は唖然とする。ゾッとした感触が過ぎ去ると青島の周囲の風景はいっぺんに変わっていた。

同時に無線機に黄野の悲鳴が入る。

「う、うわ!! なに!?」

あいつ、俺と黄野さんの位置を入れ替えたのか!?

判断が追いついた瞬間、青島は駆け出していた。だが黄野のいた位置は最初に青島がいたポイントよりもさらに遠い。距離がありすぎた。油断したと青島は内心で舌打ちをする。

任意の対象同士の位置を入れ替え出来るとは考えていなかった。

前線には子供たちしかいない。その事実に青島は冷や汗を垂らしながら走る。

みんな……耐えてくれ!
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