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1章
青天の霹靂ってこういうことですか?
しおりを挟む開いた口が塞がらない。
どう答えればいいのかわからない。
あまりにも衝撃すぎて、私は固まってしまった。
「いきなりこんなこと言って悪い。でも舞に黙っているのも辛かった。」
翔は目を伏せ、気まずそうな顔をした。
「えっと、、、その一緒にいたいっていう人は、そのオフ会で出会った人なんだよね?」
とりあえず何か言わなければと思い、固まってしまった頭を必死に動かして言葉にする。
この言葉が正解かなんてわからない。
聞きたくない、という自分と聞かなきゃいけない、という気持ちが入り交じる。
「あぁ。前から攻略サイトのチャットで知り合ってパーティー組んでた子。オフ会はそのパーティーメンバーで集まったけど、まさか1番強い奴が実は女子だったっていうので皆で盛り上がってさ。
色々話しているうちに個人的に連絡取り合うようになって、引きこもりの話とか色々共感してくれる彼女ともっと一緒にいたいって思ったんだ」
彼がこんなに楽しそうに話すのは何年ぶりだろう。
いつもは、短文だったり、相槌だったりで彼の心情を聞くことはほとんどなかった。
私といた10年よりも、ゲームの世界で知り合った彼女の方が、私よりも彼を知っていて、一緒にいたいって思われるなんて。
悔しい?
悲しい?
屈辱?
ドロドロした気持ちが沸き上がってくるのがわかる。
「じゃあ、、、さっきなんで、、、俺のことどう思ってる?なんて聞いたの?」
声が震える。
彼の顔を正面から見れなくて、俯くしかなかった。
多分、そろそろ涙が溢れてしまう。
でもここで泣いたらきっと話が進まなくなってしまうと思い、なんとか必死に堪えた。
「、、、ごめん。
成り行きで一緒にいることが当たり前になってたから、まさかそんな風に思ってくれてたなんて考えてもいなくて、、、実はさっきからかなり動揺してる、、、」
彼の言葉があまりにもショック過ぎた。
私の10年間は一体なんだったんだろう?
確かに愛の告白はなかったし、私からも告白なんてしていない。
え、もしかして私は本当にただの家政婦だった?
私が勝手に使命感に燃えて、彼のお世話をしていただけ?
私が勝手に彼に好意を抱いていただけ、、、?
彼氏でも、彼女でもない、、、、!
はっ、、、、恥ずかしすぎる!!
出来れば今すぐ出ていきたい!
彼の言葉の続きは気になったが、もう私よりその彼女と一緒にいたいと言われた時点で、私への気持ちなんて微塵も無いことが分かった。
これ以上墓穴を掘って、新たな傷をつくるのは辛い。それに涙腺もそろそろ崩壊するだろう。
幸い今日は土曜日。
今日はもう立ち直れないだろうし、これ以上彼と一緒にいるのも耐えられない。
「そっか、、、私の方こそごめんね。勝手に好意抱いて何年も家に上がりこんでて、、、。もう明日から来るのやめるね」
泣きそうな顔を見られたくなくて、落とした携帯を拾い、すぐさまソファの脇に置いた自分の鞄を取りに行く。
「舞!ちがっ、、、、」
「いっ、、、」
彼は慌てて立ち上がると、私の腕を強く掴んだ為私は顔を歪ませた。
でも掴まれた手が大きくて、力強くて、背丈も頭2つ分高い。
こんな最悪な日に彼の成長を感じるなんて、、、。
嬉しいけれど、やはり悲しいほうが大きい。
もう涙も止まらない。
最後に笑顔でいたいのにうまく顔が笑えない。
どうにか彼の腕を振りほどいて、紡ぎだした言葉。
「ごめんね翔。ばいばい、、、」
鞄を手に取り、急いで玄関へと向かう。
翔が私を呼び止めてる声が聞こえたが、もう振り返ることも、足を止めることもできなかった。
私は逃げるように彼の家を出た。
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