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2章
【幕間】ある第1師団所属の手記
しおりを挟む私はこのマール国第1師団に所属する、一兵士。
尊敬する王族と城の護衛を任命されて早5年。
今まで静寂と平和に包まれていたこの城に、事件が起きたのは今から1年前のこと。
落ち人様が街に現れ、城内にて保護することになった時から私はこの手記を綴り始めている。
○年×月
落ち人、ラーナ嬢を一目見て高位貴族令嬢だとわかった。服装や態度などすべてから。
ヴェルサス様もヴァレンティノ騎士団長も丁重に扱っていた
○年×月
ラーナ嬢の我が儘が激しくなる。ヴァレンティノ騎士団長を護衛につけろと、毎日ヴェルサス様の執務室に来ては金切り声を上げる。
なぜ自分がこの扉の担当なのか、と恨む毎日。
○年×月
ラーナ嬢が断りもなく、城内でお茶会を開いていると報告が上がってきた。
扉の奥から、ヴェルサス様と宰相が苛立っている声が聞こえる。どうやら現王族に対して反対派の令嬢ばかり集まっているそうだ。まぁ、普通の令嬢だったら、ラーナ嬢のお茶会など参加しないだろう。
○年×月
ラーナ嬢が隣国へと向かった。城内には数ヵ月振りに静寂と平和が漂う。
執務室からは穏やかな声が聞こえた。
○年△月
前回書いてから数ヶ月が経っていた。何もなかったから、書くことがなかっただけだ。
落ち人様が現れたと魔法師団から連絡が来た。皆心にラーナ嬢を思い浮かべたであろう。
しかし、夜になっても落ち人様が見つからないと報告が上がる。一瞬探す気がないのでは?と思ったが、そうではないらしい。
○年△月
朝から城内が騒がしい。まだ見つかってないそうだ。執務室の奥からヴェルサス様の苛立つ声が聞こえる。
夕方になり、ヴァレンティノ騎士団長から発見の連絡が伝わる。と、同時に前回とは違うようだと一言追加があり心の中で笑った。
夜遅くに各師団長を含めた会議が始まった。
終わった後、ヴェルサス様とヴァレンティノ騎士団長の親しげな声が聞こえてくる。
○年△月
ラーナ嬢とは違い今回の落ち人様、マイ様は他の護衛でも姿を見ることは難しいらしい。ある日第1騎士団長よりとある廊下の護衛に着くよう指示された。最初、左遷されたと思った。
侍女二人が廊下の奥から歩いてくる。
一人は何度か見たことがある王族専用侍女ミーチェ。もう一人は、、、?と思っていると、ミーチェはもう一人を「マイ様」と呼んだ。
あの、侍女服を着ている方が今回の落ち人様なのか?恐らく少し先に控えている護衛もきっとそう思ったに違いない。
ミーチェがいなくなった後、落ち人様は楽しそうにほうきとぞうきんに魔法を込めて掃除を始めた。そして俺は確信する。
彼女が掃除したところが、神々しいまでに光輝いているのだ。
掃除が終わり見えなくなった辺りでヴェルサス様、ナハト魔法師団長、ヴァレンティノ騎士団長がやって来た。廊下を見るなり、様々な反応をしていてる。普段素っ気ないヴェルサス様とヴァレンティノ様の表情が崩れているのが面白い。
新しい落ち人様、マイ様はきっとお二方に必要な方なのだろう。
○年△月
気がつけばまた執務室の警護に戻されていた。俺の力を認めてくれているのだと信じたい。
急遽マイ様の御披露目を兼ねた夜会を行うらしい。ヴェルサス様はマイ様に会えないせいか、毎日イライラしているようだ。
たまに訪れるヴァレンティノ騎士団長もなんとなく機嫌が悪い。
○年△月
隣国から、あのラーナ嬢がきた。
嵐だ。
来た日から騒ぎを起こす彼女は嵐としか思えない。ヴェルサス様とヴァレンティノ様が執務室に戻ってきたが、お二人の表情は恐ろしい表情だった。
○年△月
また執務室から夜会の会場入口担当にされた。
俺だけ異動させられるのは、都合がいいからなのか?
ヴェルサス様、マイ様、ヴァレンティノ騎士団長がこちらに歩いてくる。
お二方は今まで見たこともないような笑顔でマイ様とお話されている。なぜかそれを見ただけで心が安らぐ。
夜会が始まってからしばらくすると、場内から閃光と騒ぎ声が聞こえてきた。
開いていた扉を瞬時に魔法で閉め、封印の魔法をかける。犯人をこの扉から逃さない為だ。
ヴェルサス様から開場の伝達が来るまで警戒をしていたが、その間誰もこの扉を通ることはなかった。
来賓は会場から客室へ帰され、護衛騎士がラーナ嬢を雑に掴みながら扉から出てくる。
ラーナ嬢がまた何かしでかしたのは間違いないようだ。
中では王とヴェルサス様、ヴィーノ様、各師団長がマイ様が行方不明になったことについて相談しているようだ。
それから2時間後のこと。
安堵と苛立ちを募らせた顔をしたヴェルサス様とヴァレンティノ様が。王とヴィーノ様は淡々と。他師団長は困惑した様子で会場から出てきた。
気配がないことを確認した私は保存魔法をかけて今日は眠れそうにないと思った。
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