彼氏に振られたら、異世界にいました

香月

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3章

帰る場所

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「お前らが先に手を出さないのが悪い」

リヒャル様はさも当然のように言い切る。
いやいや、手を出されても困りますよ。

「マイ様、こんな危険な国は早く出ましょうね」

「ヴァレンの言うとおりだな。ラーナも引き渡したし、帰るか」

ヴェルサス様とヴァレン様は怒りを圧し殺した笑顔を張り付け、私を連れ出そうとする。

「いや、お前ら起き抜けの女をそのまま連れ出そうとするな!」

「信用できない国にお世話になるつもりはありません。直接マイ様のお部屋にお連れするので結構です」


私はヴァレン様に手を握られると体がふわりと浮き、気が付けばマール国の豪華なお部屋にいた。
最初は喜んでいたミーチェさんだが、私の服を見るなり半狂乱になり、ヴァレン様を早々に部屋から追い出した。

そんなやり取りを見て笑ってしまう自分。

まだそんなに経ってないのに、帰ってきたなと思ってしまった私はもうこの世界の住人になったということだろうか。




しばらくはまた前のように城の中で侍女さんのお手伝いをしたり、ヴェルサス様、ヴァレン様と勉強をしたり穏やかな日々が続いた。

ラーナ嬢の件は色々とうやむやにされていて、詳しく聞いてないし、聞いちゃいけない雰囲気が漂っていたのでそのままにしている。

でもあの日から何となく、お二人にどこか影があって何かが変わっているのかもしれない。


あれから1ヶ月。
今日はなぜか王様からお呼ばれがあり、二人きりで話したいとのことで私室に通された後、王様直々にとある場所に連れていかれた。

王様の私室から転移魔法できた場所。


それは、私があの日この世界に来たシンリ湖。

あの日と全く変わってなくて、相変わらず美しい景色のまま。

けれど、今回いるのは湖の真ん中。

魔方陣の上になぜかガーデニング用の椅子とテーブルがあり、湯のみとお菓子がすでにスタンバイされていた。


確かシンリ湖は不可侵の結界がある場所なのでは、、、?


「さぁ座ろうか」

王様はニッコリと笑いながら椅子に座る。

失礼します、といって椅子に腰かけた。


なんだこの不思議な空間!


「さて、今日マイ殿を呼んだのはこの世界にもだいぶ慣れただろうし、すべてを話そうと思ってね」

「すべて、ですか?」

状況についていけなくて、つい困った顔をしてしまった。


「そう。あ、ちょっと待って姿を変えるね」

王様はそういうとぱちん、と指を鳴らす。


すると王様は黒髪、黒い瞳で普通に日本人の顔になる。日本人でも整ったイケメンの類いに入るだろう。
そういえば口調も崩れてるし、声も若くなっている。


一体この人は誰、、、?


「この姿の方が受け入れやすいと思ってね。最初に会ったときもっと色々聞いてくるかなと思ったんどけど、思ってたより大人すぎて参ったよ」

そういうと、目の前の元王様は湯飲みのお茶をのみ始める。
そしてお茶どうぞ、なんて進められた。

さっきから頭がついていかない。

「えっと、王様なんですよね、、、?」

「あ、もうそこ突いちゃう?以外にせっかちなんだね。じゃあお望み通り答えてあげるよ」


王様もとい目の前の日本人は、すっと笑顔を消すと私の目をじっと見つめて言った。


「僕はヴェルナーレ17世。だけど初代落ち人タクマでもある。今日は舞さんに元の世界に帰ってもらおうと思って呼んだんだ」


私は思わず手を強く握り混んだ。

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