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3章

真実は小説よりも凄かった1

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王様、もとい初代落ち人タクマさん。
そして元の世界に帰るって。


えっと、どこから突っ込めばいいですか?



「そりゃ混乱するよね。だから言ったのに」

相変わらずまったりお茶を飲むタクマさん。

「えっと、王様?」

「タクマでいいよ?同じ日本人だし、それに同じ時代の人っぽいしね」

「じゃあ、タクマさん?初代落ち人ということはこの国の王様をずっとされてたんですか?」

「うーん。ややこしいから最初から話すね」


そういうと、タクマさんは少し遠い目をして話始めた。


「向こうの世界ではホントに普通の大学生だったんだ。ゲームとか異世界モノとか好きなオタクよりだったけどバイトして就職活動とかして、さぁ入社式前日って時に死んだっぽい。
気がついたら神様の世界にいてさ、この世界来ない?って言われた。うおーきたー!って思ってすぐ即決したんだ」


タクマさんは、その時の興奮は多分一生味わえないっ!!て凄く興奮していた。


「ホントに何もない世界って言われたから、思い付く限りのチート能力をもらってこの世界に来たんだ。そしたら落ちた時の衝撃でここが隕石みたいに穴空いちゃってさ」


タクマさんは苦笑いしながら湖を見る。


「え、シンリ湖ってタクマさんが落ちたせいで出来たクレーターなんですか?」

まさか隕石でも火山でもなくタクマさんが大地を削って出来た湖だったとは、、、。


「そう凄いでしょ!ここはホントに何もないただの荒野でね。
最初は貰ったチート能力で少し先の森で狩猟民族みたいなことして、クレーターに雨が溜まり始めた頃にポツポツと人が集まり始めて村ができ始めた。
ここに集まった人は元の土地を追い出されて来た人達が多いから俺のチート能力が神みたいに崇められちゃって、気がついたら結婚してて街の長になってたんだ。それがこの国の始まりで初代ヴェルナーレになった時。
僕の寿命は変わらなかったから、一回普通に死んだんだよね。だからシンリ湖は誰も入れない結界ができてしまった」


タクマさんが死んだ後、黒髪の神様として街の人から熱狂的に信仰されたそうだ。


「あーやりきったなって、思って目が覚めたらまたこの世界の別人に生まれ変わってた。
あれ、元の世界に戻るんじゃないの?って思ったけど全く戻る気配もないし、貰った能力もそのままだった。
だからせっかく大きくなったこの街をより良くしていこうと思って、僕の子孫の補佐をしていたら国が出来た。そしてまた寿命で死んで、また別人に生まれ変わる。
5回目くらいから平民になったり、他国へ行ったりしてみたよ?でも僕は何度もこの世界のこの国の人に生まれ変わってしまう。
元の世界に帰りたいって思って、自棄になって酒に溺れて早死にした時に、あの神様の世界に連れてかれて元の世界に1回戻ったんだ」


タクマさんの表情が一辺して暗くなった。


「元の世界でタクマは死んでるから、人生やり直すことになったんだけど、、、。
日本っていう元の世界がひどく生きにくくてね。しがらみとか、常識とか、マナーとか。
神様にお願いして、もう我が儘言わないからこの世界に帰してくれって頼んだ。そしたら、ヴェルナーレ17世として生まれ変わった。
王族として生まれ変わるのは初めてだったから、まずは厳しすぎるマナーとか常識を緩めるところから始めたよ」


タクマさんは冷めたお茶を飲んで口の乾きを癒していた。
そういえば私も熱心に聞きすぎていて、口が乾いていたのに気付きお茶を飲んだ。


「変わり者の王って言われてからしばらくして王妃を迎えて、さぁ世継ぎがって時に問題が起こった。
ヴェルサスが黒髪で生まれてしまったんだ。
僕が王に生まれ変わったせいで、ヴェルサスに落ち人としてのチート能力の一部と膨大な魔力が引き継がれてしまった。
今まで子供が出来たとき、一回も黒髪が生まれたことがなかったから正直油断してたんだ。
お陰でヴェルサスは小さい頃から周囲に恐れられて、僕の子じゃないと影で言われたりしてね。
なんとか始組帰りっていう事で落ち着いたけど、流石にこの話は誰にも出来なくてただ見守ることしか出来なかった。
それにヴィーノにも一部能力が引き継がれたことが分かって、これ以上僕の子孫を残すのはこの世界にとって良くないとわかったんだ。

それにもう一つの問題が起こってさ、いつの間にかこの世界は魔力が同じくらいないと子供が出来ない世の中になってたんだ。だからこのままだとヴェルサスは1人孤独に生きることになってしまう。
王にならなければ、ヴェルサスに辛い思いをさせなくて済んだのになんで僕は王に生まれ変わったんだろうって何度も自分を責めた。

親だからヴェルサスは可愛い。

今まで辛い思いをした分、彼には幸せになってもらいたい。

だから願ってしまったんだよ。


ヴェルサスと共に添い遂げられるお嫁さんが欲しい。

出来れば僕と同じ世界の子で、ヴェルサスを大事にしてくれる子をこの世界にって」


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