35 / 48
3章
真実は小説よりも凄かった2
しおりを挟むだからごめんね?
とタクマさんは苦笑しながら謝ってきた。
つまり、私はヴェルサス様と将来を共に添い遂げられると認められてこの世界に飛ばされたわけか。
確かにヴェルサス様を見るとドキドキするし、勉強の教え方もいいし、一緒にいても苦じゃない。
でもそれって刷り込まれたものなんじゃないかな、、、。
「でね、大事なのはここからなんだけど」
タクマさんは私の目をじっくりと見つめる。
「今いきなりこんな事を言っても、舞さんの事だから納得しないでしょ?それに僕と違っていきなりこっちに来たから、やり残したことだってあると思う。
だから、一回元の世界に帰してあげる。それで考えて欲しいんだ。
僕はもう向こうの世界に未練はない。だから舞さんも向こうの世界に戻って、こっちに戻ってもいいと思えたら帰ってきて欲しいんだ。それからヴェルサスの事を考えてくれない?」
すべてお見通しですか?
というより、また顔に出てましたか?
「ふふ、困った顔をしちゃって。でもね時間がないんだ?そろそろヴェルサスとヴァレンティノが痺れを切らして探し始めちゃうから今から行ってもらうね?」
「今ですか!!」
「うん。」
「えーっと、、、」
「あ、ちなみに帰る場所は指定できないけど、元々いた生活拠点辺りになるように頑張るから」
「心の準備がまだ、、、」
「え、大丈夫だって。きっと見るところが変わってくる筈だから」
タクマさんはニコリと笑うと、人差し指を立ててくるくると回す。
「じゃあ、もういいかな?」
私たちを中心にシンリ湖に波紋が立ち始める。
私は慌てて聞きたかったことを問いかけた。
「タクマさん!私がもしこの世界に戻らなかったらどうなりますか?」
「うーん。今答えたら舞さんの気持ちを揺るがしそうだから言わないでおく。けどこの世界で舞さんは幸せになる運命ってことは言っておこうかな」
「私が幸せになる運命、、、?」
ざっ、と私たちを中心に風が巻き起こり、私に暖かな光包み込む。
「あ、戻りたいときはね、、、、」
タクマさんの声は途中で途切れてしまい、最後まで聞くことは出来なかった。
「さて、無事に向こうの世界に着いてるといいけど」
王、もといタクマは冷めた緑茶を一啜りすると、近づいてくる二人の気配を察知してタクマからヴェルナーレ17世へと姿を変える。
近づいてくる二つの気配は湖の畔に付くと、こちらを睨んでいるので思わず苦笑する。
「ヴェルサス、ヴァレンティノ、そんなに睨むと皺が深くなるよ?」
転移魔法で二人の側に来ると、じとっとした視線を向けられる。
「父上!!マイをどこにやったのですか?それよりもなぜ父上はシンリ湖に入れるのですか?」
ヴェルサスは興奮しているようで、いつもより早口になっている。ヴァレンティノは何も話さないが、纏う空気には殺気が込められている。
―全く、こんな分かりやすい二人に迫られてるのに気付かない舞さんは、向こうの世界でどんな結果を出すのだろう。
二人を宥めつつ、真実を告げるからと諭して城へと戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
初恋の呪縛
緑谷めい
恋愛
「エミリ。すまないが、これから暫くの間、俺の同僚のアーダの家に食事を作りに行ってくれないだろうか?」
王国騎士団の騎士である夫デニスにそう頼まれたエミリは、もちろん二つ返事で引き受けた。女性騎士のアーダは夫と同期だと聞いている。半年前にエミリとデニスが結婚した際に結婚パーティーの席で他の同僚達と共にデニスから紹介され、面識もある。
※ 全6話完結予定
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです
しーしび
恋愛
「結婚しよう」
アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。
しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。
それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる