彼氏に振られたら、異世界にいました

香月

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最終章

元の世界に戻ったようです

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 何がどうしたらこうなるのか。

舞は目の前で起こっている事実にため息をつくことしか出来なかった。

事の発端は1年前、、、





目を覚ますと、真っ白い天井。
鼻につくアルコールの臭いと、左腕には点滴。


「舞ちゃん?あぁ、目を覚ましたのね!」

傍らから母親の安堵の声が聞こえた。

しばらくすると白衣を来た医者と看護婦が現れ、目や口、脈などくまなく検査された。


落ち着いた頃に母から聞かされた話に舞は苦笑いせざるを得なかった。


あの日、翔の家を出てからどうやら家に戻り飲めない酒を飲んだらしい。
そのまま行方不明になり、家族や会社の人が必死に探すも見つからず警察に届けを出されていたそうだ。

ところがある日、実家近くの公園で女が椅子に座ったまま意識がないと病院に運ばれ、持ち物が何もないことから事件性を疑った病院が警察に連絡。そこから身元が判明し、連絡を受けた母がずっと付き添っていてくれたとのことだった。


母は色々質問してきたが、それにはすべて記憶がないと嘘を突き通すことにした。

異世界に行ってました、なんて言ったら恐らく入院生活が延びるだけだろうし、、、。

目を覚ましてからは、毎日何かしらの検査を受けたが2週間後には問題なしで退院できた。

しかしその後に待っていたのは、警察からの聴取。もちろん、異世界の話は出来ないから記憶がないを突き通す。
最初は向こうの侍女服のせいでかなり詮索されたが、暴行された跡もなく「記憶がない」を突き通したお陰が1週間程で解放された。


やれやれと思った矢先、今度は会社の同僚達からのお見舞い攻撃が来た。上司まで来て、しばらく休職扱いにしてくれた。
そしてどこから知りえたのか、マスコミが押し掛けてきて外に出られない日々が続いた。

しばらくテレビでも取り上げられ、誘拐説、拉致疑惑、UFO説、自作自演説などありもしない話でコメンテーターが盛り上がる。


「まさか異世界に行ってました!なんて言えるわけないし。ある意味UFO説には近いかな」


退院してから実家に引きこもっていた舞は、テレビの前で煎餅を食べながら呟く。
チャンネルを回しても、特に見たい番組もなくテレビを消す。
何かしたくても物音をたてると、マスコミからインターフォンを鳴らされる為動けない。
勿論外出もできず、1日ゴロゴロ家にいるだけ。

異世界に行っても侍女さんのお手伝いをしていたし、向こうの世界の勉強をしていたのでこんなに暇な毎日は人生始めてだった。


「あー暇だなぁ」

シンプルな机とベット。女子力の「じ」の字もない自分の部屋に戻りベットに横になる。


そしてふと、異世界の暮らしを思い出した。


今までは翔のお世話で忙しいと言い訳をして、自分を磨くことなど4の次くらいに考えていた。
けれど異世界でミーチェさんと毎日お着替え、かつ湯編み後のスペシャルマッサージを受け、更に夜会に合わせてヴェルサス様から送って貰ったドレスに着替えたとき。


あの二人が自分を誉めてくれた。


確かに自分の中の忘れかけていた「女子」が喜んでいた。





人はあまりにも暇だと、考えることがおかしくなってしまうらしい。


舞は人が変わったかのように、毎日女子力を高めるネット記事を読んでは実践し、体にいいと書かれているものは積極的に取り入れることにした。
もちろん買い物はネット通販。

時間は山ほどあるし、家から出られない今だからこそできること。

別に誰かに見せたいわけでもなく、綺麗と言われたい訳でもない。

ただ暇で、あの世界で着飾った自分をもう一度見たいと思っただけ。


そう心に蓋をして、自分を磨くことに専念をしていった。
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