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第一章
閑話 守りたいもの
しおりを挟む「僕の妹は、本当に可愛い!天使かと思うくらいだ!」
そんな風に思わず口にしてしまうほど、クリスティアは僕にとって特別だ。彼女が生まれたその日、僕は母上の腕に抱かれながら誓った。母上は、クリスティを産んだ後、体を壊してしまい、そのまま僕たちを置いて旅立った。
母上は最期に僕にこう言ったのだ。
「リュカ…父上とクリスティアを守ってあげてね。あなたならきっとできるわ。」
その言葉は、僕の心の奥深くに刻まれている。まだ小さな僕には、権力も力もなかったけれど、いつか成長して強くなり、父上やクリスティを守る存在になることを固く誓った。僕はその約束を破るつもりなんてこれっぽっちもない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
父上が再婚することになり、新しい家族が増えた。義母となったセシルさんと義妹のリリアだ。セシルさんは本当に優しく、噂以上の素晴らしい人だった。けれど、リリア…。彼女には言葉にしづらい、妙な違和感を覚える。
一見すると、リリアは品があり、美しく、誰にでも礼儀正しい。父上もクリスティも、特に問題なく接しているようだ。だけど、僕の中の警鐘が鳴っている気がしてならないんだ。もしもリリアが、父上やクリスティに害を及ぼすようなことをしたら、その時は――
「生きているのを後悔させるくらいの制裁を与える。」
そう密かに心に決めている。とはいえ、僕の気のせいかもしれないけど…。
そんな折、僕はふと気づいた。最近、クリスティの様子が少しおかしい。なんだか浮かない顔をしていることが増えた。
「何かあったのか?」
心配になった僕は、さりげなく話を振ったけれど、クリスティは笑ってごまかすばかりだ。それに加えて、リリアとあまり話している様子がない。以前はもっと仲良くしていたはずなのに。何があったんだろう。
もしかしたら、リリアが原因でクリスティが悩んでいるのかもしれない。いや、そうだとしたら絶対に許さない。リリアに何か裏があるのか…少し調べてみるべきかもしれないな。
今日は僕にとって大切な日だ。そう、ついに洗礼の儀を受けるのだ。結果次第で、これからの人生が大きく変わるからか、緊張で胃がキリキリする。それを察したのか、クリスティが優しく声をかけてくれた。
「深呼吸をしてみるのはどうでしょう、お兄さま。」
その笑顔とアドバイスに、緊張が少し和らいだ。やっぱり僕の妹は天使みたいだ。
洗礼の儀は無事に終わり、僕のステータス結果も悪くなかった。職業適性は「騎士の類」。どんな騎士になるのかはまだ決めていないけど、僕にははっきりした目標がある。
「僕は家族を守れる騎士になりたい。それこそ、どんな困難があろうとも――」
その想いを胸に、これからも強くなっていくことを誓った。僕には守りたいものがある。それが、僕の原動力なのだから。
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