2度目の人生は、公爵令嬢でした

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第二章 学園生活

47話 激闘の始まり

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「さあ、出発しようか」

ラインハルトが静かに言い、クリスティアたちは即座に行動を開始した。

クリスティアのグループは、
・ラインハルト(魔法剣士)
・アレク(タンク・盾役)
・クロエ(魔法使い)
・フィリップ(剣士)
・エリック(戦斧使い)
・クリスティア(弓使い・ヒーラー)

の6人だ。それぞれが必要な装備を整え、互いに顔を見合わせる。

「今回はお前たちもいるし、大丈夫だろう。」
アレクが自信満々に肩をすくめながら言った。彼は前衛のタンク役としてグループの守りを固めるつもりだ。

「気を引き締めていこう。どんな魔物が出てくるかわからない。」
クリスティアは弓を背負いながら言い、ラインハルトの視線が一瞬だけ彼女に向けられる。

「クリスティアの弓と回復は信頼してる。けど、油断しちゃダメだよ。」
彼の言葉に、クリスティアは微笑みながらうなずく。

「はい、気をつけます。」

森の中に入ると、周りは深い緑に包まれ、足元の土が軋む音が響く。木々の隙間から差し込む薄い光が、鬱蒼とした空気の中で微かに揺れる。不安を誘う静けさが漂っていた。

「魔物ですかね?」
クロエが周囲を警戒しながら言った。彼女は魔法による後方支援を担当している。

「ああ、おそらく少し先だな。」
ラインハルトが前方を睨みつつ、剣の柄に手をかける。

そのとき、森の奥から低いうなり声が響いた。それは、普通の動物のものではない。明らかに魔物のものだ。

前方の茂みが揺れる。巨大な足音が地面を揺るがし、木々がざわめいた。

「来るぞ!」
ラインハルトが鋭く言い、仲間たちに合図を送る。

アレクは大盾を構え、前線に立つ。エリックが戦斧を肩に担ぎ、フィリップは剣を抜いて構えた。クロエは杖を握り、魔法の詠唱を始める。

クリスティアはすでに弓を手にし、矢をつがえていた。

森の中から現れたのは、鋭い牙と硬い甲殻を持つ巨大な魔物だった。四足で地を踏みしめるたびに、振動が伝わる。

「アレク!」
ラインハルトが指示を出し、アレクが魔物の正面に立ちはだかる。

魔物が猛スピードで突進してきた。

「くるぞ!」
アレクが叫び、盾を前に構える。

魔物の爪が鋭く振り下ろされる。

ガァン!

衝撃が走るが、アレクはその場を死守した。

「フィリップ、右から!エリック、左だ!」
ラインハルトが叫ぶ。

フィリップは剣を構え、アレクの右側から素早く魔物に切りかかった。

「――閃光斬!」

剣が輝き、魔物の肩口に深く切り込む。しかし、魔物はすぐにフィリップを振り払おうと動く。

「おっと、そうはさせるか!」

エリックが戦斧を振り上げ、魔物の脇腹に叩きつける。

「斬撃破!」

斧が重い音を立ててめり込み、魔物が苦しげにうめいた。

その隙を狙い、クリスティアが矢を放つ。

「風の加護よ――貫け!」

矢が魔法の風をまとい、一直線に魔物の右目を射抜く。

魔物が痛みに暴れるが、クロエがすかさず魔法を放った。

「――氷結術、バースト!」

魔物の足元に氷の結界が展開され、動きが鈍くなる。

「ラインハルト!」

クリスティアの声に、ラインハルトが飛び出す。

「――光斬!」

光をまとった剣が閃き、魔物の首元を深く切り裂いた。

魔物が断末魔の叫びを上げる。

「最後は任せろ!」

エリックが戦斧を高く掲げ、全力で振り下ろした。


ドガァンッ!!

魔物の頭が叩き潰され、完全に息絶えた。

――静寂が戻る。

全員が荒い息をつきながら、魔物の動きを確認する。

「やったな。」
ラインハルトが冷静に言い、フィリップとエリックが拳を軽くぶつけ合った。

「なかなかの強敵だったが、いい連携だったな。」
エリックが戦斧を肩に担ぎながら言う。

「クロエの魔法と、クリスティアの矢も決まってたな。」
フィリップが笑いながら振り返る。

「アレクの盾がなかったら、私たちの攻撃も届かなかったわ。」
クロエが肩をすくめると、アレクは淡々と答えた。

「まあな。俺がいなきゃ、お前たちはやられてたかもな。」

「それは言いすぎだわ!」
クリスティアが笑いながらツッコミを入れ、みんなが和やかに笑い合う。

「次も、この調子でいきましょうね!」
クリスティアの言葉に、全員が力強くうなずいた。


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