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3巻
3-3
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✿
ルフトが記憶の中にいる頃、イポスとルフトの従魔たちは、ベッドに横たわったルフトの周りを囲んでいた。
従魔たちは心配そうにルフトを見守っている。
そんな彼らを見て、イポスが言う。
「そう心配するな、危険はない。今ルフトは自分の過去と向き合っているんだ。さて、彼はどんな記憶を持ち帰るのかね……」
(お父様に何かあったら絶対に許しませんわ)
いきりたって念話を飛ばす植物の魔物ローズ。ルフトを慕う彼女は体を震わせていた。
ルフトを心配する気持ちと、目の前の魔物の王への畏怖がそうさせているのだ。
イポスは特に気にした様子もなくローズに応える。
「怖いのなら無理はしない方がいい。今のお前では私にかすり傷すらつけられんよ。悔しいのなら、もっと強くなれ」
(あなたに言われなくても、わかってますわ)
そんなローズの態度をイポスは受け流し、ルフトの顔の上にただ手を翳し続ける。
従魔たちも、じっとその様子を見守っていた。
「従魔たちに愛されているな、ルフトは。この眠りはただの眠りではない。この一晩で彼は何日もの時間を記憶の中で過ごすことになるだろう。目が覚める頃にはきっと腹を空かせているはずだ。美味しい朝食でも作って腹一杯食べさせてやるのだな」
イポスの言葉に、料理担当のスライムたちは了承したとばかりに体をブルブルと震わせた。
そんな従魔たちを見たイポスは、心変わりしたように少しだけ秘密を教えることにした。
「私からルフトの従魔である君たちに話しておきたいことがある。ただ、今から話すことはルフトには秘密にしてもらうよ」
(なぜですか? お父様に隠し事などできるはずはありませんわ)
「あるじ、かくしごと、いやだ」
真っ先にそう言ったのはローズとテリアだ。もちろん他の従魔たちもルフトに隠し事などするものかと反対する。一匹を除いては。
(イポス殿の話を聞いてから決めないか?)
赤い鎧に身を包んだおじいさんの妖精フローラルが、従魔たちをなだめた。
(フローラルはお父様に隠し事をしても平気なんですの?)
(落ち着けローズ……魔物の王とも呼ばれるお方が、何も考えずに主に嘘をつけとは言うまい。何か意味があるんじゃろう)
それでもローズは食い下がる。それをイポスが手で制した。
「まあ、話を聞け。順に説明はしていく。まずはこれを見ろ」
イポスが寝ているルフトに手を翳したまま一言二言聞いたことのない言葉を呟いた。するとルフトの上に水面のような光の波紋が現れた。
そこから、細い光の糸のようなものが、従魔の住処の天井に向かって伸びはじめた。
(イポス殿、この光の糸は一体なんですか?)
フローラルが尋ねると、イポスは難しい顔で答える。
「恐らくこれは、ルフトが記憶を消された際に魔物の王に課せられた制約の魔法の糸だ。今でもその魔物の王は離れた場所でルフトを監視しているんだろう。ルフトは本当に魔物たらしの才能があるようだ。気に入られているな」
従魔たちは、それぞれが様々な表情で光の糸を見つめた。
怖れ、戸惑い、心配、不安。
ただ一つハッキリしているのが、全ては主を想う気持ちからきているということだ。
(この糸は……切れないんですか?)
フローラルと同じ花の妖精のレモンが声を震わせる。
「切れないことはないが、無理に切ることでルフトの体に異常が起きないとも言いきれん。どんな糸かわからない状態で手を出すのは危険だ」
イポスの言葉に従魔たちは黙り込んでしまった。
そんな従魔たちにイポスは魔法の使用者に心当たりがあると言った。
「安易にその者の名を呼ぶことはできないが、そいつは魔物の王の一匹で人の心を操るのが得意な悪趣味な奴だ」
(人の心を操る……お父様の魔法を解く方法はないんですの?)
ローズがすがるように尋ねると、イポスは首を横に振った。
「魔物の王が使う魔法だ。同じ魔物の王の私でもそう簡単には解呪できんさ。ただ方法がないわけではない。その機会はいずれ訪れるはずだ。それはルフトに起きる二つ目の出来事に関係しているからな」
(主様には言葉を濁して伝えていたようですが、イポス殿には二つ目の出来事もハッキリと見えていたということですな。主様を見張る魔物の王に気付かれないためにも、詳しい話は伏せていたと……?)
フローラルの言葉にイポスは頷く。
「その通りだ。ルフトに預けた私の眷属にも意味がある。ルフトが命を落とさないためにも、お前たちはルフトに気付かれないように動かなければならない」
「あるじ、しぬ、どういうことだ」
(お父様に何が……!)
(主様に何が起こるというのですか?)
テリア、ローズ、フローラルが一斉にイポスに詰め寄る。
さっきまで冷静でいたフローラルさえも顔色を変えた。他の従魔も、今にもイポスに掴みかかりそうな勢いだ。
イポスはそれを見て思わず笑ってしまった。そんな彼に、従魔たちの顔はさらに険しくなる。
イポスが本気で戦えば、ここにいる従魔たちは一瞬で殺されてしまうだろう。従魔たちはそれを知っても臆することなくイポスを睨んだ。
従魔たちがルフトと共に過ごした時間は長くないが、彼らは自分たちの命を懸けても良いと思えるほどに主であるルフトを慕っていたのだ。
イポスは両手を上げて、従魔たちをなだめる。
「まあ、落ち着け。それを回避するための話をするんだ。だからこそ約束してもらわねばならない。これから私が言う全てを、お前たちはルフトに、大好きな主に秘密にすることを誓わねばならない」
従魔たちは迷わなかった。
嘘をついて嫌われるかもしれないという恐怖など、主の死に比べれば些細なことだ。
(嘘をついたことで、どんなに怒られようとも嫌われようとも、お父様の命に代わるものなど、この世界には存在しませんわ)
従魔を代表してローズが宣言した。
イポスは頷いて話しはじめた。
ルフトとその魔物の王を繋ぐ者がいる。その者の名はディアラという。
従魔たちもその名前に憶えがあった。彼らは口を揃えて言うだろう。それは彼らが最も嫌う人間の名前だと。
しかし、ディアラこそがルフトを繋ぎとめている光の糸を解くための鍵を握る人物。
イポスは続ける。
その者の姿形に惑わされるなと。
そして、二つ目の出来事が起きる前に、少なくともAランクの魔物を狩ることができる力を身につけろと。
✿
モーソンに連れられて去っていく昔の僕を見送った後、また場面が変わった。
今僕ルフトは、白い石の壁に囲まれた明るい部屋の中にいた。どことなく、初めて開いた時の従魔の住処に似ている。
部屋の中には家具一つなく、あるのは立派な彫刻が施された大きな木製の扉だけ。
僕はその彫刻を見ただけで、扉の意味を知った。この扉を開けて外に出れば、過去の記憶をたどる旅も終わりを迎えるんだ。
ここまで見た過去の記憶を振り返る。
改めて自分の過去に対して嫌気が差したが、それと同時に新しく芽生えた思いと願いがある。
こんなバカげた実験してきた施設を壊してやりたい。一人でも多くの友達を救いたい。
すると、どこからか声が聞こえてきた。
「本当にそう思うか? 方法はどうあれ、彼らは親のいない子供たちを集めて生き抜く術を与えているんだ」
僕以外誰もいなかった部屋の中に、黒いローブに身を包んだイポスさんが立っていた。
「急に現れないでください。ビックリするじゃないですか……」
僕はそのままイポスさんに応える。
「確かに僕たちは、軍事国家ヴォラベルの施設に拾われなければ死んでいたのかもしれません。けれど……偽りの家族の記憶と兵器として売られていくための力を与えられたことが、幸せだとは思えないんです。もちろん、リレイアスト王国のように人として育ててくれる国に拾われた子供たちは、幸せを手にするかもしれません。でも、これは間違っています」
僕は、目の前に立つイポスさんの視線を正面から受け止めた。
「施設を壊した後、残された子供たちはどうなる? 魔物との融合実験で人より強い力を与えられた子供たちはその事実が明らかになった時、迫害を受けるかもしれない。それはどうでもいいのか?」
イポスさんの僕を見る目はとても真っすぐで、心の奥底まで見透かされているような、そんな視線だった。
確かに、僕の行動で多くの子供たちが居場所を失う可能性だってある。
「自分以外どうでもいいなんて思いませんよ。もし、その子供たちを全ての国が拒否するなら僕が住む場所を作ります。人と魔物、全ての種族が共存できる場所を作ります。そうすれば、人間と魔物が混ざり合った子供たちだって自由に生きられるはずです」
今の僕にはこれ以上良い考えは浮かばなかった。
施設を潰して、果たしてそこにいる子供たちは喜ぶのだろうか?
そんな僕の不安を見透かしたように、イポスさんは反論してくる。
「それはルフト、君がテイマーだから……従魔たちと一緒に過ごしているから思いつく方法じゃないのか? 多くの人は魔物を恐れるものだ」
そうだ……イポスさんの言っていることは正しい。
それでも――
「人と魔物が暮らす町があったっていいと思うんです」
僕は何を言っているんだろう。まだ過去の記憶の中にいるせいか、思ったことを次から次へと口に出してしまう。
「そんな町が本当に作れるのか?」
イポスさんは真面目な顔で僕の答えを待っているようだった。
しかし、急に我慢できないと言わんばかりに大声を上げて笑い出した。
僕は目が点になる。
「人と魔物が暮らす町か……面白いことを考えるな。それにしても自分で作るとは大きな目標だ。ここは君の過去の記憶の中、言わば君自身の心の中にいるんだ。自分の境遇をバカげた実験と思うのも、それを壊したいと思うのも君の本心なんだろう」
イポスさんは〝だが〟と言って続ける。
「現実はそこに関わる多くの人のことも考えなければならない。今は君の心の中だから衝動に駆られて冷静な判断ができないのだろう。でも、それもまた面白い」
イポスさんは僕の頭を撫でた。
確かに今の僕は冷静さを欠いているんだと思う。
ディアラの言葉にカチンときて殴ろうとしたし、普段の僕なら行動する前にもっといろいろと考えるんじゃないか。
「それに、君が自分を育てた施設を憎み復讐を考えたとしても、それを実行できるのはまだ先の話だ。それにしても、人と魔物が暮らす町か……私も興味がある。そんな町が実現するなら、ぜひ私もそこに家を持ちたいものだ。その時には私も受け入れてもらえるか?」
僕は頷いて答える。
「もちろんです」
「そうか、楽しみにしておくよ。君は本当に面白い人間だ。最後にがっかりしないで聞いてほしいんだが、ここは夢の中だ。夢というものは起きた時にほとんどのことを忘れてしまう。私が言おうとすることはわかるね」
「忘れたことをイポスさんが教える、というのはダメなんですか」
イポスさんは残念そうに首を横に振る。
「ダメというより無理なんだ。ここでの出来事を教えてあげることはできないんだよ。ただ、最初に伝えたように、君は何か一つ、記憶を持ち帰ることができる。さて、何を選ぶ?」
イポスさんは僕がどの記憶を残すか、最初からわかっていたんだと思う。
僕はモーソンに会わなければいけない。
ディアラと軍事国家ヴォラベルのことは、モーソンがきっと教えてくれるはずなんだ。
僕は残す記憶を決めると、白い部屋の扉を開けた。
✿
どれくらい寝ていたんだろう。体が重い。
目を開けて最初に飛び込んできたのは、不安そうな従魔のみんなの顔だった。
イポスさんは満足げな表情で僕に手を翳している。
「ようやく目覚めたか。過去の自分とは向き合えたか?」
僕はイポスさんの問いに頷く。
「はい……ほとんど覚えてないですけど、ちゃんと向き合えたと思います。僕はどれくらい寝ていましたか?」
「まだ一晩だよ。夢の中で君は過去にしがみつこうとしたはずだ。でも、それは過去に強く引っ張られたせいだろう。目が覚めたことだし、これからのことをきちんと考えなさい」
やっぱりイポスさんは先生のような人だな。
僕がたった一つ持ち帰ったモーソンの記憶を頭の中で思い返していると、僕のもとに、従魔のみんなが一斉に飛び込んできた。
その重さでベッドの脚が折れてしまい作ってくれたニュトンたちに申し訳なかったけど、彼らも嬉しそうに笑っていたし、許してくれるだろう。
すると、すごく美味しそうな香りが漂ってきた。
僕のお腹はぐうぅと大きな音を立てる。
僕だけじゃなくみんなやイポスさんまでもが、つられてお腹を鳴らした。思わず全員で噴き出してしまう。みんな食事をせずに僕を待っていたのだ。
僕が席に着くと、待っていましたとばかりに、コック帽を被ったスライムたちが勢いよく料理を運んできた。
時刻は朝。
朝食のメニューは、厚めに切って塩コショウを多めに振った〝ヘリュマントスサンライトボアのステーキ〟に、〝カイランとバースニップとトマトたっぷりのサラダ〟。
加えて〝ジャイアントトードの塩スープ〟、パン生地に乾燥した迷宮胡桃の実を練り込んだ〝迷宮胡桃パン〟の四品だ。
テーブルの中央の大皿に山と盛られた迷宮胡桃パンは好評で、みんなが競うように手を伸ばしては豪快に噛りつく。
僕は朝食を食べながら、イポスさんに夢の内容を教えてほしいとねだった。
でも――
「ん? 夢なんて朝起きると忘れていたり、覚えていても所々曖昧だったりするもんだろ。はっきり覚えている方がおかしいんじゃないか」
「普通の夢ならそうですけど、今回のはイポスさんが魔法で見せてくれた夢ですよね。イポスさんなら僕が見た内容も知っているはずだし、教えてくれてもいいじゃないですか」
「すまないが、それを教えることはできないんだ。さ、まずは飯だ……食え食え」
イポスさんは、言葉を遮るように大きなパンを僕の口に突っ込んだ。
「ふぉまかふぁふぁひへくははい(ごまかさないでください)」
くっ……パンが邪魔で上手く話せない。
「食べながら喋るのは行儀が悪いって言ったのは君だろう」
そう言って笑うイポスさんにムッとしながらも、僕はある違和感に気が付いた。
イポスさんの顔が少し変わっているのだ。心なしか僕と似ているな……まあ、変身だから顔も変え放題なんだろうけど。
口の中のパンを呑み込んでから聞いてみる。
「イポスさんその顔、僕に似てませんか? もしかして……」
「秘密だよ」
言いかけた僕の言葉に被せるように、イポスさんは応えた。
僕はその後もしつこく過去について教えてほしいとお願いしたのだが、結局何も教えてもらえなかった。
最終的にきっと話せない理由がイポスさんにはあるんだろうと勝手に納得することに。
こうして、過去と未来の情報と黄金の猪の肉を手に入れた僕たちは、その日のうちにヘリュマントスの山を下りた。
イポスさんは、別れ際に〝いつでも遊びに来い〟と言ってくれた。
もちろん僕はその言葉に甘えるつもりだ。
他の山にあるダンジョンにもいつか入ってみたいしね。
帰りは来た時と同様に、アルジェントの背中に乗って休憩を挟みながら空を飛んで進む。途中、空を飛ぶ僕たちを見上げて驚く人がいたけど、当分アリツィオ大樹海からは出ないんだし気にする必要もないだろう。
✿
小人の村に戻ってきた僕たちは、村が何やら騒がしいことに気付いた。
「お祭りかな?」
道を行き来している小人も多く、大人数で移動すると邪魔になりそうなので、ボロニーズとグリーンさんだけを出してみんなには従魔の住処の中にいてもらうことに。
以前、小人たちが僕のために建ててくれた広場の家に帰ろうとしたんだけど、道を歩いている途中、小人の少女シザに呼び止められた。
彼女は、前に僕がテイマーになるのを手伝った、いわば弟子みたいなものだ。
「ルフト様、ボロニーズ様、グリーン様、お帰りなさい」
「ただいま、シザ。何か騒がしいけどお祭りか何か?」
僕が尋ねると、シザは驚きの表情を浮かべる。
「何を言ってるんですか! これはマルコキアス様とアケビ様の結婚式の準備ですよ!」
「え、結婚式の準備なの? なんか村の人たちが総出で参加しているような……」
「当然ですよ! 私たちの恩人であるルフト様の従魔のアケビ様と、深域の支配者でもある魔物の王、マルコキアス様の結婚式なんですよ? 張りきって準備するのは当たり前じゃないですか。私たちがきっと最高の結婚式にしてみせますからね」
そう言いながらシザはえっへんという擬音が聞こえてきそうな感じで、胸を叩いてみせる。
なぜだろう、嬉しさよりも不安の方が大きい。嫌な予感しかしないんだけど。
確かにヘリュマントスの山に出発する前に、結婚式の準備の協力はお願いした。でも、それがなぜ村人総出でお祭り騒ぎになっているんだ。
まあ、結婚式については僕もよく知らないので、小人たちやイシザルたちには〝新郎新婦を囲んで、みんなで美味しいものを食べたり飲んだりするんだよ〟くらいしか言ってない。
うん、僕の説明不足だろうな。
僕は結婚式会場がある岩の森へと向かうために、一度村の広場にある家に立ち寄ると、すぐに馬車の手配をした。
家に馬車で迎えに来たのはシザで〝アケビを馬車の見える位置に座らせてほしい〟と謎のリクエストをもらった。
断る理由もないので、シザが御者をする馬車に僕とアケビだけが並んで座る。よく見ると、馬車にも豪華な飾りがしてあるな。
岩の森に向かう途中、小人たちが乗る馬車と何度もすれ違い、その度に〝アケビ様、ご結婚おめでとうございます! ルフト様も魔物の王の父親になるなんてすごいです〟と歓声が飛んできた。
シザはこれを予想して、アケビを馬車に座らせるように言ったのか。
僕は、照れてずっと下を向いているアケビの代わりに、小人たちに向かって手を振った。僕だって恥ずかしいよ。
結婚式の準備がどうしてこんなにも大袈裟なことになっているのか、シザに聞いてみた。
ルフトが記憶の中にいる頃、イポスとルフトの従魔たちは、ベッドに横たわったルフトの周りを囲んでいた。
従魔たちは心配そうにルフトを見守っている。
そんな彼らを見て、イポスが言う。
「そう心配するな、危険はない。今ルフトは自分の過去と向き合っているんだ。さて、彼はどんな記憶を持ち帰るのかね……」
(お父様に何かあったら絶対に許しませんわ)
いきりたって念話を飛ばす植物の魔物ローズ。ルフトを慕う彼女は体を震わせていた。
ルフトを心配する気持ちと、目の前の魔物の王への畏怖がそうさせているのだ。
イポスは特に気にした様子もなくローズに応える。
「怖いのなら無理はしない方がいい。今のお前では私にかすり傷すらつけられんよ。悔しいのなら、もっと強くなれ」
(あなたに言われなくても、わかってますわ)
そんなローズの態度をイポスは受け流し、ルフトの顔の上にただ手を翳し続ける。
従魔たちも、じっとその様子を見守っていた。
「従魔たちに愛されているな、ルフトは。この眠りはただの眠りではない。この一晩で彼は何日もの時間を記憶の中で過ごすことになるだろう。目が覚める頃にはきっと腹を空かせているはずだ。美味しい朝食でも作って腹一杯食べさせてやるのだな」
イポスの言葉に、料理担当のスライムたちは了承したとばかりに体をブルブルと震わせた。
そんな従魔たちを見たイポスは、心変わりしたように少しだけ秘密を教えることにした。
「私からルフトの従魔である君たちに話しておきたいことがある。ただ、今から話すことはルフトには秘密にしてもらうよ」
(なぜですか? お父様に隠し事などできるはずはありませんわ)
「あるじ、かくしごと、いやだ」
真っ先にそう言ったのはローズとテリアだ。もちろん他の従魔たちもルフトに隠し事などするものかと反対する。一匹を除いては。
(イポス殿の話を聞いてから決めないか?)
赤い鎧に身を包んだおじいさんの妖精フローラルが、従魔たちをなだめた。
(フローラルはお父様に隠し事をしても平気なんですの?)
(落ち着けローズ……魔物の王とも呼ばれるお方が、何も考えずに主に嘘をつけとは言うまい。何か意味があるんじゃろう)
それでもローズは食い下がる。それをイポスが手で制した。
「まあ、話を聞け。順に説明はしていく。まずはこれを見ろ」
イポスが寝ているルフトに手を翳したまま一言二言聞いたことのない言葉を呟いた。するとルフトの上に水面のような光の波紋が現れた。
そこから、細い光の糸のようなものが、従魔の住処の天井に向かって伸びはじめた。
(イポス殿、この光の糸は一体なんですか?)
フローラルが尋ねると、イポスは難しい顔で答える。
「恐らくこれは、ルフトが記憶を消された際に魔物の王に課せられた制約の魔法の糸だ。今でもその魔物の王は離れた場所でルフトを監視しているんだろう。ルフトは本当に魔物たらしの才能があるようだ。気に入られているな」
従魔たちは、それぞれが様々な表情で光の糸を見つめた。
怖れ、戸惑い、心配、不安。
ただ一つハッキリしているのが、全ては主を想う気持ちからきているということだ。
(この糸は……切れないんですか?)
フローラルと同じ花の妖精のレモンが声を震わせる。
「切れないことはないが、無理に切ることでルフトの体に異常が起きないとも言いきれん。どんな糸かわからない状態で手を出すのは危険だ」
イポスの言葉に従魔たちは黙り込んでしまった。
そんな従魔たちにイポスは魔法の使用者に心当たりがあると言った。
「安易にその者の名を呼ぶことはできないが、そいつは魔物の王の一匹で人の心を操るのが得意な悪趣味な奴だ」
(人の心を操る……お父様の魔法を解く方法はないんですの?)
ローズがすがるように尋ねると、イポスは首を横に振った。
「魔物の王が使う魔法だ。同じ魔物の王の私でもそう簡単には解呪できんさ。ただ方法がないわけではない。その機会はいずれ訪れるはずだ。それはルフトに起きる二つ目の出来事に関係しているからな」
(主様には言葉を濁して伝えていたようですが、イポス殿には二つ目の出来事もハッキリと見えていたということですな。主様を見張る魔物の王に気付かれないためにも、詳しい話は伏せていたと……?)
フローラルの言葉にイポスは頷く。
「その通りだ。ルフトに預けた私の眷属にも意味がある。ルフトが命を落とさないためにも、お前たちはルフトに気付かれないように動かなければならない」
「あるじ、しぬ、どういうことだ」
(お父様に何が……!)
(主様に何が起こるというのですか?)
テリア、ローズ、フローラルが一斉にイポスに詰め寄る。
さっきまで冷静でいたフローラルさえも顔色を変えた。他の従魔も、今にもイポスに掴みかかりそうな勢いだ。
イポスはそれを見て思わず笑ってしまった。そんな彼に、従魔たちの顔はさらに険しくなる。
イポスが本気で戦えば、ここにいる従魔たちは一瞬で殺されてしまうだろう。従魔たちはそれを知っても臆することなくイポスを睨んだ。
従魔たちがルフトと共に過ごした時間は長くないが、彼らは自分たちの命を懸けても良いと思えるほどに主であるルフトを慕っていたのだ。
イポスは両手を上げて、従魔たちをなだめる。
「まあ、落ち着け。それを回避するための話をするんだ。だからこそ約束してもらわねばならない。これから私が言う全てを、お前たちはルフトに、大好きな主に秘密にすることを誓わねばならない」
従魔たちは迷わなかった。
嘘をついて嫌われるかもしれないという恐怖など、主の死に比べれば些細なことだ。
(嘘をついたことで、どんなに怒られようとも嫌われようとも、お父様の命に代わるものなど、この世界には存在しませんわ)
従魔を代表してローズが宣言した。
イポスは頷いて話しはじめた。
ルフトとその魔物の王を繋ぐ者がいる。その者の名はディアラという。
従魔たちもその名前に憶えがあった。彼らは口を揃えて言うだろう。それは彼らが最も嫌う人間の名前だと。
しかし、ディアラこそがルフトを繋ぎとめている光の糸を解くための鍵を握る人物。
イポスは続ける。
その者の姿形に惑わされるなと。
そして、二つ目の出来事が起きる前に、少なくともAランクの魔物を狩ることができる力を身につけろと。
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モーソンに連れられて去っていく昔の僕を見送った後、また場面が変わった。
今僕ルフトは、白い石の壁に囲まれた明るい部屋の中にいた。どことなく、初めて開いた時の従魔の住処に似ている。
部屋の中には家具一つなく、あるのは立派な彫刻が施された大きな木製の扉だけ。
僕はその彫刻を見ただけで、扉の意味を知った。この扉を開けて外に出れば、過去の記憶をたどる旅も終わりを迎えるんだ。
ここまで見た過去の記憶を振り返る。
改めて自分の過去に対して嫌気が差したが、それと同時に新しく芽生えた思いと願いがある。
こんなバカげた実験してきた施設を壊してやりたい。一人でも多くの友達を救いたい。
すると、どこからか声が聞こえてきた。
「本当にそう思うか? 方法はどうあれ、彼らは親のいない子供たちを集めて生き抜く術を与えているんだ」
僕以外誰もいなかった部屋の中に、黒いローブに身を包んだイポスさんが立っていた。
「急に現れないでください。ビックリするじゃないですか……」
僕はそのままイポスさんに応える。
「確かに僕たちは、軍事国家ヴォラベルの施設に拾われなければ死んでいたのかもしれません。けれど……偽りの家族の記憶と兵器として売られていくための力を与えられたことが、幸せだとは思えないんです。もちろん、リレイアスト王国のように人として育ててくれる国に拾われた子供たちは、幸せを手にするかもしれません。でも、これは間違っています」
僕は、目の前に立つイポスさんの視線を正面から受け止めた。
「施設を壊した後、残された子供たちはどうなる? 魔物との融合実験で人より強い力を与えられた子供たちはその事実が明らかになった時、迫害を受けるかもしれない。それはどうでもいいのか?」
イポスさんの僕を見る目はとても真っすぐで、心の奥底まで見透かされているような、そんな視線だった。
確かに、僕の行動で多くの子供たちが居場所を失う可能性だってある。
「自分以外どうでもいいなんて思いませんよ。もし、その子供たちを全ての国が拒否するなら僕が住む場所を作ります。人と魔物、全ての種族が共存できる場所を作ります。そうすれば、人間と魔物が混ざり合った子供たちだって自由に生きられるはずです」
今の僕にはこれ以上良い考えは浮かばなかった。
施設を潰して、果たしてそこにいる子供たちは喜ぶのだろうか?
そんな僕の不安を見透かしたように、イポスさんは反論してくる。
「それはルフト、君がテイマーだから……従魔たちと一緒に過ごしているから思いつく方法じゃないのか? 多くの人は魔物を恐れるものだ」
そうだ……イポスさんの言っていることは正しい。
それでも――
「人と魔物が暮らす町があったっていいと思うんです」
僕は何を言っているんだろう。まだ過去の記憶の中にいるせいか、思ったことを次から次へと口に出してしまう。
「そんな町が本当に作れるのか?」
イポスさんは真面目な顔で僕の答えを待っているようだった。
しかし、急に我慢できないと言わんばかりに大声を上げて笑い出した。
僕は目が点になる。
「人と魔物が暮らす町か……面白いことを考えるな。それにしても自分で作るとは大きな目標だ。ここは君の過去の記憶の中、言わば君自身の心の中にいるんだ。自分の境遇をバカげた実験と思うのも、それを壊したいと思うのも君の本心なんだろう」
イポスさんは〝だが〟と言って続ける。
「現実はそこに関わる多くの人のことも考えなければならない。今は君の心の中だから衝動に駆られて冷静な判断ができないのだろう。でも、それもまた面白い」
イポスさんは僕の頭を撫でた。
確かに今の僕は冷静さを欠いているんだと思う。
ディアラの言葉にカチンときて殴ろうとしたし、普段の僕なら行動する前にもっといろいろと考えるんじゃないか。
「それに、君が自分を育てた施設を憎み復讐を考えたとしても、それを実行できるのはまだ先の話だ。それにしても、人と魔物が暮らす町か……私も興味がある。そんな町が実現するなら、ぜひ私もそこに家を持ちたいものだ。その時には私も受け入れてもらえるか?」
僕は頷いて答える。
「もちろんです」
「そうか、楽しみにしておくよ。君は本当に面白い人間だ。最後にがっかりしないで聞いてほしいんだが、ここは夢の中だ。夢というものは起きた時にほとんどのことを忘れてしまう。私が言おうとすることはわかるね」
「忘れたことをイポスさんが教える、というのはダメなんですか」
イポスさんは残念そうに首を横に振る。
「ダメというより無理なんだ。ここでの出来事を教えてあげることはできないんだよ。ただ、最初に伝えたように、君は何か一つ、記憶を持ち帰ることができる。さて、何を選ぶ?」
イポスさんは僕がどの記憶を残すか、最初からわかっていたんだと思う。
僕はモーソンに会わなければいけない。
ディアラと軍事国家ヴォラベルのことは、モーソンがきっと教えてくれるはずなんだ。
僕は残す記憶を決めると、白い部屋の扉を開けた。
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どれくらい寝ていたんだろう。体が重い。
目を開けて最初に飛び込んできたのは、不安そうな従魔のみんなの顔だった。
イポスさんは満足げな表情で僕に手を翳している。
「ようやく目覚めたか。過去の自分とは向き合えたか?」
僕はイポスさんの問いに頷く。
「はい……ほとんど覚えてないですけど、ちゃんと向き合えたと思います。僕はどれくらい寝ていましたか?」
「まだ一晩だよ。夢の中で君は過去にしがみつこうとしたはずだ。でも、それは過去に強く引っ張られたせいだろう。目が覚めたことだし、これからのことをきちんと考えなさい」
やっぱりイポスさんは先生のような人だな。
僕がたった一つ持ち帰ったモーソンの記憶を頭の中で思い返していると、僕のもとに、従魔のみんなが一斉に飛び込んできた。
その重さでベッドの脚が折れてしまい作ってくれたニュトンたちに申し訳なかったけど、彼らも嬉しそうに笑っていたし、許してくれるだろう。
すると、すごく美味しそうな香りが漂ってきた。
僕のお腹はぐうぅと大きな音を立てる。
僕だけじゃなくみんなやイポスさんまでもが、つられてお腹を鳴らした。思わず全員で噴き出してしまう。みんな食事をせずに僕を待っていたのだ。
僕が席に着くと、待っていましたとばかりに、コック帽を被ったスライムたちが勢いよく料理を運んできた。
時刻は朝。
朝食のメニューは、厚めに切って塩コショウを多めに振った〝ヘリュマントスサンライトボアのステーキ〟に、〝カイランとバースニップとトマトたっぷりのサラダ〟。
加えて〝ジャイアントトードの塩スープ〟、パン生地に乾燥した迷宮胡桃の実を練り込んだ〝迷宮胡桃パン〟の四品だ。
テーブルの中央の大皿に山と盛られた迷宮胡桃パンは好評で、みんなが競うように手を伸ばしては豪快に噛りつく。
僕は朝食を食べながら、イポスさんに夢の内容を教えてほしいとねだった。
でも――
「ん? 夢なんて朝起きると忘れていたり、覚えていても所々曖昧だったりするもんだろ。はっきり覚えている方がおかしいんじゃないか」
「普通の夢ならそうですけど、今回のはイポスさんが魔法で見せてくれた夢ですよね。イポスさんなら僕が見た内容も知っているはずだし、教えてくれてもいいじゃないですか」
「すまないが、それを教えることはできないんだ。さ、まずは飯だ……食え食え」
イポスさんは、言葉を遮るように大きなパンを僕の口に突っ込んだ。
「ふぉまかふぁふぁひへくははい(ごまかさないでください)」
くっ……パンが邪魔で上手く話せない。
「食べながら喋るのは行儀が悪いって言ったのは君だろう」
そう言って笑うイポスさんにムッとしながらも、僕はある違和感に気が付いた。
イポスさんの顔が少し変わっているのだ。心なしか僕と似ているな……まあ、変身だから顔も変え放題なんだろうけど。
口の中のパンを呑み込んでから聞いてみる。
「イポスさんその顔、僕に似てませんか? もしかして……」
「秘密だよ」
言いかけた僕の言葉に被せるように、イポスさんは応えた。
僕はその後もしつこく過去について教えてほしいとお願いしたのだが、結局何も教えてもらえなかった。
最終的にきっと話せない理由がイポスさんにはあるんだろうと勝手に納得することに。
こうして、過去と未来の情報と黄金の猪の肉を手に入れた僕たちは、その日のうちにヘリュマントスの山を下りた。
イポスさんは、別れ際に〝いつでも遊びに来い〟と言ってくれた。
もちろん僕はその言葉に甘えるつもりだ。
他の山にあるダンジョンにもいつか入ってみたいしね。
帰りは来た時と同様に、アルジェントの背中に乗って休憩を挟みながら空を飛んで進む。途中、空を飛ぶ僕たちを見上げて驚く人がいたけど、当分アリツィオ大樹海からは出ないんだし気にする必要もないだろう。
✿
小人の村に戻ってきた僕たちは、村が何やら騒がしいことに気付いた。
「お祭りかな?」
道を行き来している小人も多く、大人数で移動すると邪魔になりそうなので、ボロニーズとグリーンさんだけを出してみんなには従魔の住処の中にいてもらうことに。
以前、小人たちが僕のために建ててくれた広場の家に帰ろうとしたんだけど、道を歩いている途中、小人の少女シザに呼び止められた。
彼女は、前に僕がテイマーになるのを手伝った、いわば弟子みたいなものだ。
「ルフト様、ボロニーズ様、グリーン様、お帰りなさい」
「ただいま、シザ。何か騒がしいけどお祭りか何か?」
僕が尋ねると、シザは驚きの表情を浮かべる。
「何を言ってるんですか! これはマルコキアス様とアケビ様の結婚式の準備ですよ!」
「え、結婚式の準備なの? なんか村の人たちが総出で参加しているような……」
「当然ですよ! 私たちの恩人であるルフト様の従魔のアケビ様と、深域の支配者でもある魔物の王、マルコキアス様の結婚式なんですよ? 張りきって準備するのは当たり前じゃないですか。私たちがきっと最高の結婚式にしてみせますからね」
そう言いながらシザはえっへんという擬音が聞こえてきそうな感じで、胸を叩いてみせる。
なぜだろう、嬉しさよりも不安の方が大きい。嫌な予感しかしないんだけど。
確かにヘリュマントスの山に出発する前に、結婚式の準備の協力はお願いした。でも、それがなぜ村人総出でお祭り騒ぎになっているんだ。
まあ、結婚式については僕もよく知らないので、小人たちやイシザルたちには〝新郎新婦を囲んで、みんなで美味しいものを食べたり飲んだりするんだよ〟くらいしか言ってない。
うん、僕の説明不足だろうな。
僕は結婚式会場がある岩の森へと向かうために、一度村の広場にある家に立ち寄ると、すぐに馬車の手配をした。
家に馬車で迎えに来たのはシザで〝アケビを馬車の見える位置に座らせてほしい〟と謎のリクエストをもらった。
断る理由もないので、シザが御者をする馬車に僕とアケビだけが並んで座る。よく見ると、馬車にも豪華な飾りがしてあるな。
岩の森に向かう途中、小人たちが乗る馬車と何度もすれ違い、その度に〝アケビ様、ご結婚おめでとうございます! ルフト様も魔物の王の父親になるなんてすごいです〟と歓声が飛んできた。
シザはこれを予想して、アケビを馬車に座らせるように言ったのか。
僕は、照れてずっと下を向いているアケビの代わりに、小人たちに向かって手を振った。僕だって恥ずかしいよ。
結婚式の準備がどうしてこんなにも大袈裟なことになっているのか、シザに聞いてみた。
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